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債権回収

前受金とは 仮受金との違いや前払い金との違いもあわせて解説

前受け金

前受金は商品やサービスを提供する前に、代金の一部または全額を受け取った場合に仕訳で用いる勘定科目です。2021年に新収益認識基準が導入され、営業に関する前受金は原則的に契約負債として仕訳することが定められました。


この記事では前受金とは何かという基本事項をはじめ、新収益認識基準における前受金の仕訳方法、および前払い金や借受金との違いについて解説いたします。

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前受金とは?

前受金とは、企業や事業主が商品またはサービスを販売提供する前に受け取った代金の一部または全額のことです。たとえば不動産などの売買で買主が売主に支払う手付金や、売買契約時の内金(内入金)などが該当します。


ちなみに手付金には契約金としての意味合いがあり、手付金の放棄や倍額償還によって任意に契約を解除できることが民法で定められています。手付金は契約義務が履行されると代金に充当されますが、契約義務が履行されるまでは代金の一部とはみなされません。


一方、内金には契約解除に関する法律の規定はありませんが、支払われた時点から代金の一部とみなされます。そのため手付金は売買契約の締結と同時に支払われますが、内金は契約後に支払われるのが一般的です。


会計上は手付金と内金も前受金に含まれます。前述のように内金は法律的に代金の一部とみなすことも可能ですが、会計上は契約義務が履行されるまで売上には計上できません。


前受金は2021年適用の新収益認識基準によって契約負債として計上することが義務づけられました。

契約負債とは、契約によって商品やサービスを提供する義務に対して顧客から対価を受領する期限を迎えたにもかかわらず収益が認識できないものをいいます。


この定義は財貨や役務を提供する契約に関する義務を履行した時点で初めて収益が認識できる(収益として計上できる)という国際基準に準拠しています。新収益認識基準も日本的な財務諸表の記入方法を国際基準に統一するために策定されました。

前受金の仕訳方法

前受金を含む契約負債は流動負債に属します。流動負債とは、支払いや引渡しの期限が1年以内に来る負債のことをいいます。契約負債が負債に属するのは、売手が商品やサービスの提供義務を果たして対価を受領した時点で収益を計上するという企業会計原則があるからです。


勘定科目の売上は現金資産に属しますが、前受金は契約の義務が履行されるまでは代金の一部ではなく負債とみなします。なぜなら前受金を受領することで自社の商品やサービスを販売提供する義務を負うことになるからです。


ちなみに流動負債とは前述のように支払期限まで1年以内の短期負債のことで、長期の場合は固定負債となります。ただし流動資産と流動負債の定義については1年基準以外にも正常営業循環基準という概念もあります。


正常営業循環基準とは、正常な営業サイクルの中にある資産と負債は1年を超えても原則として流動資産か流動負債とみなす、という基準です。日本の会計基準では正常営業循環基準が優先し、それに該当しないものには1年基準を適用することになっています。


そのため企業によっては契約負債を流動負債ではなく、その他流動負債及びその他固定負債として処理する場合もありますので、注意が必要です。

勘定科目としての前受金は広く認知されているため、中小企業に対しては従来の仕訳処理も認められています。ただし大企業についてはすでに新収益認識基準の適用が義務づけられており、中小企業への適用もいずれ義務化されることになるでしょう。

前受金(契約負債)を仕訳する場合、受領時に流動負債として計上し、契約義務を完了した時点であらためて売上に計上しなければなりません。受領時の仕訳は借方を現金、貸方を契約負債(旧基準では前受金)として記帳します。

次に商品やサービスを提供して残りの代金を受領した時点で、借方を契約負債、貸方に残りの代金を加えた額を売上として仕訳します。以下にその具体例を示します。

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仕訳の具体例

自社が1,000,000円の商品をA社に販売する契約を締結し手付金として400,000円を現金で受領した場合。


  • 借方に現金 400,000円
  • 貸方に契約負債 400,000円(以前の基準では前受金)

その後、商品をA社に引き渡し、残りの代金600,000円を売掛金として受け取ったら、次のような会計処理が行われます。


  • 借方に契約負債 400,000円、売掛金 600,000円
  • 貸方に売上 1,000,000円

そして、後日売掛金を現金または預金で回収する際は、以下のような消込処理が必要です。


  • 借方に現金または預金
  • 貸方に売掛金

このように、契約が進行するにつれて、適切な会計処理が必要になります。


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前受金と前払金の違い

前受金と混同しやすい勘定科目に前払金があります。前払金とは、事業活動に必要な商品や原材料などを購入する際に代金の一部または全部を前払いした費用のことです。前渡金ともいいます。前受金と前払金の違いは読んで字のごとく受け取る側か払う側かの違いです。

前払金の仕訳は売掛金と同様に流動資産として処理します。前払金には契約金の意味がありますので、先払いの代金として費用に計上することはできません。

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前受金と仮受金との違い

仮受金とは、内容が不明な入金を仕訳する勘定科目のことです。たとえば取引先から複数の売掛金の合計額が入金され、該当する請求書をすぐに特定できない場合、一時的に仕訳するための勘定科目として仮受金を使用します。


仮受金は入金額の詳細が不明な場合に限り一時的に使用する科目です。入金の詳細が明らかになった時点で正しい勘定科目に振替処理しなければなりません。一方、前受金は金額の内容や目的が明白ですので、仮受金とは勘定科目が異なります。

まとめ

前受金とは、商品やサービスを販売提供する前に受け取った代金の一部または全額をいいます。


2021年適用の新収益認識基準によって前受金は契約負債として計上することが義務づけられました。

前受金を含む契約負債は流動負債に属します。

前受金の仕訳は受領時と、売上を計上する時の2回行わなければなりません。

前払金とは、商品や原材料などを購入する際に代金の一部または全部を前払いした費用のことです。

仮受金とは、内容が不明な入金を一時的に仕訳する勘定科目のことです。


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