「支払いサイト30日で!」
何のことを言っているか分からなかったビジネスマンの方!少しまずいかもしれません。
「支払いサイト」という言葉は、「掛売り」が取引の基本となる日本において、必ず知っておきたいルールです。
本記事では、支払いサイトの考え方や決め方のポイントについて説明します。
支払いサイトとは
支払サイトとは、取引代金の締め日から代金を支払うまでの期間のことです。
支払いサイトは日本のビジネスの現場で一般的な「掛取引」や「約束手形」とセットでよく使われます。
掛取引も約束手形も共通するのは後払いで、代金を確定させてからいつ支払うのかをハッキリさせなければいけません。このように代金を確定させてから支払日までのことを支払サイトといいます。
買い手(支払う側)から見た支払いサイト
代金を支払う側からすると「支払いサイト」は猶予期間になります。
「月末締め翌月末払い」の場合、1ヵ月の月初から月末までが取引期間になり、この期間の注文代金を確定させてまとめます。注文代金の支払い期日は翌月末になるため、買い手からすると30日間の猶予期間があり、支払い期日までに代金を準備する必要があります。
売り手(提供する側)から見た支払いサイト
商品やサービスを提供する側から見ると、支払いサイトは「商品やサービスが売れてから実際に入金されるまでの期間」となり、「回収サイト」とも呼ばれることもあります。
売上の発生日から時間が経ったころに手元にお金が入ってくるため、支払いサイトの長さによっては資金繰りが大変になるケースもあります。
支払いサイトとの語源と英語表現
「支払いサイト」の「サイト」は、英語の「sight」からきています。英語の「sight」には視界や視力、見解といった意味で使用されますが、「取引代金の決済期間」という意味はなく日本独特の言い回しと言えます。
英語では、「terms of payment」(支払期間)といった言い方になります。
支払いサイトの決め方
支払いサイトは業界によって様々で取引先との関係で決まってしまうことも少なくありません。実は、買い手と売り手は支払いサイトについて逆のことを望んでいます。
ここでではそれぞれについて見ていきます。
買い手側の決め方
買い手側(代金を支払う側)の場合、支払いサイトは長い方が、資金繰りが安定するとされます。
理由としては、決済までの時間が長い方が売上・利益を出すための時間が生まれるため支払い日までに現金を用意しやすいことが挙げられます。
売り手側の決め方
売り手側(代金を受け取る側)の場合、支払いサイトはできるだけ短く設定しましょう。
支払いサイトを短く設定することによって、早く現金が自社の手元に入るため、その他の仕入れ代や人件費などの費用等の支払いにあてることができ、自社の資金繰りは安定します。
代表的な支払いサイトとは?
ビジネスではよく、支払いサイト30日と60日が使われます。
掛取引を前提に見ていきましょう。
代表的な支払いサイト「月末締め翌月末払い」(30日サイト)
もっとも代表的な支払いサイトは、「月末締め翌月末払い」です。
この「月末締め翌月末払い」の意味としては、月末にその月の売上を締めて(まとめて)請求を出します、その請求の支払いは翌月末までに行う、という契約です。
例えば5月に取引を行うケースでは、売上の締め日である5月末から、実際に代金が支払われる6月末までの期間が30日となります。この場合の支払いサイトは「30日サイト」と呼びます。
このように支払いサイトとは、売上の締め日から実際に代金が支払われるまでの「日数」を数えたものになります。
月末締め翌々月払い(60日サイト)
30日サイトに次いで多いのが60日サイトです。
月末締め翌々月末払い=締め日から2ヵ月後の末日に支払うため、最大で3ヵ月分の売上代金が保留されることになります。(取引開始の初月、翌月、翌々月の売上)そのため資金不足に注意が必要です。
手形の支払いサイトの決め方
手形の支払いサイトは、手形の振出日から支払い日までの期間のことです。
一般的には30日から120日のものが多いようです。
例えば「月末締め翌月末起算30日手形」の場合は、「手形振出しまでの期間30日+手形サイト30日」となり結果60日サイトとなります。
手形の支払いサイトは長い
上記に記載の通り手形サイトは、現金取引の支払いサイトよりも長期になることが多く、「代金を受け取る側」からすると資金繰りを圧迫する要因になりやすいです。
逆に「代金を支払う側」の場合は、支払い日が先になるため資金繰りが安定しやすくなると言えます。
支払いサイトの決め方のポイント
おさらいになりますが、支払いサイトの決め方は、「支払いは遅く、回収は早く」がポイントです。
支払いサイトは、価格と比べ、取引相手の「言うがまま」になりがちな一面があります。営業担当者は受注のクロージングを急ぎ、価格や納期以外の条件についてはあまり重要視しないことが多いようです。
また、一度継続取引になると、最初に決めたサイトを変えることは難しくなってしまいますので、取引を開始する前に契約書を交わし、契約書に支払いサイトについて明記したりなど、取引先との間で支払いサイトを明確にしましょう。
あやふやなまま取引を開始すると、取引先からの入金が遅れてしまったり、取引先から誤って請求が来た場合などに対応をすることができませんので注意しましょう。
買い手の場合は長い方が有利
買い手側は、支払いサイトが長いほど有利です。
理由は、猶予期間が長く、手元資金が貯まり短期的に運用できるためです。
売り手の場合は短い方が有利
売り手側は、支払いサイトが短いほど有利です。
理由は、資金的に確定した利益を早く受け取れるためです。
支払いサイトの交渉を有利に進めるには
支払いサイトは相手先の社内の運用なのだから仕方がない、と諦める方が多いようです。
しかし、交渉の余地がないわけではありません。 ここで有効なのが「交換条件」です。例えば、新規取引先に対して見積もりを出した際に、値引きの交渉を受けることがあります。このとき、値引きを受け入れると同時に、サイト短縮を申し入れれば、受け入れられやすくなります。 既存の取引についても同様です。価格や納期など、条件変更の申し入れを受けた場合、サイトを交渉のカードとして用意することで、「それではお支払いサイトを短縮していただけますか」とカウンターを充てることができるようにしておくと、交渉を有利に進めやすくなると思われます。
入金サイトの長所を「価値」として考える
社内の資金繰りの悪化は、一つの取引からでは表面化しません。すべての取引の累積が、じわじわと効いてきます。いつのまにか危険水準までに達してしまうのが怖いところです。取引全体のサイトを見直し、入金の前倒しが実現すれば、キャッシュフローが改善していくのが肌で感じられるようになるはずです。 「今受け取るお金」と「将来受け取るお金」は、同額でも価値が異なります。
入金サイトの長さを単なる手続きの問題として捉えるのではなく、価値の割引要因として認識することで、個々の取引を総合的に評価できる基準を作ることが重要とされます。
まとめ
以上、支払いサイトの意味や、支払いサイトの決め方についての説明になります。
会社は、利益が出ていても現金がなくなれば倒産してしまいます。
自社の資金繰りの悪化に気が付かず、危険信号が出ているにも関わらず何も対策をしないと最悪の結果にもなりかねません。
このような事態を避けるためにも、自社の資金繰りに目を向けて、支払いサイトを見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。
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以下にて「支払いサイトの早見表」や「支払いサイトの長さに応じた取引のリスク」についての解説、さらには、「リスクを踏まえたうえでの支払いサイトの決め方のポイント」などについてまとめましたので、ぜひご活用ください。
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