ビジネスにおけるリスク管理は自社を守るためにも重要です。一口にリスク管理といっても社内の細かなリスクから投資などのリスク、外部が関係するリスクなど幅広く存在します。
この記事では、外部が関係するリスクの一つ、『信用リスク』について取り上げます。
- 信用リスクとはどのような意味か
- 信用リスクが高い、低いで何が違うのか
- 信用調査と信用リスクの違い
企業の安定性、将来性が不透明な時代だからこそ、信用リスクは自社に大きな影響を及ぼします。信用リスクについて学び、信用調査が必要かどうか検討してみると良いでしょう。
信用リスクとは?
信用リスクとは、取引相手が信用できるかどうかに関わるリスク、すなわち、取引相手が経済的困難や経営不振、または倒産などの理由で、約束された債務の履行ができなくなる危険性を指します。具体的には、取引先が財務状況の悪化により支払いが滞り、最終的には債権の回収が困難になるリスクを含みます。
信用リスクが顕在化すると、債権の未回収によって直接的な損失が発生するだけでなく、取引相手が提供する商品や材料、部品などの供給が滞り、業務運営にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、信用リスクは単に金銭的な問題にとどまらず、企業全体の事業活動やサプライチェーンに深刻な影響を与えるリスクといえます。
信用リスクの高い・低いとは
信用リスクは、その取引先が債務を履行できるかどうかの不確実性を指し、「高い」または「低い」という形で表現されます。
信用リスクが高い
信用リスクが高いとは、取引先の経営状況に不安があり、債務の履行が滞る可能性が高い状態を意味します。具体的には、取引先の財務状態が悪化している場合や、経営不振、倒産のリスクがある場合などが該当します。このような状況では、債権の未回収や供給の停止といった事態に備え、事前にリスク管理の対策を講じることが求められます。
信用リスクが低い
一方、信用リスクが低いとは、取引先が安定した経営を維持しており、債務不履行のリスクがほとんどない状態を指します。この場合、債権回収や供給の継続に問題が生じる可能性が低く、安心して取引を進めることができるでしょう。
ただし、信用リスクは固定的なものではなく、社会情勢の変化や取引先の経営状況、さらにはその取引先の信用状態に影響されて変動します。たとえば、景気の悪化や市場環境の変動により、突然信用リスクが高まることも考えられます。
信用調査と信用リスクの評価の違い
信用調査と信用リスクの評価の大きな違いは目的と方法です。信用調査は、個人や企業の信用状況を調べることに焦点が当てられており、企業の過去の財務履歴、貸し付け履歴、支払い履歴、現在の財務状況などを調査します。クレジットスコアの計算や公的記録を元に、調査対象の企業が債務返済の能力があるかどうか検討・判断します。
一方、信用リスクの評価はリスクに焦点が当てられており、貸付や投資の際に相手方が将来的に債務を返済できないリスクをどれだけ負っているかを評価します。
信用調査のように対象企業の財務状況や公的記録を元にするだけではなく、市場動向や経済状況、業界リスク、特定のリスク要因など、より広範な要因を考慮し、最終的にリスクの高低を判断します。
信用リスクは信用調査に比べ、検討材料が広いため、より複雑な分析が必要となります。
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信用リスク評価の手法
信用リスクを適切に評価するためには、複数の手法を組み合わせて、取引先を総合的に判断することが重要です。以下は主な信用リスクを評価する方法です。
- 財務分析 取引先の財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)を分析し、経営状態や資金繰りの健全性を判断します。特に、自己資本比率や流動比率、債務償還年数などの指標は、取引先の支払い能力を評価するうえで重要です。
- 信用調査 信用調査会社や取引先の経営状況に関する外部の情報を活用することで、取引先の信用力を評価します。これにより、定量的なデータだけでなく、取引先の業界内での評判や将来の成長性など、定性的な要素も把握できます。
- 取引履歴の確認 既存の取引先の場合、これまでの取引履歴や支払い状況を確認することも重要です。長期間にわたり取引が安定している場合は、信用リスクが低いと判断できますが、過去に支払いの遅延が多発している場合はリスクが高いと考えられます。
- 外部環境の分析 信用リスクは取引先の内部要因だけでなく、経済状況や業界の動向などの外部要因にも影響されます。そのため、取引先が属する業界全体のリスクや、景気の変動などのマクロ経済的要因も考慮に入れる必要があります。
これらを総合的に活用することで、企業は取引先の信用リスクをより正確に評価し、適切な対策を講じることができます。また信用リスクの評価は、一度行えば完了するものではなく、定期的に見直し、リスクの変動に対応していくことが求められます。
信用リスクと与信管理の関係
信用リスクと与信管理は密接に関連しており、企業が取引先との取引を円滑かつ安全に行うためには、適切に管理することが不可欠です。信用リスクは、取引先が債務を履行できなくなるリスクを指し、与信管理はそのリスクを軽減し、適切な与信枠を設定するためのことをいいます。
与信管理では、取引先の信用状態を継続的にモニタリングし、リスクが増大する兆候が見られた場合には、取引条件を見直すなどの措置を講じます。具体的な手法としては、信用調査会社からの情報や、取引先の財務諸表の分析、取引履歴の確認が用いられます。これにより、企業は信用リスクを最小限に抑え、取引を安全に進めることができます。
信用リスクと与信管理の関係は、事前にリスクを予測し、未然に対策を取ることで、損失を回避するための防御策といえます。取引先の財務状況が悪化しても、適切な与信管理が行われていれば、企業は迅速に対応することができ、信用リスクの影響を最小限に抑えることが可能です。
売掛保証とは
売掛保証は、取引先が経営悪化や財政難により支払いが困難になった場合、未回収の売掛債権を保証するサービスです。信用リスクが高い取引先との取引において、売掛金の回収が不確実になるリスクがあります。このような状況に対処するため、売掛保証サービスを利用することで、リスクを回避することが可能です。売掛金が入金されない場合、それは自社の経営にも影響を及ぼすため、リスク回避の措置は極めて重要です。
売掛保証と同様のリスク回避手段としてファクタリングがあります。ファクタリングは資金調達の方法で、売掛債権をファクタリング会社に売却し、入金を早めることができます。これにより、予定日よりも前に現金化することが可能となります。
売掛保証の利点は、売掛金の未回収リスクを軽減できるだけでなく、与信管理も実施できることです。売掛保証会社は契約前に取引先の与信審査を行い、これにより取引先に審査をしたことを知られずに契約を進めることが可能です。一方、与信審査の結果によっては、信用度が低い取引先との契約が困難になることもあります。
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まとめ
新規の取引先と契約を結ぼうとする際には、信用リスクを調べておく必要があります。信用リスクが高い企業だった場合は売掛債権が支払われない可能性があるためです。契約自体を結ばないという選択肢もありますし、リスク対策をしっかり行って契約するという方法もあります。現状の取引先でさえ、常に経営状況が安定しているわけではないため、定期的に信用リスクを調べることや、リスク対策をするのが得策でしょう。
売掛金保証サービス「URIHO(ウリホ)」は、取引先の倒産や未入金時に取引代金を代わりにお支払いするサービスです。事前に取引先に保証をかけておくことで、与信管理をしなくても安心して取引を行うことができます。また、督促業務に時間や労力を割く必要がなくなり、営業活動に集中することが可能です。
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