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債権回収

内容証明郵便を受け取り拒否されたら?法的な効力と次に取るべき手順を解説

売掛金の督促のために内容証明郵便を送っても、取引先が受け取りを拒む場合があります。未開封のまま戻ってきた封筒を前に、請求が届いていないのか、時効はどうなるのか、判断に迷うでしょう。


しかし、受け取りを拒まれても、請求の効力は失われません。法律上の扱いを押さえたうえで、次の手続きへ進みましょう。


この記事では、拒否されても意思表示が届いたと扱われる理由を、法律にもとづいて整理します。あわせて、拒否された後に取れる実務の手順まで解説します。

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受け取り拒否された内容証明郵便はどうなる?

受け取りを拒まれた郵便物は、封が開かれないまま差出人へ戻ってきます。表示を見れば、相手が受け取りを拒んだのか、単に不在だったのかも見分けられます。


まずは、拒まれた郵便物がどう扱われるのかを確認しましょう。あわせて、不在で受け取られなかった場合との違いも解説します。

内容証明の受け取りを拒まれる方法

受け取りを拒まれる方法は、大きく2つあります。


1つ目は、配達員に受領拒否をはっきり伝える形です。受取人には郵便物の受け取りを拒む権利があり、拒否の意思を示せば配達は成立しません。内容証明は手渡しで配達されるため、玄関先で断られると差出人へ戻ります。会社宛ての郵便では、受付の従業員が受け取りを断る場合もあります。


2つ目は、居留守です。配達時に応答せず、受け取らないまま放置する形になります。ただし、居留守は「受取拒絶」ではなく「不在」として処理されます。

受け取りを拒まれた郵便物の取り扱い

配達時に受領を拒まれると、郵便物には「受取拒絶」の付箋や印が付けられます。開封されないまま、差出人へ返送される流れです。差し出しから返送までは、数日から1週間ほどを見込んでおきましょう。


返送された封筒は、開封せずに保管してください。封筒の表示は、相手が受け取りを拒んだ事実を示す証拠になります。後の裁判で「書面は知らない」と主張された場合にも、未開封の封筒が反論の材料になるでしょう。


なお、配達証明を付けておくと配達を試みた日付も記録に残せます。返送された事実だけで、請求をあきらめる必要はありません。次の章で説明するとおり、法律は差出人を守る形になっています。

不在で受け取られなかった場合との違い

不在で配達できなかった場合は、郵便受けに不在配達通知書が入ります。郵便物は郵便局で7日間保管され、期間内に受け取りがなければ差出人へ返送される流れです。留め置きの期間は変わる場合もあるため、最新の取り扱いは日本郵便のWebサイトで確認してください。


受取拒絶と不在の違いは、相手の意思表示の有無にあります。受取拒絶は、受け取らないと明確に示した形です。一方、不在は受け取りの機会がなかっただけの可能性も残ります。ただし、通知書を見ながら放置した場合は、実質的に受け取りを避けたと評価される場合があります。


どちらの形で戻ってきたかは、封筒の表示で確認しましょう。

受け取り拒否された場合に知っておきたい「到達主義」の考え方

郵便物が戻ってきても、請求そのものが無効になるわけではありません。民法97条は、意思表示が相手に届いた時点で効力が生じるとする「到達主義」を定めています。


ここでは、到達主義の考え方と最高裁の判断を解説します。

民法97条1項が定める到達主義とは

民法97条1項は、意思表示は相手方に到達した時から効力を生じると定めています。到達主義と呼ばれる考え方です。


ポイントは、法律上の「到達」が相手の了知を必要としない点にあります。了知とは、書面の中身を実際に読んで内容を知ることです。つまり、相手が封を開けていなくても、法律上は届いたと扱われます。


例えば、書面が相手の郵便受けに入った場合、開封されていなくても到達があったとみなされます。家族が受け取って机に置いた場合も同様です。内容証明郵便も、配達によって相手の支配の及ぶ範囲へ入れば、読まれていなくても請求の効力が生じます。


一方で、相手の支配が及ばない場所へ置いただけでは、到達とは認められません。無関係な第三者に書面を渡しても、効力は生じないためです。


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到達主義に関する重要判例

到達主義の考え方に関連する判例として、最高裁平成10年6月11日判決があります。内容証明郵便が不在のため配達されず、保管期間の経過で差出人へ返送された事案で、受取人は、不在配達通知書を受け取りながら郵便物を受け取りに行きませんでした。


最高裁は、受取人が書面の内容を推測でき、受け取ろうと思えば受け取れた事情があれば、遅くとも保管期間が満了した時点で到達したと認められる、と判断しました。つまり、書面が実際に手元へ渡っていなくても、到達とみなされる可能性があります。


相続をめぐる意思表示が争われた事案ですが、到達主義の考え方は売掛金の請求にも共通します。

2020年の民法改正で加わった97条2項

2020年4月に施行された改正民法では、97条2項が加わりました。相手方が正当な理由なく到達を妨げたときは、通常到達すべきであったときに到達したとみなす規定です。受け取り拒否は、到達を妨げる行為の典型といえます。


正当な理由なく受領を拒んだ場合、通常なら配達されていた時点で請求は届いたと扱われます。例えば配達日に受領を拒んだ場合は、拒んだ当日に届いたものとして扱われます。改正前は判例の解釈で処理されていた場面が、条文で明確になりました。


なお、内容証明には催告としての効力があり、到達から6カ月間は時効の完成が猶予されます(民法150条)。ただし、時効の完成が猶予されるのは一度きりのため、期間内に訴訟や調停といった次の手続きへ進む必要があります。時効が迫っている債権では、再送に時間を使いすぎないよう注意してください。


時効の管理に不安があれば、早めに弁護士へ相談しましょう。


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受け取り拒否された後に取るべき対処法

法律上は届いたと扱われても、相手が支払うとは限りません。次の手を早く打つほど、回収の見込みは上がります。


ここでは、拒否された直後から順に取れる対処法を紹介します。

再送する

最初に検討したいのが、再送です。


一度拒まれても、時間を置いて送り直すと受け取られる場合があります。担当者の不在や感情的な反発といった、一時的な事情で拒まれた可能性もあるためです。再送しても状況が変わらない場合に備えて、並行して次の手も準備しておきましょう。


弁護士名義で再送するのも効果的です。差出人が弁護士に変われば、法的手段へ進む本気度が相手に伝わるでしょう。受け取りを拒み続けても不利になるだけだと悟り、支払いに応じる相手も出てきます。弁護士名義での送付は3〜10万円が目安で、代理交渉まで頼む場合より費用を抑えられます。再送の際は、1通目の返送封筒を保管したまま、新しい書面を作成してください。

特定記録郵便や書留で送り直す

内容証明にこだわらず、別の郵便で送り直す方法もあります。


特定記録郵便は、差し出しの記録が残り、相手の郵便受けへ直接投函される郵便です。手渡しではないため、受け取りを拒まれる余地がありません。郵便受けに入れば、相手が知ることのできる状態に置かれたと評価されます。簡易書留は手渡しのため、内容証明と同じく拒まれる可能性が残る点に注意してください。


同じ内容の書面を、内容証明と特定記録の両方で送る方法も実務では使われています。主な郵便の種類と特徴を、表にまとめました。


郵便の種類記録に残る内容配達の方法
内容証明(配達証明付き)文面・差出日・配達日手渡し
簡易書留引き受けと配達の記録手渡し
特定記録郵便引き受けの記録郵便受けへ投函

拒否された後の再送では、特定記録郵便の活用が有力です。費用も抑えられるため、複数回の送付にも向いています。送付の記録は、封筒や控えとあわせて保管します。

メール・FAX・SMSを併用する

郵便と並行して、メール・FAX・SMSでも請求できます。電子的な連絡は、送信の記録が残る点で有効です。メールなら送信履歴、FAXなら送信票、SMSなら画面の記録を保存しておきましょう。メールの件名には請求の趣旨を明記し、後から検索できる状態にしておきます。


送る際は、書面の内容を要約し、支払いを求める意思と期限を明記します。複数の経路で伝えた記録が積み重なるほど、「知らなかった」という相手の主張は成り立たなくなるでしょう。後の裁判で催告の事実を示す材料にもなるため、記録の保存を忘れないでください。

直接訪問する

相手の事務所や店舗を直接訪ねる方法もあります。面会できれば、支払いの意思や資金の状況を直接確かめられます。


訪問時は、日時・場所・相手の発言を記録に残しましょう。念書や支払計画書に署名をもらえれば、有力な証拠になります。念書には、金額と支払期日を必ず入れてもらいましょう。


面会の内容は当日中にメモへ残し、日付を入れて保存します。訪問は2名以上で出向くと、やり取りの証人を確保できて安心です。


ただし、深夜の訪問や長時間の居座りは、恐喝や強要と受け取られるおそれがあります。冷静な話し合いに徹し、危険を感じる相手であれば訪問自体を避けてください。

公示送達を利用する

相手の所在がわからない場合は、公示送達を利用できます。公示送達は、裁判所の掲示場に書面を掲示し、一定期間の経過で相手に到達したとみなす制度です。


ただし、公示送達は所在がわかっていて受け取りを拒んでいるだけの相手には使えません。夜逃げや移転で連絡が取れなくなった場合に、手続きを進めるために使う手段と考えてください。


利用する際は所在調査の資料が必要になるため、弁護士への相談がおすすめです。


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内容証明を送っても債権を回収できない場合の法的手段


取引先に内容証明を送付しても支払いがなければ、裁判所を使った回収へ移りましょう。


主な手続きは、支払督促・少額訴訟・民事調停・通常訴訟の4つです。請求額や相手の対応によって、向いている手続きは変わります。4つの手続きの特徴や期間の目安を、表にまとめました。


手続き向いている場面期間の目安
支払督促相手が争わない見込みの場合1〜2カ月
少額訴訟60万円以下の請求を早く解決したい場合1〜2カ月
民事調停話し合いの余地が残っている場合2〜4カ月
通常訴訟請求額が大きい・相手が争う場合半年〜1年以上

ここでは、4つの手続きをそれぞれ解説します。

支払督促

支払督促は、簡易裁判所の書記官が相手へ支払いを命じる手続きです。申立ては書類だけで完結し、裁判所へ出向く必要がありません。手数料が訴訟の半額で済む点もメリットです。


申立先は、相手の住所地を管轄する簡易裁判所です。書類の書き方は、裁判所のWebサイトでひな形を確認できます。


相手が2週間以内に異議を申し立てなければ、仮執行宣言を経て強制執行を申し立てられる流れです。ただし、相手が異議を申し立てると手続きは通常の訴訟へ移行するため、争う見込みが高い相手には向いていません。


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少額訴訟

少額訴訟は、60万円以下の金銭請求に限って使える訴訟です。原則1回の期日で審理が終わり、即日で判決が出ます。弁護士に頼まず自社で進める例も多く、比較的費用を抑えられる手続きです。


ただし、相手が通常訴訟への移行を求めると、少額訴訟のままでは進められません。利用できる回数にも制限があり、同じ簡易裁判所では年10回までです。少額の売掛金を早く解決したい場面に向いています。


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民事調停

民事調停は、裁判所で調停委員を交えて話し合う手続きです。申立手数料は訴訟より安く済み、話し合いがまとまれば調停調書が作成されます。


調停調書には判決と同じ効力があり、相手が約束を破れば強制執行が可能になります。ただし、相手が調停に出てこなければ成立しません。話し合いの余地が残っている相手に向く手続きです。


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通常訴訟と強制執行

請求額が大きい場合や、相手が争ってくる場合は、通常訴訟の提起を検討しましょう。判決までの期間は争いの程度にもよりますが、半年から1年以上かかるケースもあります。時間も費用もかかるため、最終手段として考えてください。


裁判で勝訴したにもかかわらず相手の支払いがない場合は、強制執行の申立てへ進みましょう。強制執行は、預金や売掛金、不動産を差し押さえ、財産から強制的に回収する手続きです。ただし、相手に財産がなければ、判決を得ても回収はできません。訴訟へ進む前に、法務局の登記情報や決算公告などで相手の財産状況を確かめておきましょう。


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債権回収に追われないための対策

一度未回収が起きると、回収には時間と費用がかかります。取り戻せる金額より、かかる手間のほうが大きくなる場面もあるでしょう。だからこそ、未回収が起きる前の対策が重要です。


ここでは、事前に取れる対策を紹介します。

取引前の与信審査を徹底する

未回収を防ぐためには、取引を始める前の与信審査が重要です。


与信審査では、登記情報や決算書、信用調査会社の報告書などから相手の支払い能力を確かめます。調査の費用は、1件数万円からが目安です。審査の結果に応じて、取引の上限額(与信限度額)を決めておきましょう。


上限を決めておけば、1社への依存が深まる前に歯止めをかけられます。新規の相手だけでなく、既存の取引先も定期的に見直すのが理想です。審査の基準を文書にしておくと、担当者による判断のばらつきを防げます。


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支払いの遅れを早く見つける

未回収は、気づくのが早いほど回収できる見込みが上がります。入金の予定日と実際の入金を毎月照合し、遅れをすぐに検知できる状態にしましょう。


支払いの遅れは、経営悪化の兆候である可能性が高いです。入金管理表を作り、毎月同じ日に確認する運用がおすすめです。


支払いの遅れに気づいたら、放置せずに連絡を入れ、遅延の理由と支払い予定を確かめてください。早く督促できれば、他社より先に回収できる可能性が高まるでしょう。督促の記録は、後の法的手続きでも証拠として使えます。


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契約書に期限の利益喪失条項を入れる

契約書には、期限の利益喪失条項を入れましょう。


期限の利益喪失条項とは、支払いが遅れた場合に残りの債務全額を直ちに請求できる条項です。条項がないと、支払期日が来ていない分は請求できないため、回収が後手に回ります。


あわせて、遅延損害金の利率も定めておくと、支払いを遅らせない抑止力になるでしょう。利率の定めがない場合は、法定利率の年3%が適用されます。条項の文言は、弁護士に確認してもらうと安心です。


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債権回収に有用な「期限の利益の喪失」とは?

売掛保証サービスで未回収リスクに備える

与信管理を整えても、取引先の倒産までは防げません。未回収リスクへの備えとして有効なのが、売掛保証サービスです。取引先が代金を支払えなくなった場合に、保証会社が代わりに保証金をお支払いする仕組みを指します。


「URIHO(ウリホ)」は、月額9,800円〜の定額で利用できる売掛保証サービスです。取引先の倒産だけでなく、支払い遅延にも対応しています。承認率は95%と高く、保証会社が取引先を審査するため、与信管理の負担も軽くなるでしょう。初回の保証開始日から1カ月間は無料です。内容証明の送付や訴訟に追われる前に、そもそも未回収による自社の損失が起きない体制を整えましょう。


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売掛保証とはなにか メリットやデメリット、実際の利用事例をご紹介

まとめ

内容証明郵便の受け取りを拒まれても、請求の効力は失われません。民法97条の到達主義により、相手が中身を知ることのできる状態に置かれていれば、意思表示は届いたと扱われます。返送された封筒は未開封のまま保管し、証拠として残しましょう。


次の一手としては、特定記録郵便での再送や弁護士名義での再送が有効です。支払いがなければ、支払督促や少額訴訟といった裁判所の手続きへ進みます。


ただし、法的手段には時間も費用もかかります。判決を得ても、相手に支払う力がなければ現金は戻りません。だからこそ、未回収リスク自体を減らす対策が欠かせません。


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