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与信限度額とは 与信限度額の設定基準について解説

与信限度額

取引先が増え、収益が増えることは企業にとって良いことです。しかし、取引先が多くなればなるほど、管理が大変になります。特に、支払いが滞る企業が出てきたり、倒産の危機に瀕している企業があったり、と事前に確認しても予測できない事態が生じることがあります。そのためにも、与信限度額を設定しておくことが重要です。


この記事では、与信限度額とは何か、与信限度額の設定方法、設定時の注意点などについて解説いたします。

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与信とは?

与信は金銭の貸付やクレジットの発行などを行う際、取引先に対して、融資や融資枠に対する信用を設定する行為を指します。証券会社による信用取引や銀行の金銭貸し出し(融資)などが与信に当たりますが、広い意味では商品やサービスを先に渡して、後から代金を回収する売掛やツケなども与信としています。


与信は証券用語で3Cとも呼ばれています。

  • 返済能力(Capacity)
  • 返済資質(Character)
  • ​​返済担保(Capital)

融資先の上記項目が評価の基準となるため、英語の頭文字Cを取って3Cです。

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与信限度額とは?

与信限度額とは、取引先の倒産に備えて、企業ごとに定めた売掛金や受取手形などの債権上限額のことを指します。


与信限度額を設定することで、万が一、売掛金が回収できなくてもリスクを一定金額の範囲で止めることができるメリットがあります。


「与信枠」という表現もありますが、これは企業間の取引だけでなく、個人のクレジットカードの利用上限額にも使われることがあります。そのため、企業間の取引の文脈では「与信限度額」という言葉がより一般的に使用されます。

総債権額とはなにか

総債権額は債権の合計で、具体的には売掛残と受取手形残を足したものです。与信限度額では、総債権額の上限額を決めますが、企業によっては受注残額も加えて総債権額とするところもあります。

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与信限度額を設定するにはどうすればいい?

与信限度額を設定する際にはまず、対象とする企業の信用情報や財務状況をしっかりと収集する必要があります。財務諸表、信用情報機関の評価、過去の取引履歴などが主な情報源となります。


収集した情報をもとに、企業をAランク、Bランク、Cランクなどと段階分けします。特に新規の取引先に対しては、最初は控えめなランク付けをして、取引が進むにつれて再評価するのが良いでしょう。与信枠の具体的な算出には、対象企業の仕入れ債務額、企業規模、自己資本などを基準にする方法が一般的です。与信限度額は、定期的に見直す必要があり、そのためには与信限度額に有効期限を設け、期間ごとに評価を更新すると良いでしょう。


与信限度額の設定は『必要かつ安全な範囲内』という原則を守る必要があります。あとは設定基準を何にするか、は企業ごとに何に重きを置くかによって変わってきます。


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与信限度額の設定基準

与信限度額の設定において、企業が採る基準は多岐にわたりますが、特によく用いられるのは「自社の純資産を基準にする方法」です。


自社の純資産を基準にした与信限度額の設定は、耐えられるリスクの範囲をしっかりと管理する手法です。具体的には、自社純資産の10%を許容範囲として、信用度による格付け(ランク)を行い、ウェイトを設定して算出します。計算式は「与信限度額=自社純資産×10%×格付けウェイト」であり、これにより与信リスクを最小限に抑えます。


一方で、自社の売上債権を基準にする方法は、特に取引先が多く、売掛債権を多く保有する企業に有用です。売上債権は帳簿上の利益を示すものの、すぐに現金化できるわけではないため、リスク管理が必要です。計算式は、「与信限度額=自社売上債権×一定割合(通常は10%)×格付けウェイト」で設定されます。


いずれの方法も、与信限度額は一定割合と格付けウェイトを掛け合わせて算出するのが一般的です。例えば、自社の売上債権が1,000万円で、取引先の格付けランクのウェイトが1.50と設定した場合与信限度額は「1,000万円×10%×1.50」で、150万円となります。これにより、取引先の信用度に応じて与信限度額を設定することが可能です。


以上のように、与信限度額の設定は、自社の財務状況と取引先の信用状況を考慮した多角的なアプローチが求められます。総じて、どの基準を用いるか、どのようなウェイトを設定するかによって、与信リスクをしっかりとコントロールすることができます。

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まとめ

与信限度額の設定が重要です。与信限度額は、取引先が倒産した場合や支払いが滞った場合に備えて、許容する売掛金や受取手形などの債権の上限額を定めるものです。この設定は、企業の財務状態や取引先の信用状況にもとづき、多角的な評価が必要です。


具体的な設定方法としては、自社の純資産や売上債権を基準にした計算式が一般的です。定期的な見直しも必要で、有効期限を設けて評価を更新すると良いでしょう。与信限度額の設定は、時間と労力がかかる作業ですが、それによってリスクを最小限に抑え、安全な取引を実現することが可能です。


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