売掛金の回収業務には、多くの手間と時間がかかります。
後払い方式である掛け取引が一般的な日本では、通常業務を圧迫する売掛金の回収業務や与信管理に頭を悩ませている企業は多いのではないでしょうか。
本記事では、売掛金の回収代行を行う業者について解説しながら、サービスを導入する際に知っておきたいメリット・デメリットをご紹介しています。また後半では、売掛金回収代行サービスに代わる選択肢として、売掛保証サービスの解説もしています。
自社のニーズに合った効率的な売掛金の回収方法をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。
未回収の売掛金の回収業務とは?
一般的な企業間の信用取引では、往々にして期日を過ぎても代金が支払われない「未回収トラブル」が発生します。
代金の入金遅延が発生した際に、取引先への入金確認に始まり催促や交渉、ときには法的手段をもって売掛金の回収に務める一連の業務が「未回収の売掛金回収業務」です。
売掛金とは
「売掛金」とは、商品やサービスを提供した際に後払いで支払われる代金および代金の支払いを受ける権利のことで、主に継続的取引を前提とした企業間での「掛け取引」で発生します。
この掛け取引における最大の注意事項が、取引先の業績悪化や倒産などにより代金を回収できなくなるかもしれない「未回収リスク」です。
売掛金の未回収が続けば、会社の資金繰りが悪化し、最悪の場合は連鎖倒産に陥る可能性もあるため、売掛金の回収は会社にとって死活問題といえます。
売掛金回収業務とは
未入金となっている代金を回収する「売掛金回収」は、請求書の発行や入金管理など、経理業務のなかでも煩雑な作業が多く負担の多い業務です。
契約どおりに入金されれば問題はありませんが、ひとたび入金遅延が発生すると、取引先への催促や交渉が必要となり、膨大な手間と時間がかかる大変な業務になってしまいます。
回収業務に人員を割くことで通常業務に支障をきたすほか、交渉にかかる労力や金銭の催促をすることによる心理的な負担も無視できません。
また、督促や訴訟に発展し回収に時間がかかるような場合は、人件費や通信費などの経費がかさみ、無事に回収できたとしても結果的に利益を損なうことも考えられます。
会社の利益に直結し、会社の存続に関わる重要な業務が「売掛金回収業務」です。
未回収となっている売掛金回収の流れ
入金遅延などで未回収となっている売掛金回収の基本的な流れは、「取引先への問い合わせ」から始め、段階に応じて「入金の催促」「交渉」「内容証明による督促」と進めます。
場合によっては「支払督促」や「訴訟」といった法的手段も検討しなければなりません。
売掛金の時効完成や取引先が破産した場合、回収は不可能になってしまうため、早め早めの行動が肝心です。
売掛金回収について詳しくはこちら:売掛金回収するには?知っておくべき基礎知識と具体的なステップを徹底解説
債務者への連絡
契約した期日までに入金がなかった場合、まずは取引先に連絡を取り、未入金があることを伝えて遅延の理由や支払いが可能な期日を確認します。
振り込み忘れなどの単純なミスであれば連絡した時点で回収できるケースがほとんどですが、電話やメールでは話がつかず未入金が続く場合は、取引先に赴き直接話し合う必要があります。
取引先の経営状況や支払う意思の有無など、さまざまな情報を考慮したうえで、相手に合わせた回収方法を探ることが重要です。
内容証明の送付
約束した期日になっても入金されない場合や、連絡が取れない、明らかに支払う意思がないなど、取引先の協力が得られない場合は「内容証明郵便による督促」を行います。
「いつ・どのような内容の文書を・誰から・誰宛に送ったか」を日本郵便が証明する内容証明の送付は売掛金回収の方法としてはオーソドックスなもので、相手に心理的なプレッシャーを与える効果が期待できるほか、売掛金の時効を6カ月間だけ延長することが可能です。
支払督促
内容証明郵便を送っても効果がない場合は、法的手段である「支払督促」を行います。
これは裁判所に申し立てることで簡易裁判所を通して相手に支払い命令を出してもらえる略式の手続きで、訴訟に比べ手間も費用もかからない点が最大のメリットです。
ただし、相手からの異議申し立てにより通常訴訟に移行した場合、裁判所へ出向く労力や解決までに時間がかかってしまうというデメリットもあります。
少額訴訟
請求金額が60万円以下の場合は、通常の訴訟よりも手続きが簡単で速やかに決着がつく「少額訴訟」も有効な手段です。
弁護士を雇う必要がなく、1日で判決が出るので費用も時間も抑えることができるうえに、勝訴した時点で強制執行の申し立てが可能になります。
ただし、期日までに全ての証拠や書類を債権者側でそろえる必要があり、相手が異議申し立てを行えば通常訴訟へ移行してしまうため、少額訴訟を利用するか否かは慎重に検討する必要があります。
売掛金の回収代行を依頼するべきケース
売掛金の回収は会社の資金繰りを左右する重要な業務ですが、煩雑な作業に追われ満足に注力できていない企業は少なくありません。
とはいえ、回収業務をおろそかにしていては、掛け取引を行ううえで常に付きまとう未回収リスクに対応できなくなってしまいます。
このような状況を解消してくれるのが、売掛金の回収代行サービスです。
ここでは、売掛金の回収代行を依頼するべきケースについて具体的に解説します。
売掛金回収業務のノウハウが少ない
売掛金の回収には、多くの手間と時間がかかるうえに、常に期日どおりに回収できるとは限りません。
代金を請求しても支払いに応じてもらえないばかりか、支払いを引き延ばされたり、故意に拒否されたりすることもあるのです。
未回収になっている売掛金を回収するには、精神的に負担のかかる取引先とのやり取りや面倒な手続きにくわえ、正しい回収手順や法律の知識が必要となり、これらのノウハウを持たない状態で回収業務にあたった場合、余計な時間がかかったり、訴訟で不利な状況に立たされたりする可能性が考えられます。
社内の人員が不足している
企業間の掛け取引において、売掛金管理と並んで重要な業務に与信管理がありますが、人手が足りず綿密な与信調査まで手が回らない、と悩む企業も多いのではないでしょうか。
売掛金の回収業務に人手と時間を取られ与信調査がおろそかになった結果、不適切な与信限度額を設定してしまう・既存取引先の信用状況の変化に気付くのが遅れ未回収トラブルが発生するなど、自社の経営状況の悪化を招く可能性も考えられます。
キャッシュフローの安定化を図りたい
安定した企業運営には、利益を上げることはもちろん売掛金の徹底管理が重要です。
しかし、企業が大きくなり取引先が増えるなどして売掛金の管理業務が複雑化すると、十分な管理ができず売掛金の回収が滞り、資金繰り悪化を招く可能性があります。
売掛金回収代行サービスを利用することで、未回収リスクを低減しつつ、業務を効率化し費用を削減することが可能です。
さまざまなトラブルやリスクに備えつつ確実に売掛金を回収し、安定したキャッシュフローを構築するためには、売掛金回収代行サービスは有効な手段といえるでしょう。
売掛金の回収代行を行っている業者3種
売掛金の回収業務は会社にとって非常に重要な業務ですが、売掛金回収に回せるリソースが足りず、思うように回収業務を進めることができていない企業は少なくありません。
そのような状況を解消するために利用したいのが「売掛金回収代行サービス」です。
ここでは、売掛金の回収代行を行っている業者3種について解説していきます。
業者によってサービスの内容は異なりますので、自社の状況に合わせて選ぶことが重要です。
法律事務所
売掛金の回収を代行できる職種のなかでも代表的なものが弁護士です。
次いで認定司法書士も売掛金回収の代行を担うことができますが、金額が140万円以下の場合に限られます。
弁護士は売掛金回収に必要な全ての手続きを代行できる非常に大きな権限を持っていますが、得手・不得手はありますので、債権回収を得意としている法律事務所に依頼しましょう。
弁護士に売掛金回収を依頼するメリット・デメリットは以下のとおりです。
<メリット>
・どのような種類の債権にも対応可能
・状況に応じて最適な回収方法を提案できる
・当事者間で争いになった場合に法的トラブルを回避できる
<デメリット>
・着手金や成功報酬などの費用がかかる
・相手に精神的な圧迫感を与え、関係性の悪化につながる可能性がある
・債権の買い取りはできないので、相手が破産した場合は十分な回収は見込めない
債権回収業者(サービサー)
債権回収業者(サービサー)は、「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」に基づき債権回収を行う民間の業者で、主に不良債権の回収を取り扱っています。
債権回収業者に依頼する場合「自社の債権を債権回収業者に買い取ってもらい、回収業務は新たな債権者となった業者が行う」という形になるため、未回収の売掛金を確実に回収できます。
債権回収業者に売掛金回収を依頼するメリット・デメリットは以下のとおりです。
<メリット>
・債権譲渡により未回収分を確実に回収できる
・相手が破産しても自社に損失が発生しない
・売掛金回収にかかる手間や時間、費用を削減できる
<デメリット>
・扱える債権の種類が限定されているため、依頼可能な債権者は金融機関に限られる
・債権の買取価格は未回収分の金額より低くなるため、満額回収は望めない
・業者が法的手段を用いるなどした場合、相手との関係性の悪化につながる可能性がある
ファクタリング会社
ファクタリング会社とは、サービサーと同じく未回収の債権を買い取ってくれる会社ですが、主な利用者が企業や個人事業主などの事業者であることと、対応可能な債権が「入金遅延が発生していない売掛金」に限られている点がサービサーとは異なります。
売掛債権を短時間で現金化できるため、主に資金調達を目的として利用されています。
ファクタリングの契約形態には「3社間取引」と「2社間取引」という2種類の形態があり、それぞれ仕組みが異なるので、自社の状況に適した契約形態を選ぶことが重要です。
ファクタリング会社を利用するメリット・デメリットは以下のとおりです。
<メリット>
・支払期日を待たずに売掛金を回収できる
・売掛金回収業務にかかる手間と時間を削減できる
・相手が破産しても自社に損失が発生しない
<デメリット>
・手数料がかかる(2社間取引の場合は債権額の10~20%程度と高くなる)
・3社間取引の場合、取引先にファクタリングの事実が知られるために自社の信用不安につながる恐れがある
・売掛債権を売却できない場合もある
売掛金回収代行サービスに代わる選択肢
「売掛金回収代行サービス」と名前は似ているものの、未回収の発生前から利用できるのが、「売掛保証サービス」として知られる保証型のファクタリングです。
「売掛金回収代行サービス」が既に発生した未入金への対応になるのに対して、「売掛保証サービス」では、売掛債権にあらかじめ保険をかけることで、未入金が起きる前から売掛金の未回収を防ぐことができます。万が一取引先が倒産した場合でも、保証限度額の範囲内で、売掛金の100%の支払いを受けることができるため、特に会社の運営資金が少ないベンチャー企業や、回収のための人的リソースが不足しがちな中小企業で導入するケースが増えています。
ここでは、売掛保証サービスの利用を検討するときに知っておきたいメリットとデメリットについて解説します。
メリット1:売掛金の未回収リスクを大幅に低減できる
売掛保証サービスを利用することによって得られる最大のメリットは、未回収リスクを低減し、取引先の倒産などによる貸し倒れの発生を事前に防ぐことができる点です。
日本の企業間取引では後払い方式である掛け取引が一般的なため、売掛金を回収できない「未回収リスク」が常に付いて回ります。
たとえ日頃から徹底した与信審査と売掛金管理を行っていたとしても、取引先の急激な業績悪化や突然の倒産により代金を支払ってもらえなくなる可能性はゼロではないのです。
売掛保証サービスを導入すれば売掛金の支払いが保証されるため、未回収となってしまうリスクをあらかじめ回避し、安定した資金計画を立てることができます。また、新規取引の度に入金されるかどうかを都度心配する必要がなくなるという、心理面でのメリットも存在します。
メリット2:与信管理業務を削減できる
新規取引先と掛け取引を行う際、事前に欠かせないのが綿密な「与信審査」です。
また、既存取引先の経営状況を定期的に調査し、適切な与信限度の設定・運用を図る「与信管理」も安定した企業運営には必要不可欠です。
しかし、いくら重要な業務でも、理想的な与信管理ができるだけのノウハウを会社が持っていない、広範囲にわたる地道な調査・分析を遂行するだけの人的リソースが足りないといった悩みを抱えている企業は少なくありません。
売掛保証サービスでは、回収業務の代行に加えサービスの一環として高精度な与信調査を活用できるため、手間のかかる与信管理による業務負荷と時間を削減できます。また、取引先の信用性を事前に評価できるため、取引先の拡大がしやすくなるという点も魅力的です。
デメリット:手数料が発生する
売掛保証サービスを利用するデメリットとしては、手数料がかかることが挙げられます。
会社によって設定は異なりますが、初期費用・リスクの度合いや保証金額に応じて変動する保証金手数料などが発生します。
大きな負担のかかる業務を外部に委託するわけですから、業務の効率化や回収業務にかかるもろもろの費用を削減できることを考えれば、支払う価値があるものといえるでしょう。
とはいえ、費用が抑えられるに越したことはないので、サービスの提供形態を確認しコストバランスを考えたうえで、自社に合ったサービスを利用することが大切です。
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