中堅・中小企業の経営者の皆さま、自社の「与信管理」は万全でしょうか?
これまでブログでは、「31年ぶりの金利1%時代による資金繰り悪化」や「物流の2024年問題のその後」、「社会保険の適用拡大による人件費高騰」など、様々な経営圧迫リスクについて解説してきました。
原材料費も、人件費も、借入コストもすべてが上がる。そんな「コスト高時代」の2026年現在、本当に恐ろしいのは自社の負担増だけではありません。最も警戒すべきは、これらのトリプルパンチに耐えかねた取引先がある日突然倒産し、「売掛金が回収できなくなること」です。
今回は、最新の倒産統計データをもとに、今多くの企業が直面している「売掛金未回収」のリアルなリスクと、自社を守るための防衛策を分かりやすく解説します。
16ヵ月連続で「売掛金等回収難」が原因の倒産が発生中
東京商工リサーチが発表した「全国企業倒産状況」によると、月間の企業倒産件数は780件となっており、
2026年1〜5月の累計では4,325件と、前年同期を上回るペースで推移しています。
また、負債額「1,000万円未満」の小規模倒産も、2026年1~5月累計が前年を上回るペースで推移しています。
依然として「物価高倒産」が6ヵ月連続で前年同月を上回るなか、注目すべきは倒産の「主因(理由)」です。
中小企業庁が公表している、倒産の状況(2026年5月分)を見ていくと、
「売掛金等回収難」による倒産が、16ヵ月連続で発生しており、注意が必要なことが分かります。
メディアで大きく報道される大企業の倒産ではなく、中堅・中小企業の身近にある、資本力の弱い取引先が「売掛金を回収できなくなったこと」をきっかけに連鎖的に力尽きてしまう倒産が、今まさに急増しているのです。
【出典】東京商工リサーチ 全国企業倒産状況
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1202921_1610.html
【出典】東京商工リサーチ TSRデータインサイト
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202935_1527.html
【出典】中小企業庁 倒産の状況
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/tousan/index.html
売掛金が回収できない!企業が直面する3つの致命的リスク
もしも、長年付き合いのある重要な取引先から、突然「今月の支払いを待ってほしい」と言われたり、最悪の場合、そのまま倒産してしまったらどうなるでしょうか。「売掛金が回収できない」という事態は、自社に以下のような連鎖的リスクをもたらします。
1. 自社のキャッシュフローが一瞬でショートする
中堅・中小企業にとって、売掛金は数ヶ月後の「現金」そのものです。それが計画通りに入金されないということは、入ってくるはずのお金がゼロになるということ。しかし、自社が支払うべき「仕入れ代金」「従業員の給与」「オフィスの家賃」の期日は待ってくれません。大口1社の未回収が発生しただけで、自社の資金繰りは一気に破綻寸前まで追い込まれます。
2. 銀行からの信用失墜と融資への影響
売掛金の回収不能(貸倒れ)が発生すると、決算書上では大きな「損失」として計上されます。これを見た金融機関は、「この会社は与信管理(取引先の審査)が甘い」「経営リスクが高い」と判断せざるを得ません。結果として、追加融資の審査が厳しくなるなど、自社の資金調達力そのものが低下してしまいます。
3. 最悪の結末:自社の「黒字倒産(連鎖倒産)」
どれだけ自社の製品が売れていて、帳簿上は黒字であっても、手元の現金がなくなれば会社は倒産します。取引先の倒産に巻き込まれる形で、自社もろとも倒産してしまう「連鎖倒産」は、決して他人事ではありません。必死に汗を流して売上を作っても、最後の「回収」でつまずけば、すべての努力が吹き飛んでしまうのです。

「200万円の未回収」を穴埋めするために、必要な売上はいくら?
ここで、売掛金が回収不能になることの恐ろしさを、具体的な数字で考えてみましょう。
例えば、利益率10%のビジネスを営んでいる会社で、「200万円の売掛金が回収不能」になったとします。
この失った200万円の穴埋めをするために、どれだけの売上が必要かご存知でしょうか?
答えは、「新たに2,000万円の売上」です。
利益率が10%の場合、200万円を稼ぐには2,000万円売る必要があります。
売掛金が入金されないということは、それだけ自社の経営に致命的な打撃を与えるのです。
2,000万円の新しい案件を獲得し、納品し、今度こそ確実に回収する――。
これがどれほど過酷で、気が遠くなるような作業であるかは、経営者の皆さまなら誰もが痛感されるはずです。
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