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売掛金が回収不能に!?回収不能になる理由と対応方法について

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期日になっても先方から売掛金の入金がなかった場合、どんなケースを想定すれば良いでしょうか。最悪のケースとして売掛先企業の資金繰り悪化が考えられますが、売掛金が支払われない場合の理由はそれだけではありません。

この記事では、売掛金が支払われなかった場合によくある理由と、売掛金が回収できないとなった場合の対応方法について解説します。

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売掛金が回収不能になる理由

企業から売掛金の支払いがないと「もしかして倒産したのでは」と短絡的に考えてしまいがちです。しかし相手企業の倒産以外にも、売掛金の回収ができない理由は存在します。

売掛先企業の状況や契約内容にもよりますが、売掛金が支払われない理由は大まかに次の4つに分類されます。

事務処理のミスで支払われない

まず、よくあるケースとしては、事務処理上のミスによる支払い遅延です。売掛先企業には支払能力があるにもかかわらず、請求書の送付忘れや振込先情報の誤り、記載内容の不備など、単純なミスが原因で支払いが遅れることがあります。


また、相手企業の経理部門でのミスや、担当者が支払いを忘れてしまうといったケースも少なくありません。このような場合、まずは自社の事務処理に問題がないかを確認し、正しい請求書が送付されているかチェックすることが必要です。その後、売掛先企業に連絡し、支払いの進捗状況を確認することで、スムーズな回収が期待できます。記録に残る形で連絡を行うことは、後のトラブル防止にも役立ちます。

金額や契約内容に問題がある

契約内容や請求金額に対して売掛先企業が不満を抱いている場合、支払いが保留されることがあります。たとえば、提供したサービスや商品が契約に見合っていないと判断されている、または金額が高すぎると感じられている場合、支払いが遅れる原因になります。さらに、相手企業が契約上の義務が未履行と捉えている場合も、支払いが滞ることがあります。こうしたケースでは、売掛先とのコミュニケーションが不足している可能性が高く、迅速に話し合いを行い、双方の認識をすり合わせる必要があります。相手の不満や誤解を解消することで、支払いの再開を促すことができるでしょう。

債権の相殺を考えている

また、相手企業が自社との間で債権の相殺を考えている場合も、支払いが遅れる要因となります。たとえば、売掛先企業が自社に対して何らかの債権を持っている場合、売掛金の支払いを保留し、相殺の機会を待っている可能性があります。相殺を行うことで、現金の移動を伴わずにお互いの債権を処理できるため、相手にとっては有利な方法です。この場合、相手企業が相殺を希望しているかどうかを確認し、必要に応じて相殺手続きを進めることが求められます。


この場合は他の3つのパターンとは違い、自社の持つ買掛金が相殺により減るため、実質的な損失はありません。ただしキャッシュのやりとりはなくなりますので、先方からの入金を別の支払いに当てようとしていた場合は資金繰りに一時的な影響が出る可能性があります。

資金繰りに問題がある

最もリスクの高いのは、売掛先企業の資金繰りが悪化し、支払いができない状況に陥っている場合です。特に、相手企業が倒産の危機に直面している場合や、資金ショートを起こしている場合、売掛金の回収が極めて困難になることがあります。


このような場合、早急に相手企業と連絡を取り、支払いの見通しや今後の計画について詳細に確認することが不可欠です。支払いの猶予が必要であれば、分割払いなどの柔軟な対応を検討することも考えられます。しかし、支払いが不可能な場合や長期間にわたって回収が見込めない場合は、速やかに貸倒損失として会計処理を行うことを検討しなければなりません。

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売掛金が払われなかった場合、回収不能な場合の対応方法

売掛金の回収見込みがなくなった場合、帳簿上で「貸倒損失」を計上する処理が必要です。貸倒損失には3つのパターンがあり、それぞれ処理を行うタイミングが異なります。どのパターンに該当するのかを早めに確認し、適切なタイミングで対応を進める必要です。

貸倒損失とは

売掛金が回収不能となった際、その金額分を損失として計上することで帳簿上の整合をあわせます。ここで計上する損失を「貸倒損失」といいます。売掛金は本来、入金予定があるものであり、貸借対照表上は資産として計上されていますが、回収見込みがなくなった売掛金は資産ではなくなるため、貸借対照表上から落とさなければなりません。貸倒損失という名目で損失を計上し、資産である売掛金と相殺することで、帳簿上の売掛金を消す処理を行います。


貸倒損失には3つのパターンがあります。売掛金回収不能と判断しただけでは貸倒損失の計上はできません。この3つのどれかに該当して初めて貸倒損失処理が可能になります。

①法律上の貸倒れ

会社更生法や民事再生法などの規定により、裁判所が債権消滅を認可・決定した場合です。このケースでは自社が貸倒損失の計上処理をするか否かに関わらず、自動的に損金算入されます。つまり、貸倒損失として会計処理をしなかったとしても、税務署への申告書上では所得が減額されることになります。

②事実上の貸倒れ

売掛先企業の資産状況や支払い能力などから考えて、売掛金の全額が回収不能となることが明らかな場合です。この場合は、債権の全額を貸し倒れとして損失計上することができます。ただし人的担保や物的担保などの担保物がある時は、その担保物を処分した後に貸倒損失としての計上を行うことになります。

③形式上の貸倒れ

取引停止から1年以上が経過しても売掛金が支払われておらず、督促をしたにも関わらず弁済がない場合です。この場合は「備忘価額(びぼうかがく)」を設定し、損金経理処理によって貸倒損失を計上することができます。

備忘価額とは、文字通り備忘を目的として、何らかの事由で価値を失った資産などを1円や10円といったキリの良い数字で帳簿に記載する金額のことです。形式上の貸倒れは、法律上の貸倒れや事実上の貸倒れのように「貸倒れ」が明確に認定されたわけではなく、あくまで帳簿処理上で貸倒れとみなすものであるため、備忘価格を残す対応が必要になります。

帳簿上の処理の仕方は

貸倒損失を計上する場合、帳簿上では借方に「貸倒損失」、貸方に「売掛金」として仕訳処理をします。債務免除や売掛金切り捨ての場合、計上する金額は売掛金の全額ではなく一部であればその一部分の金額です。備忘価格を設定する場合は、回収不能となった金額から備忘価格を差し引いた金額で計上します。また担保物がありそれを処分した場合は、債権金額から担保物処分により得た金額分が損失計上できる金額です。


なお、損益計算書などの決算書に貸倒損失を計上する場合は、営業活動に関連した売掛債権の場合は「販売費及び一般管理費」、それ以外の場合は「営業外費用」の区分を選択します。


「法律上の貸倒れ」「事実上の貸倒れ」「形式上の貸倒れ」いずれの場合も、損失計上時期が決まっています。計上時期は次のとおりです。


  1. 法律上の貸倒れの場合
    会社更生法や民事再生法などの適用が決定した事業年度に計上します。
  2. 事実上の貸倒れの場合
    債権の全額が回収できないと判明した事業年度に計上します。
  3. 形式上の貸倒れの場合
    取引停止または最後の弁済が行われた日から1年以上経過した年の事業年度に計上します。

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売掛金が回収不能になる前の対策

売掛金が回収不能になる前に、事前に適切な対策を講じることが重要です。以下の対策を実施することで、リスクを最小限に抑えることができます。

取引先の信用調査

新規取引先や既存取引先の信用調査を定期的に行うことは、売掛金の回収リスクを低減するために不可欠です。信用調査では取引先の財務諸表(バランスシート、損益計算書、キャッシュフロー計算書)を詳細に分析します。特に、利益率や自己資本比率などの指標を確認することで、取引先の収益性や負債の割合、キャッシュフローの健全性を把握できます。


また、他の取引先や業界内の情報を収集し、取引先の評判を確認することも重要です。業界内での評価や信頼性についてのフィードバックを得ることで、取引先の信用度を総合的に判断します。


可能であれば、取引先を実際に訪問して現地の状況を確認し、オフィスや工場の状況、従業員の雰囲気などを直接把握することも有効です。

担保や保証の取得

大口取引や高リスクの取引については、担保や保証を取得することで、売掛金回収のリスクを軽減できます。まず、取引先が保有する不動産や設備などの資産を担保として取得します。これにより、取引先が支払い不能に陥った場合でも、担保物件を売却して回収することが可能です。


また、取引先の支払いを保証する第三者(保証人)を設定します。保証人には、取引先の親会社や信頼できる個人を選定することが望ましいです。これにより、万一の場合のリスクを軽減し、回収不能のリスクを最小限に抑えることができます。

請求管理システムを導入

請求書の発行から支払い確認までのプロセスを一元管理し、透明性を高めることが重要です。請求管理システムを導入することで、請求書の発行、送付、支払い確認のプロセスを自動化し、請求業務の効率化とエラーの削減が期待できます。また、取引先の支払い状況を定期的にモニタリングし、未払いが発生した場合には早期に対応します。支払い遅延が発生した際には、即座に取引先に連絡し、支払いスケジュールの確認や再交渉を行ってくれます。請求管理システムを導入することで、請求管理の透明性と効率性が向上し、売掛金回収のリスクを大幅に軽減することができるでしょう。

売掛金が回収不能になる前に売掛保証の利用

売掛金の回収が不安な場合、取引先の倒産や支払い遅延に備えるための手段として売掛保証を活用することができます。売掛保証とは、取引先が倒産や支払い不能になった際に、保証会社が代わりに売掛金を支払ってくれるサービスのことです。このサービスを利用することで、企業は取引先の経営リスクを減らし、安心して取引を続けることができます。



売掛保証を契約する際には、取引を開始する前に保証会社に申し込む必要があります。保証会社は取引先の財務状況や支払い能力を基に与信審査を行い、その結果に応じて保証契約が結ばれます。審査に合格すれば、取引先が倒産した場合でも、保証会社から保証金が支払われるため、企業は売掛金の回収不能リスクを大幅に軽減できます。



保証の適用範囲は保証会社によって異なりますが、多くの場合、取引先が倒産や民事再生手続きに至った際に保証が適用されます。一部の保証会社では、入金遅延が発生した段階で保証が適用されることもあります。保証の範囲が広いほど手数料が高くなる傾向にあるため、企業は保証内容を精査し、ニーズに合ったプランを選ぶことが重要です。

まとめ

売掛先企業から売掛金の支払いがなかった場合、その理由は先方の資金繰り悪化とは限りません。事務処理にミス、また先方が債権相殺を考えている場合でも売掛金の支払いがないということは起こり得ます。すぐに回収不能と決めつけず、状況を確認したうえで対応にあたる必要があえうでしょう。


売掛金の回収ができないとなった場合、会計上「貸倒損失」という処理が必要です。具体的には、回収予定として計上されていた売掛金の金額を損失として振り替えます。貸倒損失には法律上の貸倒れ、事実上の貸倒れ、形式上の貸倒れの3種類があり、それぞれ会計処理を行うタイミングが異なるため注意が必要です。


売掛金保証サービス「URIHO(ウリホ)」は、取引先の倒産や未入金時に取引代金を代わりにお支払いするサービスです。事前に取引先に保証をかけておくことで、与信管理をしなくても安心して取引を行うことができます。また、督促業務に時間や労力を割く必要がなくなり、営業活動に集中することが可能です。


また、URIHOはすべての手続きがWeb上で完結し、スピーディに利用開始することが可能です。売掛金の回収にご不安がある場合は一度導入をご検討ください。

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