手形は一定期間後に現金に換えられる証書で、手形に記載されている期日までに現金化する必要があります。しかし、相手方から受け取った手形を金庫などに保管していて、期日までに換金できなかった場合、無効になってしまうのでしょうか。
期日を過ぎた手形が出てきた時に慌てないように、この記事では期日を過ぎた手形の扱いについてと手形と小切手の違い、差し替えについて解説いたします。
手形の期日が過ぎてしまった場合、どのような扱いになるか
期日内の受取手形は金融機関で現金化できますが、期日を過ぎてしまうと金融機関で現金化できなくなります。無効になってしまったと破棄してしまう人もいますが、救済措置があるので破棄せず、所定の手続きを行いましょう。
手形の期日が過ぎてしまった場合の対応方法
手形の期日が過ぎてしまった場合、本来の金融機関での手続きができません。あくまで金融機関での取り扱いができなくなるだけで、現金化できなくなる、効力がなくなるというわけではありません。下記に期日が過ぎてしまった場合の対応方法を解説いたします。
振出先への確認
期日を過ぎてしまった場合は手形を振り出し直す必要があります。振出人と直接交渉するか代理人を立てて行えますが、後者の方が回収できる可能性が高いため、直接交渉が難しい場合は代理人を立てて振り出し直しを行ってもらいましょう。
振り出し直しを行う際、最初の手形と同様、金額・支払期日・振出日・受取人の会社名(個人名)・振出人の署名が必要です。漏れがないか、細かく確認しましょう。特に、振り出し直しの際、金額が改ざんされていると振り出し直しの意味がなくなるので注意が必要です。
小切手との差し替え
手形の期日が過ぎてしまった場合の対処法として、振出先への確認は必要ですが、小切手への差し替えも可能です。
直接支払い
振出先へ確認し、振り出し直しあるいは小切手への差し替えを行ってもらうと期日の過ぎた手形でも現金化できます。しかし、どちらも振出先の手間となります。振出先との話し合いにはなりますが、再発行の手続きを考えると直接支払ってもらう方がスムーズかもしれません。この点に関しては振出先の希望を聞いて、両者が納得した形で現金化するようにしてください。
中には期日が過ぎた手形の支払いはできない、という振出先もいるかもしれません。しかし、法律上では期日が過ぎていても手形は有効なので、期日を過ぎてしまったことのお詫びをした上で、何かしらの対応をしてもらうようにしましょう。個人の話し合いで解決できない場合は代理人を立てて、回収することもできます。
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2026年の手形の廃止について解説
手形のペーパーレス化に向けた動き
2026年に予定されている手形の廃止は、決済方法のペーパーレス化の一環として行われます。手形は金融機関を介した安全な決済手段であり、現金や小切手と比較して支払いまでの猶予があるものの、これには受取人の資金負担が増大するというデメリットが存在します。これを解消するため、経済産業省は2021年2月に、2026年までに約束手形を廃止し、電子記録債権やインターネットバンキングを活用した現金払いへの移行を推奨しています。
この移行の一環として、「でんさい」と呼ばれる電子記録債権が注目されています。
でんさいは、従来の手形決済を電子化したもので、株式会社全銀電子債権ネットワークが取り扱うシステムです。このシステムの導入により、手形の発行や受け取りに関連するコスト削減や事務負荷の軽減が可能になります。また、支払側は複数の決済手段を一本化でき、受取側は期日当日に現金を受け取ることが可能になるため、資金繰りの円滑化が図られます。
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まとめ
手形は現金と同じ価値があるものですが、受け取ってすぐに現金化できない点が現金と異なります。指定期日内に銀行に行って受け取らなければならず、うっかり期日を忘れてしまう場合もあります。期日を過ぎた手形はすぐに無効になるわけではないので、破棄しないようにしましょう。一方で、2026年には手形の廃止が予定されており、ペーパーレス化の動向として電子記録債権システムの利用が推奨されています。このシステムにより、手形の発行や受け取りに関連するコスト削減や事務負荷の軽減が期待されています。
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