「ゼロゼロ融資後の倒産、上半期は前年比25.9%減の157件」
――このニュースを見て、胸をなでおろした経営者もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、この”減少”の数字を素直に受け取るのは非常に危険です。水面下ではリスケ(返済猶予)や借換で「倒産の先送り」がじわじわ積み上がり、まさに今、2026年4〜9月が**据置期間終了の”最後のピーク”**を迎えているのです。
今回は、取引先が「静かに限界を迎える」ゼロゼロ融資返済リスクの実態と、経営者が今すぐ知っておくべき備え方を解説します。
上半期は”4年ぶり”の200件割れ ― でも累計はすでに2,383件
東京商工リサーチが発表した最新データによると、2026年上半期(1〜6月)のゼロゼロ融資利用後の倒産は157件と、2年連続で前年同期を下回りました。上半期に200件を割ったのは、4年ぶりとなりました。
しかし、忘れてはいけないのは、2020年7月から積み上がった累計は、すでに2,383件に達していることです。
産業別では、宿泊業・飲食業を含む「サービス業他」が51件で最多、次いで製造業28件、卸売業22件、建設業21件と、BtoB取引の中核業種にも幅広く波及。「うちは飲食店とは取引していないから関係ない」と油断できる状況ではありません。
“見かけの沈静化”の裏に隠れた、リスケ・借換の先送り
なぜ、統計上は倒産が減っているのに、リスクは終わっていないのか。
東京商工リサーチのレポートでは、こう指摘されています。
「借換保証の返済開始がピークを迎えたが、
償還できず、リスケや借換で先送りしている企業も少なくない」
つまり、本来倒産に至るはずだった企業が、金融機関の返済猶予や借換で”延命”されている状態。これは経営再建が進んでいるという意味ではなく、単に倒産予備軍がプールされているということです。
しかも厄介なのは、リスケや借換は決算書の表面には現れにくいという点です。
売上も利益も一見悪くない ―― それでも実態は、金融機関の延命措置がなければとっくに立ち行かなくなっていた、そんな取引先が混在している可能性があります。
2026年4〜9月が”最終ピーク”― まさに今、正念場
2023年1月から始まった「コロナ借換保証」は、2025年2月末時点で累計30.1万件が利用されており、約8割の据置期間が2年以内。つまり**2026年4月から9月にかけて、返済開始の“最後のピーク“**が到来する構造です。
据置期間中は元本返済が猶予されていたため、なんとか資金繰りを回せていた企業も、いよいよ本格的な元本返済フェーズに入ります。ただ、この2〜3年で経営環境は劇的に悪化しました。原材料・エネルギー価格の高止まり、過去最大級の賃上げ圧力、1ドル160円台の歴史的円安、過去最多を更新し続ける人手不足倒産 ―― これらの重圧が返済原資を静かに削り続けています。
さらに追い打ちをかけるのが、日銀が6月に決定した政策金利1%程度への引き上げです。ゼロゼロ融資は「実質無利子」だったからこそ多くの中小企業が耐えてこられましたが、借換や新規借入に切り替わった瞬間、金利負担がのしかかります。
【ゼロゼロ融資利用企業に迫る”三重苦”】
① 据置期間の終了 = 元本返済フェーズ突入 ↓ ② 物価高・人件費高騰 = 返済原資が削られる ↓ ③ 日銀の利上げ = 金利負担が上乗せ ↓ ある日突然、リスケも借換もできず「資金ショート」
決算書だけでは絶対に見抜けない「静かな限界」
残念ながら、リスケや借換で延命されている企業を、外部から決算書だけで見抜くのはほぼ不可能です。売上は前年並み、利益も一応黒字、支払いも遅延なし ―― これらが正常でも、据置期間が終わった瞬間、資金は一気にショートします。
取引先の倒産は突然やってきます。ある朝、「支払いを止めさせてほしい」という電話が入ったとき、すでに納品済み・請求済みの売掛金は回収できなくなります。「長年の付き合いだから大丈夫」というお気持ちは分かりますが、倒産は裏切りではなく、単に口座にお金がなくなっただけ。たった1社の未回収が、自社の存続を揺るがす致命傷になり得るのです。
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ゼロゼロ融資返済ピークのように、統計上は「減少」と映るリスクこそ、事前の備えがものを言います。複合的なリスクが下半期に一気に顕在化する前に、今のうちに与信管理体制を整えておきませんか?
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