売掛は、企業の資金繰りや経営の安定に深く関わる重要な取引形態です。そのため、売掛の仕組みや会計処理を正しく把握しておくことは、経理担当者に限らず、経営や営業に携わるすべての人にとって欠かせません。
この記事では、売掛の基本的な意味から仕訳方法、導入にあたってのメリットとデメリット、また回収不能リスクを防ぐための対策までを体系的に解説します。
売掛とは 類似用語との違い
売掛とは、商品やサービスを提供した後日に、代金を受け取る約束をした商取引の形態です。
個人間の商取引では、現金払いが一般的です。しかし、BtoBの企業間取引では取引頻度や金額が大きいため、現金払いは非効率です。そのため、企業間では後払いの掛取引が広く採用されています。
掛取引では、各取引が完了した時点では代金の支払いが行われず、月末締め翌月末払いなど、一定の締め日と支払期日を事前に取り決めてまとめて請求します。いわば「後払い」の形態であり、飲食店の「ツケ払い」に似た取引形態です。
例えば、6月1日から30日までの期間において、販売者が顧客と複数回の取引を行った場合、その代金は月末に請求書としてまとめて送られます。そして、顧客は7月末までにその請求に基づいて支払いをする流れになります。
掛取引は信用取引とも呼ばれ、双方の信頼関係がなければ成り立ちません。信用取引は、業務の効率化や振込手数料の削減に寄与する一方、適切に管理しないと資金繰りの悪化や未回収リスクが生じる可能性があるので、注意が必要です。
会計帳簿には、売掛は一般的に「売掛金」として記録されます。売掛金とは、商品やサービスを提供した後で、顧客から将来的に受け取る権利を意味する会計上の資産です。
ここでは、売掛金が発生する取引の種類や類似用語との違いを解説します。
売掛が発生する取引
「売掛金」は、どの業界にも存在する取引形態ですが、内容は業種によって異なります。
主な売掛金の発生例は次のとおりです。
【1】製造業・小売業などの物販系
・商品、製品、半製品、原材料などを掛取引(後払い)で販売した際の代金
・取引に関連して発生する運送料・振込手数料・サービス料などの未収分
【2】サービス業・飲食業・宿泊業
・未払いの飲食代金や宿泊費
・サービス提供後に支払いがされていない料金
【3】レンタル業・リース業
・未払いのレンタル料やリース料
・継続契約に基づいて発生した未収代金
【4】修理業(自動車・機械など)
・修理完了後の修理費の未収分
【5】教育・医療・不動産関連業
・学習塾の月謝
・医療機関の診療費の未払い分
・不動産業における家賃・管理費の未収分
【6】建設業・設備工事業
・工事完了後に発生する請負代金の未収分 ※請負代金とは、契約に基づいて工事を終えた際に請求できる代金のこと
・建物の引き渡し前に支払われる手付金・内金 ※取引が完了していないため、「前受金」として処理される
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売掛と買掛の違い
買掛は、商品やサービスを掛取引で購入した企業が後日にその代金を支払う義務を指します。
売主の立場から見ると、同じ取引は「売掛」と呼ばれます。つまり、代金を請求する側が「売掛」、支払う側が「買掛」という関係です。
会計上は、売掛は「売掛金」、買掛は「買掛金」という勘定科目で処理されます。
同じ取引先に対して、売掛と買掛が同時に発生することも珍しくありません。例えば、A社がB社に商品を販売し、同時にA社がB社から別の商品を購入する場合、A社とB社に売掛金と買掛金がそれぞれ発生します。
このような場合、両者がそれぞれ取引期日に相殺され、売掛金と買掛金を相互に差し引いて差額のみを支払うという形で決済が完了します。これにより、支払い・回収の手間を省いて取引の効率化を図れます。例えば、A社の売掛金が100万円、B社の売掛金が80万円であれば、A社は差額の20万円を受け取るだけで決済が完了します。
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売掛金と売上債権の違い
売上債権とは、企業が商品やサービスを提供した後に、取引先から代金を受け取る権利を指します。会計上では「後日代金を受け取ることができる権利」として扱われ、貸借対照表では流動資産として計上されます。
売上債権には、「売掛金」や「受取手形」などが含まれます。
つまり、売掛金と売上債権どちらも「販売したが、まだ現金を受け取っていない状態」を表していますが、売掛金は売上債権という広い概念の中に含まれる一部の項目です。支払い方法が現金であれば「売掛金」、手形であれば「受取手形」として処理されます。
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売掛金と未収入金の違い
未収入金とは、営業活動以外の取引で発生した未回収金のことです。
売掛金と未収入金の違いは、本業の営業活動で発生した債権かどうか、という点にあります。
例えば、不動産会社が所有する物件で発生する未回収の家賃は、営業活動による債権として売掛金に計上します。
一方、事業目的が不動産の賃貸管理以外の会社において、会社が所有する不動産の貸付で未回収の家賃が発生した場合は、営業活動以外の債権として未収入金に計上します。そのほか、固定資産の売却など本業以外で発生した未回収金も「未収入金」に計上します。
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売掛と売上の関係性
売上とは、企業が商品やサービスを販売し、取引が完了した時点で発生する収益を指します。
企業会計では、取引が成立した時点で売上を計上します。一方、売掛はその取引によって生じる「後日代金を受け取る権利」を意味します。つまり、売上は企業が得た利益のもととなる収益を表し、売掛はその売上を裏づける資産として記録されるものです。
両者は密接な関係にありますが、会計上の位置づけは異なります。売上は損益計算書において収益として扱われ、企業の経営成果を表す重要な指標です。これに対して売掛金は、貸借対照表の資産の部に記載されるもので、まだ現金として受け取っていない将来の入金予定額を示します。
売掛金が増加するということは、企業が販売した商品やサービスの対価をまだ受け取っていない状態、つまり「将来的に現金として入ってくる見込みがある状態」を意味します。
売掛の仕訳例について
売掛金は「将来受け取る予定の代金」を資産として扱う勘定科目です。そのため、売掛金が発生した場合は、正しく記帳しなければなりません。
ここでは、売掛金が発生したとき・売掛金を回収したとき・回収が困難になったときの3つのケースをそれぞれ解説します。
売掛金が発生したとき
例えば掛取引で100万円の商品を販売した場合、三分法による仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 売掛金 | 1,000,000 | 売上 | 1,000,000 |
この仕訳は、「商品を販売したが、代金はまだ受け取っていない」という状態を表します。
借方の「売掛金」は、将来受け取る予定の金額を示す資産の増加、貸方の「売上」は販売による収益の発生を表しています。
売掛金を回収したとき
例えば取引先から代金を現金または預金で受け取った場合は、次のように仕訳します。
| 借方 | 貸方 | ||
| 現金預金 | 1,000,000 | 売掛金 | 1,000,000 |
この仕訳によって、資産の「現金預金」が増加し、同額の「売掛金」が減少します。これにより、未回収だった売掛金が現金化されたという状態を表します。
売掛金の回収が困難なとき
取引先の倒産などにより売掛金の回収が難しくなった場合には、次のように貸倒処理を行います。
| 借方 | 貸方 | ||
| 貸倒引当金繰入 | 1,000,000 | 売掛金 | 1,000,000 |
この仕訳により、回収不能となった売掛金を「費用(損失)」として処理します。「貸倒引当金繰入」は損益計算書の営業外費用に計上され、企業の利益を減らす要因となります。
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売掛のメリット・デメリットについて

売掛は企業間取引を円滑に進めるための仕組みですが、導入するにあたってはメリットとデメリットの両方があります。
ここでは、主なメリットとデメリットを3つずつ、それぞれ具体的に解説します。
メリット①:決済業務を効率化できる
掛取引を導入することで、取引のたびに都度支払いをする必要がなくなり、一定期間分をまとめて請求・決済できるようになります。そのため、請求書の発行・入金確認・領収書の発行といった経理処理が大幅に削減され、決済業務の効率化が実現します。
例えば、現金取引を行う場合、取引ごとに領収書を発行し、会計ソフトへの記帳や入金照合を毎回行わなければなりません。しかし、掛取引を採用して「月末締め翌月末払い」といったルールを設ければ、月単位で請求処理をまとめられます。
また、買い手にとっても支払いをまとめられる点は大きな利点です。複数の仕入先を抱える企業では、支払い日や金額を整理しやすくなり、キャッシュフローの見通しも立てやすくなります。
また、最近では「請求書発行システム」や「クラウド会計ソフト」といったツールを導入する企業も増えています。これらのシステムを活用すれば、掛取引の請求・入金状況をリアルタイムで把握でき、売掛管理の精度も高まります。
メリット②:多額の取引ができる
掛取引を導入すれば、企業は資金の即時負担を軽減できます。
買い手は支払いを後日にできるため、手元資金に余裕がなくても仕入れや発注を進められます。売り手にとっても取引機会が増え、売上拡大につながるでしょう。
例えば、製造業や建設業などでは、1回の受注金額が数百万円から数千万円にのぼることもあります。こうした高額取引で「現金払いのみ」と条件を設定してしまうと、買い手の資金繰りが厳しくなり、商談が成立しない場合があります。
しかし、掛取引を導入すれば買い手は支払い猶予を得られるため、取引が成立しやすくなります。
また、掛取引は取引先との長期的な信頼関係を築く上でも有効です。例えば、支払い猶予を与えることで「信用されている」と感じた取引先は、他社よりも継続的な取引を優先する傾向があります。こうした信頼関係の積み重ねが、将来的なリピート受注や安定した取引基盤の形成につながるのです。
メリット③:予算を管理しやすい
売掛取引では、支払いや入金のタイミングを一定期間にまとめられるため、資金の流れを明確に把握できます。そのため、毎月の売上見込みや入金予定を可視化し、将来的な資金繰り計画を立てやすくなります。
例えば、「今月末に3社から計500万円の入金がある」と把握できれば、来月の仕入れや人件費の支払い計画を立てやすくなります。
複数の取引先を持つ企業では、「売掛金台帳」や「売掛管理システム」を活用することで、入金予定・回収状況を一覧で管理でき、経営判断を迅速に行うことが可能です。
また、月ごとの売上や未回収金の推移を分析することで、売上の季節変動や取引先の支払傾向を把握でき、経営戦略の見直しにも役立ちます。
デメリット①:不良債権になるおそれがある
売掛取引の最大のリスクは、代金の未回収リスクです。
取引先が倒産したり、資金難で支払いが遅れたりすると、売掛金が「不良債権」となってしまいます。不良債権が発生すれば、企業の資産が減少し、キャッシュフローが悪化します。
特に中小企業の場合、1件の未回収が経営全体に深刻な影響を及ぼすことも少なくありません。
デメリット②:督促業務の負担が大きい
支払期日を過ぎても、売掛金の入金がないケースが少なくありません。この場合、電話やメールでの督促が必要になり、時間と労力がかかります。
特に取引先が多い企業では、入金確認・催促・再請求の管理を継続的にする必要があり、経理担当者の負担が増します。
また、督促の仕方によっては取引先との関係悪化を招くおそれもあります。過度に強い口調で催促すれば信頼関係が損なわれ、逆に遠慮しすぎると支払いが遅れがちになるなど、対応のバランスが難しい点も課題です。
デメリット③:キャッシュフローが悪化しやすい
掛取引では、売上を計上してもすぐに現金が入るわけではないので、キャッシュフローが悪化しやすいです。
売上発生から入金までに1~2カ月以上かかることもあります。その間に仕入れや人件費の支払いが重なると、資金繰りが一時的に厳しくなるおそれがあります。
特に、成長期の企業や資金余力の少ない中小企業では、「黒字倒産」の原因になるケースもあります。黒字倒産とは、帳簿上は利益が出ているにもかかわらず、実際の手元資金が不足して倒産に至る現象です。
黒字倒産を防ぐには、回収サイト(支払期日)の短縮や分割請求の導入が効果的です。
また、次の章で紹介する「ファクタリング」や「売掛金保証サービス」を利用すれば、売掛金を早期に現金化したり、貸倒れリスクをカバーしたりできます。
売掛の回収不能リスクを避けるには
売掛が約束の期日に回収できれば問題ありませんが、支払いが滞ると資金繰りの悪化につながります。そのため、回収不能リスクを回避するための対策が欠かせません。
ここでは、有効な5つの対策を詳しく紹介します。
【対策①】与信管理を徹底する
掛取引は信用取引とも呼ばれ、双方の信頼関係がなければ成り立ちません。信用取引は、業務の効率化や振込手数料の削減に寄与する一方、適切に管理しないと資金繰りの悪化や未回収リスクが生じる可能性があります。
そのためにも、与信管理を徹底しましょう。与信管理とは、取引先が支払いをきちんと履行できるかを見極めるための信用調査です。
与信管理は、以下の手順で実施します。
1. 取引先の情報収集
まずは、取引先の基本情報(会社概要・代表者・所在地・設立年・業種など)を調べます。可能であれば、会社パンフレットやホームページから経営方針や実績を確認します。
情報量が多いほど正確な判断ができるため、多角的な情報収集を意識しましょう。
2. 取引先の信用力の評価
収集した情報をもとに、取引先の信用力を評価します。評価の際は「定量分析(数値に基づく評価)」と「定性分析(数値で表せない印象面の評価)」の両面から判断するのが基本です。
3. 与信限度額の設定
与信限度額とは、取引先ごとに商品を販売してよい上限金額をあらかじめ決める制度です。与信限度額の設定は、「取引先の信用度」「取引条件(支払いサイトや回収方法など)」「自社の資金力やリスク許容度」の3つの観点をもとに決めましょう。
取引先の経営状況は、時間とともに変化します。好調だった企業でも、業績悪化や倒産のリスクが突発的に生じることがあります。そのため、年に1回は決算期ごとに信用状態を見直しましょう。
また、支払いの遅れが見られた場合や、経営者交代・業績悪化などの兆候がある場合には、すぐに与信限度を再検討することが大切です。
与信管理は経理部門だけでなく、営業部門や経営層との連携も欠かせません。営業担当が現場で得た情報(支払い遅延、取引先の資金難の噂など)は、早めに共有し、必要に応じて取引条件を変更しましょう。
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【対策②】貸倒引当金を適切に設定する
どれだけ慎重に与信管理を実施しても、すべての取引で未回収を防ぐのは難しいのが現実です。そのため、将来起こり得る貸倒れに備えて、「貸倒引当金」を適切に設定しておきましょう。
貸倒引当金とは、将来発生するかもしれない貸倒れに備えてあらかじめ費用として計上しておく制度です。あらかじめ予想される損失を見込んでおくことで、実際に貸倒れが発生した際も急激な利益の減少を防ぎ、財務の安定性を維持できます。
貸倒引当金の設定額は、過去の貸倒実績や業界平均、取引先のリスクなどをもとに決めます。一般的には、売掛金残高に対して一定の割合(例:1~3%)を掛けて計算するケースが多いです。
例えば、売掛金残高が1,000万円あり、そのうち1%を貸倒見込額とする場合、次のように仕訳します。
| 借方 | 貸方 | ||
| 貸倒損失 | 100,000 | 貸倒引当金 | 100,000 |
このように引当金を設定しておけば、翌期に実際の貸倒れが発生しても、損失をすでに見込んでいるため財務上の影響は軽微で済みます。
ただし、貸倒引当金は一度設定すれば終わりではありません。毎期の決算時に残高やリスク状況を見直す必要があります。新しい取引先が増えた場合や、経済環境の変化で貸倒リスクが高まった場合は、設定率を都度見直しましょう。
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【対策③】売掛金の消滅時効に注意する
売掛金や受取手形などの「売掛債権」には、消滅時効が定められています。
消滅時効とは、債権者(売り手)が一定期間、債権を請求しないまま放置した場合に、その権利が法的に消滅する制度を指します。つまり、売掛債権を長期間放置すると、法律上は債権を回収できなくなるのです。
このような事態を防ぐためにも、売掛債権の「時効期間」と「起算点」を正確に理解しておきましょう。
売掛債権の時効期間は原則として「支払期日の翌日から5年」です。
例えば、支払期日が2025年3月31日であれば、2025年4月1日から時効期間が進行し、2030年3月31日に消滅時効が成立します。
ただし、時効中断事由があれば、時効の完成を猶予したり更新(リセット)したりできます。「時効中断事由」には、内容証明郵便による請求、訴訟の提起、支払いの一部受領などが含まれます。
売掛金の時効完成を防ぐためには、以下4つの対策を実践しましょう。
・定期的な請求と督促:支払期日を過ぎた債権には、電話・メール・内容証明郵便で督促を継続する。
・時効中断の記録:督促の記録や交渉履歴を残し、いつ中断が発生したかを明確にしておく。
・管理システムの活用:売掛金の発生日・支払期日を自動で管理し、時効の完成前にアラートを出すシステムを導入する。
・法的手続きの検討:繰り返し督促しても入金がない場合は、支払督促の申立てや少額訴訟を検討する。
特に、複数の取引先を抱える企業では「時効管理台帳」を作成し、支払期日から経過した期間を一覧化しておくとよいでしょう。時効の完成が迫っている債権を早期に特定でき、対応を取る判断がしやすくなります。
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【対策④】ファクタリングを活用する
ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社に売却し、代金を早期に現金化する方法です。これにより、入金待ち期間を短縮し、資金繰りを安定させられます。
ファクタリングには、主に「買取型」と「保証型」があります。
買取型ファクタリングは、売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらう方法です。すぐに資金を受け取れるのが利点ですが、手数料が発生します。取引先に知られずに実施する「二社間ファクタリング」と、取引先を含む「三社間ファクタリング」があり、一般的には三社間のほうが手数料は低めです。
保証型ファクタリングは、売掛金に保険をかける方法です。売掛先が倒産などで支払えなくなった場合、保証会社が代わりに支払います。資金調達そのものではありませんが、貸倒リスクを防ぎたい企業に適しています。
ファクタリングは融資と違い返済義務がない一方、手数料は数%~十数%かかります。また、悪質業者による高額な手数料請求や不当な契約にも注意が必要です。
契約内容をよく確認し、信頼できる業者を選びましょう。
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【対策⑤】売掛金保証サービスを活用する
売掛金保証サービスとは、取引先が代金を支払えなくなった場合に、保証会社が一定額を代わりに支払ってくれる仕組みです。
保証対象となるのは、通常「信用取引に基づく売掛金」であり、契約締結時に保証会社が取引先の与信審査を行います。その結果、保証の承認を得た取引については、取引先が支払不能になった場合でも保証金が支払われます。
この制度を利用すれば、企業は安心して新規取引を拡大でき、資金繰りの安定を維持できます。
売掛保証の主なメリット
・未回収リスクの軽減
売掛保証を導入することで、売掛先が倒産した際でも保証金が支払われ、企業の未回収リスクが大幅に軽減されます。これにより、取引先の信用状態を気にせずに安心してビジネスを進められます。
・キャッシュフローの安定
保証によって売掛金の回収不能リスクが軽減されるため、企業のキャッシュフローも安定します。計画的な資金運用が可能となり、事業拡大や設備投資に安心して取り組めます。
・業務の効率化と販売拡大の促進
与信審査や回収業務の手間が減り、企業のリソースを本来の業務に集中できます。結果として、取引先との新規取引を安心して進めることができ、事業拡大を促進する効果も期待できます。
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まとめ
売掛とは、商品やサービスを提供した後に、後で代金を受け取る約束をした商取引の形態です。信用取引とも呼ばれ、双方の信頼関係が重要視されます。
売掛は、会計帳簿には「売掛金」として記録されます。貸借対照表の「資産の部」の「流動資産」に「売掛金」という勘定科目で記載します。
売掛金には、商品や原材料などの代金や運送料金、振込手数料、サービス料、飲食代金や宿泊費、修理費、請負代金などの未収分をはじめ、レンタル料や塾の月謝、家賃やマンションの管理費などが含まれます。
売掛と似た用語には、「買掛」「売上債権」「未収入金」「売上」などがあるので、違いを正確に理解しましょう。
・買掛:商品やサービスを掛取引で購入した企業が後日にその代金を支払う義務
・売掛債権:売掛金や受取手形のように事業者が後で取引先から代金の支払いを受ける権利
・未収入金:営業活動以外の取引で発生した未回収金
・売上:企業が商品やサービスを販売し、取引が完了した時点で発生する収益
売掛を導入することで、「決済業務を効率化できる」「多額の取引ができる」「予算を管理しやすい」というメリットもあれば、「不良債権になるおそれがある」「督促業務の負担が大きい」「キャッシュフローが悪化しやすい」というデメリットもあります。
このうち、特に注意しておきたいデメリットが「キャッシュフローが悪化しやすい」という点です。売掛が約束の期日に回収できれば問題ありませんが、支払いが滞ると資金繰りの悪化につながります。そのため、取引先が倒産した場合や資金難に見舞われた場合、これらの売掛金を回収することは困難になる可能性があります。
こうした問題を解決するための答えが、売掛金保証サービス「URIHO(ウリホ)」です。URIHOは、取引先の倒産や未入金時に取引代金を代わりにお支払いするサービスです。事前に取引先に保証をかけておくことで、与信管理をしなくても安心して取引を行うことができます。また、督促業務に時間や労力を割く必要がなくなり、営業活動に集中することが可能です。
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