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決算報告書とは 決算報告書を通して知ることができる経営状況の見方を解説

決算報告書

この記事では、決算報告書に書かれている具体的内容と読み取り方について解説いたします。

決算報告書は、企業の1年間の事業についてまとめた書類です。事業内容、期ごとの経営成績などが書かれており、株主や取引先に自社の経営状況を知らせるために作成されます。

決算報告書にはいくつか呼び名があります。決算書、財務諸表、計算書類なども決算報告書と同じ書類です。

決算報告書の概要を知っておくことで各企業の経営状況を大まかに把握することができるでしょう。

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決算報告書とは?

決算報告書は決算書ともよばれ企業が特定の会計期間(例えば1年など)の終わりに公表する財務に関する報告書のことを指します。決算報告書には以下の5つの書類があります。


  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュフロー計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 個別注記表

特に、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つは「財務三表」として重要視されています。

確定申し立ての際には、決算報告書の開示が必要となり、『事業年度終了後2ヵ月以内』がその提出期限です。なお、事業年度の終了月は、企業により異なることがありますが、3月や12月が主な決算月として知られています。

  • 貸借対照表(B/S)
    貸借対照表とは、通称バランスシートやBSともよばれ、企業の一定時点における財政状態を示すものです。この表にはすべての資産、負債および資本が記載されており、株主や債権者などの利害関係者に向けて、正しい情報を提供するためのものです。
  • 損益計算書(P/L)
    損益計算書は会社の収入と費用(コスト)を対比させて、利益を算出する表です。「Profit&Loss Statement」とも呼ばれ、略してP/Lと書きます。具体的には、売上高、原価、利益、特別利益(固定資産売却、投資有価証券売却などで得た利益)、特別損失(固定資産売却損、滅損損失など)、法人税、当期純利益などの項目があります。
  • キャッシュフロー計算書(C/F)
    キャッシュフロー計算書は、キャッシュ(資金)の流れが記された書類です。会計期間中にどのようにキャッシュが出入りしたのか、残高はいくらか、どのような理由で金銭の支出があったか、などを記しています。
    貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書は財務諸表の中でも特に重要な書類として、『財務三表』と呼ばれています。
  • 株主資本等変動計算書
    株主資本等変動計算書では、純資産の変動を把握できます。貸借対照表の純資産の部分にある、一会計期間における変動額のうち、株主資本の各項目の変動について報告するために作成されます。中でも当期首残高、当期変動額合計、当期末残高が特に重要な3項目で、これらを見ることで純資産の変動が分かります。
  • 個別注記表
    個別注記表はその名の通り、注意事項について記載するものです。貸借対照表、損益計算書などの決算書に関する補足情報をまとめて記載した表です。全19項目あります。

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決算報告書の開示義務について

決算報告書は企業の財務状況を示す重要なものです。この報告書を通じて、企業の経営状況が公にされることが期待されており、正確な情報提供を目的として国や株主への開示が義務づけられています。

特に、上場企業は有価証券報告書として決算情報を一般公開する必要があり、その内容は各社のIR情報や四季報、日経会社情報などで確認することができます。

一方、非上場企業にも開示義務はあるものの、中小企業の中には実際に開示を行っていない場合もありますが、株主や債権者への情報提供は義務であり、公には公開していなくても、開示を求めれば閲覧することが可能です。

決算報告書の開示の方法や範囲は、会社法や金融商品取引法、法人税法などにもとづき決定されています。税務署への報告は全企業に義務づけられており、確定申し立ての際には貸借対照表や損益計算書などの書類提出が求められます。また、特定の株主や債権者からの開示請求があった場合、企業はこれを拒否することができず、罰則が発生することがあるので注意が必要です。

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決算報告書から経営状況を知る方法

決算報告書を読めるようになると、会社の経営状況が分かるようになるでしょう。今回は、以下3点について解説をいたします。


  • 収益性の分析
  • 成長性の分析
  • 健全性の分析

収益性の分析

会社が利益をどのくらいあげているかは、会社の経営状況を知る上で重要な点の1つです。決算報告書の収支(損益計算書)を見れば、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益などの指標を元に詳しい分析もできます。

例えば売上高総利益率を決算報告書の数字からだしてみましょう。

売上高総利益率は、企業の財務指標の1つで、企業の収益性を示す指標です。この率は、売上高に対する総利益の割合を示しており、以下の式で計算されます。

売上高総利益率=売上総利益/売上高×100 


  • 総利益 = 売上高 – 売上原価
  • 売上高 = 製品やサービスの販売から得られる収入の合計

売上高総利益率が高いということは、売上1円あたりの利益が高いことを意味し、原材料や人件費などのコストを抑えて製品やサービスを販売していることを示しています。逆に、この率が低い場合、企業は売上に対する利益が少ないため、経営の効率や収益性に問題がある可能性が考えられます。

成長性の分析

決算報告書から、その企業が成長しているかも判断できます。成長性を見るには『売上高伸び率』『営業利益伸び率』『経常利益伸び率』の3点を見ていくことが必要です。

  • 売上高伸び率
    売上高伸び率は、会社の商品やサービスがユーザーにどれだけ評価されたか、サービスの開発や販売力が優れているかなどを判断する指標です。
  • 営業利益伸び率
    営業利益伸び率は会社が本業で得た利益を指すため、順調に成長している会社はこの営業利益伸び率が高くなっています。
  • 経常利益伸び率
    経常利益伸び率は、営業利益だけではなく、受取利息をプラスし支払利息をマイナスしたものなので、実質の伸び率を測れます。会社本来の持っている力を示す指標として重要な値です。

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健全性の分析

健全性、安全性の分析では企業の財務状況や資金繰りがどの程度うまくいっているか、債務不履行などで倒産することがないか、などが分かります。主に『流動比率』『当座比率』『固定比率』『自己資本比率』などが重要な指標です。


流動比率は流動資産(1年以内に現金化できる資産)を処分した際に流動負債(1年以内に支払いを要する負債)に対する割合を示したものです。債務があった場合の短期的な返済能力が測れます。一般的には200%以上の流動比率が理想とされていますが、120%程度で推移する業種もあるため、会社の規模や顧客からの支払い期間・方法などによっても異なります。

  • 当座比率

当座比率とは、当座資産の流動負債に対する割合を指し、流動比率の補助的役割を持っています。流動資産の内、特に早く現金化できる現金預金、受取手形、売掛金、有価証券の4項目を当座資産と呼びます。当座比率が高いほど短期的な債務の返済能力が高いと判断できます。

  • 固定比率

固定比率とは、自己資本(純資産)に対する固定資産の割合を示しています。固定資産がどの程度、自己資本でまかなわれているかを測る指標です。固定比率が低いほど安全性が高いと判断します。

  • 自己資本比率

自己資本比率とは、総資本のうち、純資産がどのくらいの割合を占めているかを測ります。自己資本比率が高いということは、返済しなければならない負債(他人資本)が少なく、企業の健全性が高いと判断できます。30%が1つの目安で、30%を下回る企業は自己資本比率が低いと言われています。


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まとめ

決算報告書とは企業の特定期間の経営成果と財務状況を示す文書です。主な内容としては貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の5つの書類が含まれます。この中でも貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つは「財務三表」として特に重視されています。

企業は確定申し立ての際にこれらの文書の開示が必要で、提出期限は事業年度終了後2ヵ月以内です。公開義務に関して、上場企業は一般公開する必要があり、非上場企業も特定の株主や債権者には開示が必要です。

決算報告書からは会社の収益性、成長性、健全性を評価することができます。これにより、企業の経営状況や財務健全性を詳細に把握することが可能となります。

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