日本中の食卓やコンビニの棚に激震が走っています。大手スナック菓子メーカーのカルビーが、主力商品のパッケージを従来のカラフルなデザインから「白黒2色刷り」へ変更することを発表したニュースは、記憶に新しいのではないでしょうか。
この異例の事態の背景にあるのが、中東情勢の緊迫化に伴う「ナフサ(粗製ガソリン)の調達への懸念」です。この未曾有の事態が引き起こす「ナフサショック」は、単なる燃料高騰の枠を超え、いまや印刷業界や包装業界の存続を揺るがす死活問題となっています。
今回は、そもそもナフサショックとは何なのか、そして印刷業界が直面している「悲鳴」や「未入金・連鎖倒産のリアルなリスク」について具体的に解説します。
1. そもそも「ナフサショック」とは?なぜポテチの袋が白黒に?
「ナフサ(粗製ガソリン)」という言葉は、普段の生活ではあまり馴染みがないかもしれません。しかし、私たちの身の回りにあるプラスチック、ビニール、合成繊維、そして印刷インキにいたるまで、世の中の「身近な化学製品」のほぼすべてが、このナフサを原料(基礎化学品)として作られています。
現在起きている「ナフサショック」とは、原油価格の高騰や中東情勢の緊迫化、物流網の混乱などが重なり、日本国内へのナフサの供給量が激減・価格が暴騰している現象を指します。
【注釈】 なお、政府は「ナフサ由来の化学製品の供給は、年を越えて継続できる見込み」と発表しています。政府による総量の確保は進む一方で、末端の製造・流通現場では資材のミスマッチや一時的な偏り、価格高騰の影響が依然として強く残っているのが現状です。
【出展】首相官邸「中東情勢に関する関係閣僚会議」
https://www.kantei.go.jp/jp/105/actions/202604/30kaigi_middle-east.html
ガソリンや灯油であれば「乗るのを控える」「節電する」といった対策が取れますが、モノの製造現場ではそうはいきません。 カルビーが主力商品の色数を絞ったのは、単なるコスト削減ではなく「パッケージを印刷するためのカラーインキや、お菓子を包むプラスチックフィルムの原材料そのものが国内に入ってこない」という、供給不安を懸念した苦渋の決断だった可能性が高いです。
2. 印刷現場から上がる「悲鳴」:資材の激変とコスト暴騰
最も深刻なのは、印刷に不可欠な「インキ」と「フィルム(袋)」の調達難とコストの急騰です。
① インキが届かない・作れない
印刷インキの製造に必要な「樹脂」「添加剤」「溶剤(シンナーなど)」の多くは、ナフサ由来の基礎化学品です。化学大手メーカーからインキメーカーへの供給が制限されたことで、仕入れ価格はすでに高騰しています。
② 「色を選べない」という異常事態
カルビーが「うすしお」や「かっぱえびせん」など主力14商品の色数を絞ったように、多色刷りを維持するためのカラーインキ不足が危惧されています。「デザインの美しさ」よりも「商品の安定供給」を最優先せざるを得ず、印刷の本質であるアイデンティティが失われかねない危機に直面しています。
③ パッケージ用フィルムの枯渇
食品袋に使われるポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、ラミネート加工用の特殊フィルムもすべてナフサが原料です。インキだけでなく、「印刷を施す対象の袋そのものが手に入らない」という二重苦が現場を襲っています。

3. 営業現場が抱える「懸念」:顧客の紙離れ・デジタル化の加速
ナフサ不足に起因する資材高騰と納期遅延は、印刷会社のビジネスモデルそのものを崩壊させる懸念を孕んでいます。
① 「紙カタログ・販促物」の強制デジタル化
チラシやパンフレットに使われる「塗工紙(コート紙)」の製造業でも、約8割の企業が調達リスクに直面しています。印刷会社が「資材不足で納期が読めない」「値上げせざるを得ない」とクライアントに伝えた結果、「これを機に紙のカタログを廃止し、完全デジタル(PDFなど)へ移行しよう」と、紙媒体から永久離脱されるケースが相次いでいます。
② デザイン変更にともなう受注減
大企業であれば「供給維持のための英断」として世間に受け入れられますが、中小の食品メーカーや地域の特産品のパッケージが白黒になれば、「美味しそうに見えない」と売上が落ちる危険があります。それを恐れたメーカー側が「新商品の発売やパッケージ刷新自体を凍結する」動きに出ており、印刷会社への発注自体がストップする二次災害が懸念されています。
4. 最も恐ろしい「倒産リスク」と「未入金・孤立」の恐怖
帝国データバンクの調査によると、ナフサ関連の調達リスクに直面する国内企業は4万6,000社を超えており、プラスチック製品メーカーなどの大型倒産も発生し始めています。特に中小の印刷会社にとって、ここからのリスクは「自社の経営」だけでなく「取引先からの未入金」という形で牙をむきます。
① 価格転嫁ができず「資金ショート」
仕入れ価格が跳ね上がる一方で、発注元(川下のメーカーや小売)への価格転嫁の交渉が難航するケースは後を絶ちません。終わりの見えないコスト増を自社で被り続けた結果、キャッシュが底を突き、黒字であっても資金繰り破綻(黒字倒産)する企業が今夏にかけて急増すると警戒されています。
② 「サプライチェーン未入会・孤立企業」の淘汰
大手印刷会社や、大手インキメーカーの特約店であれば、優先的に少ない資材を回してもらえる可能性があります。しかし、どのネットワークにも属さず、横のつながり(組合や業界団体など)に「未入会」の独立系中小印刷会社は、供給制限の際に真っ先に「供給カット」の対象になりやすく、事業継続が困難になるリスクが極めて高い状態です。
③ 「製品があるのに出荷できない」連鎖倒産の引き金に
もしパッケージを製造する印刷会社が倒産したり、資材不足で納品がストップしたりしたらどうなるでしょうか? 今度は食品メーカーや製造業側が「中身(お菓子や部品)はあるのに、包む袋や梱包資材がないから出荷できない」という事態に陥ります。出荷が止まればメーカーの売上は途絶え、そこへ資材を納めていた他のサプライヤーへの「売掛金の未入金」が発生します。
このように、印刷業界の危機は、一業種のドミノ倒しに留まらず、日本のサプライチェーン全体を巻き込んだ「連鎖倒産」へと発展するリスクを秘めているのです。
【出典】 帝国データバンク:「ナフサ関連製品」サプライチェーン動向分析調査
https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260417-naphtha26fy/
5. 出口の見えない三重苦時代、売掛金の「未入金リスク」への備えは万全ですか?
カルビーの白黒パッケージは、決して他人事ではなく、日本経済全体に迫る危機の前兆にすぎません。
現在の印刷業界および関連サプライチェーンは、
- 「材料(インキ・フィルム)が高すぎて買えない、売ってもらえない」
- 「無理に値上げすれば顧客がデジタルへ逃げていく」
- 「取引先の資金繰り悪化による連鎖倒産(未入金)の足音が近づいている」 という、出口の見えにくい三重苦の中にいます。
このような不測の事態、急激な環境変化の時代において、企業が最も守らなければならないのは自社のキャッシュです。「まさか、あの取引先が」「長年の付き合いだから大丈夫」という油断が、一瞬にして自社を連鎖倒産の渦に巻き込む経営危機へと変貌させます。
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