キャッシュアウトとは文字どおりキャッシュがアウトすること、つまりキャッシュが外に出ていくことを意味する言葉です。企業は材料を仕入れて商品を製造し販売するのが基本的な活動であり、その裏では多くのキャッシュが出入りします。キャッシュインやキャッシュアウトなどの言葉は、このキャッシュの出入りにまつわるキーワードです。
この記事では、会社におけるキャッシュアウトとは何か、またキャッシュアウトのメリットとデメリット、キャッシュアウトの手法について解説します。
キャッシュアウトとは?
キャッシュアウトとは、企業が何らかの目的でキャッシュを支払うことです。商品やサービスを作るために何かを仕入れるケースや、従業員に給与を支払うことはもちろんですが、それ以外に例えば新たに設備投資をしたり、借入金を返済したりするような場合もキャッシュアウトが発生します。このように、何らかの目的で会社が持つキャッシュが減ることを、キャッシュアウトと呼びます。
なお、キャッシュアウトという言葉にはもう一つ、会社法上の意味があります。会社法におけるキャッシュアウトの定義は、少数株主を締め出すことです。会社は株主のものであり、経営に関する重要な事項は株主の意見をもって決めるのが株式会社の仕組みですが、わずかな株数しか持たない少数株主が大勢いると、経営に関する重要事項の決定がなかなか進まず、意思決定の遅れから機会損失となってしまう可能性があります。意思決定が迅速に進むよう少数株主を排除することを、会社法におけるキャッシュアウトと呼んでいます。
この記事では、キャッシュが会社の外に出ていくという意味でのキャッシュアウトについて、解説いたします。
キャッシュアウトのメリット・デメリット
キャッシュアウトは、仕入れや設備投資など何かしらの目的があって行われるものです。キャッシュアウトの最大のメリットはその目的が達成されることですが、それ以外にもメリットがあります。
キャッシュアウトのメリットのひとつとして、節税があげられます。企業活動により生まれた利益は、そのまま計上すればその分だけ課税されることになりますが、備品購入や設備投資などでキャッシュアウトが生じた場合にはその分利益が減り、税金額も下がります。
節税以外のメリットとしては、資産のうち現金が占める比率を下げることができる点があります。現金比率が高いことは安定経営の観点から基本的には良いとされますが、状況によっては現金比率の高さがネガティブ評価を受けることもあります。例えばこれから拡大していこうとする事業があるにも関わらず、積極的な投資が足りないとみなされるケースです。会社というのは利益を出し続けるのが最大のミッションであり、人件費や研究費の投資、設備投資などを行うことで事業が拡大し利益が大きくなるのであれば、キャッシュは溜め込まず投資にあてるべきだと判断されます。このようなケースでは、キャッシュアウトを行うことで現金比率を下げられる点がメリットです。
キャッシュアウトのデメリットは、会社のキャッシュフローが悪化することです。黒字倒産という言葉もあるように、帳簿上は利益が上がっていても手元にキャッシュがないために倒産してしまう、というケースがあります。計算上、利益が出ているからといって会社のキャッシュフローを確認せずにキャッシュアウトを繰り返していると、自転車操業になってしまうことや、最悪の場合は支払ができずに倒産してしまうことがありえます。
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キャッシュアウトの手法を紹介
キャッシュアウトはお金が会社の外に出ていくことで、その具体的な手法はたくさんあります。例えば来期以降に使う予定の原材料を前倒しで購入したり、社用車や事務所などを新しく契約したりと、さまざまです。原材料の前倒し購入であれば大量仕入れが可能になり、1単位あたりの単価を下げてもらえるよう交渉することもできるでしょう。設備投資や高価格備品の購入であれば減価償却の仕組みにより、帳簿上の利益額を大きく減らすことなくキャッシュアウトすることが可能なケースもあります。
借入金があれば、繰り上げ返済してしまうのもキャッシュアウトの代表的な手法のひとつです。早く返済すればするほど利息分が浮くので、会社が持つキャッシュに余裕がある場合は優先的に実施したい手法のひとつです。
また、賞与や役員報酬などを臨時に支給するという方法もあります。この手法の場合、会社に直接のメリットはありません。しかし賞与や役員報酬などを支給することで社員や役員の勤務意欲が向上すれば、間接的に会社へのメリットが生まれます。
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まとめ
キャッシュアウトとは、会社における支出のことです。具体的には仕入れや諸経費の支払い、設備投資、借入金返済などが該当します。
キャッシュアウトには節税メリットがあるほか、現金比率を下げられるなどいくつかのメリットがあります。反対に、会社にあるキャッシュが減るというデメリットもあります。損益を考えれば積極的なキャッシュアウトを行っていきたいところですが、黒字倒産を招くことのないようにキャッシュフローの管理は徹底しなければなりません。
キャッシュアウトの手法としては、仕入れの前倒しや設備投資、借入金の繰り上げ返済などがあります。また臨時の賞与や役員報酬を支給するのもひとつの方法です。事業拡大や利益向上のために、どこにお金をかければ効果が最も期待できそうかを見極めて、時には積極的なキャッシュアウトを行うのも経営上の戦略のひとつといえます。
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