債権回収は自分(自社)で行うことが原則となりますが、相手方が支払いに応じない場合や法的な問題が生じうる場合においては、弁護士に依頼して交渉を行うことになります。
このとき、弁護士資格を持っていない人(「非弁護士」「非弁」と呼びます)に債権回収などの法律事件を依頼してはいけないということを注意しましょう。
非弁の代表的な例として、「事件屋」「整理屋」が存在しています。
事件屋・整理屋とは
「事件屋」とは、弁護士の資格を持っていないにも関わらず、他人のトラブルや債権回収事件に介入して、仕事として報酬・利益を得ている人のことを指します。
そして「整理屋」とは、弁護士の資格を持っていないにも関わらず「多重債務者の借金を金融機関などと交渉する」と持ちかけて、仕事として報酬・利益を得ている人のことを指します。
非弁護士による被害
事件屋や整理屋に事件を依頼してしまうと、「高額の金銭の積み立てを要求されたうえに返ってこない」「返済金や預かり弁済金をだまし取られたりして被害に遭う」ケースなど、さまざまなトラブルの原因につながっています。
最近では、弁護士資格を持つ弁護士が事務所の経営に行き詰まって事件屋・整理屋に名義を貸すといったケースもよく見られますので、債務整理などの広告で弁護士の名前が出ているからといって安心してはいけません。
指定された場所に行っても弁護士が一度も直接面談しない、といった対応をされた場合には注意する必要があります。
法律違反にあたります
弁護士資格を持っていない人が報酬を得る目的で、法律事件に関わるなど法律事務を業として行うことは原則として弁護士法72条で禁止されており、違反すると2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます(弁護士法77条)。
この規定は、専門的知識や信用を持つ弁護士以外の人間が法律事件に介入すると、さらなるトラブルに発展する可能性が高いことから設けられています。
事件屋および整理屋は、この弁護士法72条に反します。また、弁護士でないことを知りながら事件を依頼して報酬を支払う場合には、依頼した側も責任を問われる可能性もあります。
また、事件屋や整理屋の多くは暴力団などの反社会的勢力であることが多く、その収益を暴力団活動に用いていることも珍しくありません。
よって、事件屋・整理屋に依頼し報酬を支払っていると、各都道府県の暴力団排除条例で禁止されている「暴力団などに対する利益供与」に該当し罰則を受ける可能性もあります。
法律事件を依頼する場合には、相手が弁護士資格を持っているか(非弁護士でないか)を確実にチェックするようにしましょう。
もし事件屋・整理屋などの非弁護士であることが判明した場合には依頼を取りやめ、すでに契約などをしてしまっている場合は速やかに委任関係を解除するなどの手立てが必要です。