URIHO BLOG.
  1. TOP
  2. URIHO BLOG
  3. 資金ショートとはなにか 防ぐための方法と発生原因の解説
リスク管理

資金ショートとはなにか 防ぐための方法と発生原因の解説

資金ショート

資金ショートとは、手元の現金が少なくなり、経営上の資金が不足してしまうことです。資金ショートは、赤字の企業に限らず、黒字の企業でも収入と支出のバランスが崩れると起こり得ます。試算表上の利益だけでなく、現金の収支を意識し、キャッシュフローに注意を払うことが大切です。

この記事では、資金ショートが発生する原因とその予防、キャッシュフローの改善策を検討し、自力で対応できない場合の法的対応策を解説します。

URIHOが保証するから安心

資金ショートとは?

資金ショートとは、企業や個人、その他の組織が運営に必要な資金を確保できない状態を指す現象です。この状態が持続すると、業務遂行が困難になり、最悪の場合は破産や倒産の危機に直面する可能性が高まります。

資金ショートを防ぐには資金繰りが重要となります。


資金繰りとは、収入と支出を効率的に管理し、資金の流れをスムーズに保つ作業です。この文脈でいう「資金」は、現金、預金、定期預金など、即時に利用可能な資産のことを指します。一方で、受取手形や売掛金、貸付金、不動産などは「資産」であっても、「資金」とはされていません。資金の不足は、家賃、人件費、融資の返済など、基本的な支払いが滞る可能性があり、結果、経営の停滞や崩壊につながることがあります。

関連記事

資金繰りの解説 重視すべきポイントとキャッシュフローとの違いについて | URIHO BLOG 

資金ショートと赤字との違い

資金ショートと赤字は経営上の異なる問題を指します。赤字は企業の運営において、収入が支出に対して不足している状態を意味します。これは、一定期間における企業の総収益が、その期間の総費用を下回ることによって生じます。赤字は、企業の利益と損失の計算において明らかになり、企業が持続可能な経営を行っていくうえでの収益性の問題を示しています。


対照的に、資金ショートは企業が短期的に必要な現金を準備できない状態を指し、即時の支払い義務を満たすことができないことを意味します。資金ショートは、企業の資金繰りに関わる問題であり、短期的な流動性の欠如によって引き起こされます。

URIHOが保証するから安心

債務超過との違い

債務超過は、企業の総負債が総資産を上回る状態を指します。これは、企業の財務状態の一面を示し、負債が多すぎるために企業の資産がその債務をカバーできないことを意味します。債務超過は企業が直面する長期的な財務健全性の問題であり、企業の倒産や再構築の可能性を示唆する指標となり得ます。


一方で、資金ショートはあくまで資金繰りの問題であり、企業が短期的な財務義務を満たせない状態を指します。資金ショートは、債務超過の状態にある企業でも、財務が健全な企業でも発生する可能性があります。 債務超過は企業の総資産と総負債の比較によって明らかにされる一方で、資金ショートは特定の時点での現金や流動資産が短期的な支払い義務を満たすのに十分でない場合に発生します。

関連記事

債務超過と貸借対照表(バランスシート)の解説 赤字との違いもあわせて紹介 | URIHO BLOG

資金ショートが発生する原因

 資金ショートが発生する原因は複数考えられますが、収入と支出のバランスがとれていないことによるものがほとんどです。


利益の減少

 商品やサービスの売上が減少する、仕入価格が増える、経費などの支出が増える等により利益は減少します。利益の減少=収入の減少・支出の増加のため、単純に、手元にある資金が減り、資金繰りは悪くなります。ただし、冒頭でも述べた通り、黒字でも資金ショートは起こりますので、一概に利益の増減だけでは把握できません。


売上の急増

売上の急増は、一般的に利益がアップし、経営成績は向上しますが、備えがなければ資金繰りが苦しくなる原因になります。商品やサービスを売り上げるためには、原材料や人件費、設備費用や外注費など、先行して多額の支出が必要です。そして、売上金の回収は後になるため、資金繰りが悪くなり、資金ショートを起こしてしまいます。


回収と支払いのタイミング

資金繰りにおいて重要なのは「回収と支払いのタイミング」です。基本的なルールとしては、売掛金は早く回収し、買掛金は遅く支払うことが理想です。売掛金回収までの期間が短く、買掛金の支払い期限が長い場合、資金繰りは安定します。逆に、支払いが早くて回収が遅い場合は、資金繰りが悪化する可能性が高いです。このタイミングの差が資金ショートを起こさない資金繰りに大きく影響します。


売掛金の未回収や貸倒れ

売掛金が予定通りに回収できないと資金繰りが悪くなります。これは請求漏れや取引先の支払い忘れが原因である場合もあります。さらに厳しい状況として、取引先が倒産や夜逃げをすると、投資していた費用は回収できず、損失が拡大します。このように、売掛金の未回収や貸倒れは資金繰りを大きく悪化させる要因となります。


関連記事

支払いサイトとは 支払いサイトの種類とキャッシュフローについてもあわせて解説 | URIHO BLOG

売掛金が回収不能に!?回収不能になる理由と対応方法について | URIHO BLOG

取引先の未入金が発生したら?回収方法から予防策まで徹底解説 | URIHO BLOG

資金ショートを防ぐには

資金ショートを避けるためには、以下の対策が考えられます。


資金繰りの把握
自社の財務状況を常に理解しておくことで、問題が発生したときに迅速に対応できます。


財務管理の徹底
売掛金の請求漏れや未回収を防ぐために、取引先に対する管理を強化します。与信管理や支払いの督促も欠かせません。請求代行サービスを利用して業務を効率化することも一つの方法です。


キャッシュフローの予測
常にキャッシュフローを予測して、緊急時に備えます。予測は現実的なものであり、悪化する可能性も考慮する必要があります。


回収と支払いのタイミングの管理
売掛金の回収と買掛金の支払いのタイミングを正確に把握し、計画を立てます。


未回収リスクへの備え
万が一、売掛金が回収できない場合のリスクを最小限に抑えるため、代金の立替払いや代金回収の保証サービスが付いた請求代行サービスを利用することも選択肢の一つです。


関連記事

債権管理の目的と業務フローの解説 債権管理を効率的に行うには | URIHO BLOG

売掛保証とはなにか ファクタリングとの違いと実際の利用事例をご紹介 | URIHO BLOG

債権回収を弁護士に依頼するメリットとは債権回収会社との違いもあわせて紹介 | URIHO BLOG

緊急時のキャッシュフロー改善策

緊急時の資金繰り改善には、多くの選択肢がありますが、まず目を向けるべきは「借入れの検討」です。日本政策金融公庫や地方自治体の制度融資、信用保証協会が保証する民間融資など、多種多様な融資方法が存在します。特にビジネスローンは審査が速く資金調達が容易ですが、その分利息が高いため、返済計画には注意が必要です。また、売掛金を即座に現金化できるファクタリングもありますが、手数料が高いため慎重な検討が求められます。

一方で、単に借り入れを増やすだけでなく、営業活動自体の見直しも非常に有効です。売上拡大は言うまでもなく重要ですが、資金がすぐに回収できるわけではありません。ですから、支出を減らす戦略も並行して考えるべきです。例えば、不要な在庫や使用していない固定資産は売却して現金化する手もあります。また、仕入先との間で支払い期限を延ばしてもらう交渉も有効ですが、これには事前の連絡と信頼関係が不可欠です。

さらに、経費を削減するためには、日常的に仕入れ費や人件費、一般経費などの把握が必要です。これらの情報を元に、経費削減の施策を打ち出すことができます。

最後に、すでに多額の借入れがある場合、返済計画のリスケジュールも選択肢となります。金融機関と実情に即した返済計画について交渉することで、資金繰りを一時的にでも改善するチャンスがあります。

いずれの方法も一長一短がありますが、状況に応じて柔軟に対応することが資金繰り改善の鍵となります。借入れだけでなく、自社の経営全体を見つめ直し、総合的な対策を講じることが成功への道です。

関連記事

キャッシュフロー計算書における直接法と間接法とは 違いもあわせて解説 | URIHO BLOG

運転資金とは?計算方法やキャッシュフローとの関係を解説 | URIHO BLOG

資金ショートした際の法的な対応と手続き

資金繰りが厳しくなった場合、いくら改善策を講じても自力で解決できないという状況も考えられます。そんな時、法的な手続きが避けられなくなります。手続きにはいくつかの種類があり、その選択は会社や個人の状況によって異なります。


まず、民事再生という手法があります。これは裁判所の監督のもと、経営者を交代させずに経営の立て直しを目指す方法です。この手続きは、株式会社はもちろん、個人にも適用されています。多数の債権者が同意すれば、再生計画を定めて遂行することで、会社や個人の再建を目指します。


次に考えられるのは会社更生です。これは大規模な法人の再建に特化した制度で、厳格な手続きと高額な費用が伴います。会社更生が開始されると、原則として現経営者は退任し、裁判所が任命した管財人が新たに経営を引き継ぎます。


また、個人に特化した手続きとして個人再生があります。個人再生は、基本的には民事再生と同じ法にもとづきますが、対象が個人限定であり、負債総額にも制限があります。この手続きは一般的には簡略化されています。


さて、これらの法的手続きをどのように始めるべきかですが、最初のステップは債務整理に詳しい弁護士に相談することです。弁護士費用や裁判所で発生する費用は、債務の総額や個々のケースによって異なるため、最初の相談でしっかりと確認しておきましょう。


法的手続きが始まれば、債権者への説明会の開催や財産目録の作成、さらには再生計画案の作成など多くのステップが待っています。これらは基本的に弁護士が代わりに行ってくれます。その後、作成された再生計画案に従って債務の弁済を進めていくことになります。


総じて、法的手続きは複雑で手間がかかりますが、その先には新たなスタートがあります。状況を正確に把握し、専門家としっかりと相談して、最良の方法を選ぶことが大切でしょう。


関連記事

支払い督促申立書とはなにか 手続きのやり方と記載項目の解説 | URIHO BLOG

会社の破産とは倒産との違いや会社破産までの流れを解説 | URIHO BLOG

民事再生の解説 適用条件と取引先が民事再生手続きを行った場合の対応方法とは | URIHO BLOG

まとめ

資金ショートとは、手元の現金が少なくなり、経営上の資金が不足してしまうことです。利益の減少、売上の急増、回収と支払いのタイミング、売掛金の未回収や貸倒れなど、主に収入と支出のバランスが崩れることにより起こります。


防止するには、なにより自社の資金繰りを把握することが大切です。財務管理を徹底し、資金の流れを予測していれば、万が一の場合にも早めの対策を講じることができます。売掛金に対する保証を付帯することなども検討しましょう。


資金繰りの改善には、融資が有効です。ビジネスローンやファクタリングなどの方法もありますが、金利が高く、のちに資金繰りが苦しくなる可能性があるため注意が必要です。また、不要な在庫や固定資産を売却、経費の削減、支払期限の延期、返済のリスケなど、可能な限りの手立てを講じましょう。


それでも対応できなくなった場合には、民事再生、会社更生、個人再生などの法的整理を行います。自社の状況に応じて選択しましょう。


日常から自社の資金の流れをしっかり把握し、可視化しておくことが大切です。


売掛金保証サービス「URIHO(ウリホ)」は、取引先の倒産や未入金時に取引代金を代わりにお支払いするサービスです。事前に取引先に保証をかけておくことで、与信管理をしなくても安心して取引を行うことができます。また、督促業務に時間や労力を割く必要がなくなり、営業活動に集中することが可能です。


また、URIHOはすべての手続きがWeb上で完結し、スピーディに利用開始することが可能です。売掛金の回収にご不安がある場合は一度導入をご検討ください。

URIHOが保証するから安心

関連記事

人気記事

売掛金への担保設定で「貸倒れ」リスクを管理しよう 売掛金への担保設定で「貸倒れ」…
取引先から入金が無い?!債権回収の方法や費用について解説。 債権回収業者(サービサー)とは…
工事代金未払いは契約書なしでも回収できる?知っておくべきこと9選 工事代金未払いは契約書なしでも…
【初心者必見】債権回収における内容証明の効果(テンプレート付き) 内容証明の使い方と効果|債権回…

人気記事

【初心者必見】債権回収における内容証明の効果(テンプレート付き) 内容証明の使い方と効果|債権回…
売掛金への担保設定で「貸倒れ」リスクを管理しよう 売掛金への担保設定で「貸倒れ」…
取引先から入金が無い?!債権回収の方法や費用について解説。 債権回収業者(サービサー)とは…
工事代金未払いは契約書なしでも回収できる?知っておくべきこと9選 工事代金未払いは契約書なしでも…

新着記事

【検証】厳しい与信は「利益」を…
売掛金を使った資金調達の方法は? 売掛金を使った資金調達の方法は…
売掛金の差し押さえとは?回収の手順や注意点を解説 取引先が売掛金を支払ってくれないとき、まずは電話やメール、内容証明郵便で催促するのが一般的です。それでも回収できない場合は、裁判所の力を借りて相手の財産を確保する「差し押さえ」に移りましょう。 この記事では、差し押さえの基本的な仕組みから、手続きを進めるための具体的な手順、そして実施前に知っておきたい注意点まで解説します。 差し押さえとは 差し押さえとは、代金を支払わない相手の財産を裁判所が確保し、勝手に処分できないようにする法的手続きです。確保した財産は最終的に換価され、未払いの売掛金に充てられます。 ここでは、差し押さえの要件、対象となる財産の種類、メリットを順に説明します。 差し押さえには「債務名義」が必要 差し押さえを実施するには、「債務名義」と呼ばれる公的な文書を取得しなければなりません。 債務名義とは、相手にお金を支払う義務があると裁判所や公証人が認めた文書を指します。主な債務名義の種類は、以下のとおりです。 債務名義の種類 概要 確定判決 裁判で勝訴し、上訴期間が過ぎて確定した判決 仮執行宣言付判決 確定前でも強制執行が認められた判決 和解調書 裁判上の和解が成立したときに作成される調書 調停調書 民事調停が成立したときに作成される調書 執行認諾文言付公正証書 公証役場で作成された、強制執行に応じる旨が記載された公正証書 仮執行宣言付支払督促 簡易裁判所の書記官が発する支払督促に仮執行宣言が付されたもの もっとも代表的な債務名義は確定判決ですが、判決を得るには裁判を起こして勝訴しなければならず、時間も手間もかかります。そのため、裁判を経ずに債務名義を取得する方法も把握しておきましょう。 例えば、取引を始める段階で執行認諾文言付公正証書を交わしておけば、相手が支払いに応じないとき、訴訟なしで差し押さえの申し立てが可能です。また、簡易裁判所を通じた支払督促を利用すれば、通常の裁判よりも短い期間で債務名義を取得できます。 関連記事:「支払督促」とは?少額訴訟とは違う?必要な費用や流れを解説 差し押さえできる財産の種類 差し押さえの対象となる財産は、大きく「債権」「不動産」「動産」の3種類に分かれます。 種類 具体例 債権 売掛金、銀行預金、給与 不動産 土地、建物 動産 現金、商品、機械設備、車両 売掛金の回収では、「債権」の差し押さえがもっともよく利用されます。売掛金や銀行預金などの金銭債権であれば、第三債務者(相手の取引先や銀行)から直接取り立てられるため、競売のような換価手続が不要です。ただし、相手がどのような債権を持っているかを事前に把握するのは簡単ではありません。 「不動産」は価値が高く隠しにくいため、差し押さえの対象としては有力です。競売にかければ一括で大きな金額を回収できる可能性があります。差し押さえた物件が賃貸として運用されていれば、売却せずに賃料収入を売掛金に充てる方法も選べます。一方で、競売には数十万~数百万円の予納金が必要な上、売却完了まで半年~1年以上かかるケースもあります。 「動産」は現金や貴金属であれば資金化しやすく、予納金も不動産ほどかかりません。しかし、商品や機械設備は価値が不安定で、買い手が見つからず売却できないリスクがあります。 なお、すべての財産を差し押さえられるわけではありません。生活に必要な衣類や家具、仕事に必要な道具、66万円までの現金などの「差押禁止財産」は、差し押さえ対象外です。給与については、原則として手取り額の4分の3が差し押さえ禁止とされています(手取り額が44万円を超える場合は、一律33万円が差し押さえ禁止額となります)。 差し押さえのメリット 差し押さえのメリットは、売掛金を回収できる可能性が高まる点です。裁判所が相手の財産を確保するため、財産を隠されたり勝手に売却されたりする心配がなくなります。 もう一つのメリットは、相手に強い心理的な圧力をかけられる点です。特に売掛金(債権)の差し押さえでは、相手の取引先(第三債務者)にも裁判所から通知が届きます。差し押さえの事実が取引先に知られると、信用問題に発展しかねないため、相手は早期に支払いに応じる場合があります。 相手の取引先が大企業であれば、圧力はさらに強まります。大企業の契約書には「取引相手が差し押さえを受けた場合、契約を解除できる」と定められているケースが多く、相手は主要な取引先を失いかねません。 取引先を失うおそれがあるため、差し押さえは売掛金の支払いを促す強い要因となります。 差し押さえの手順 差し押さえは、法律で定められた手順に沿って進める必要があります。 ここでは、仮差し押さえから強制執行までの流れを6つのステップに分けて紹介します。 ステップ1:相手の財産を特定する 裁判所が対象者の財産を自動的に探してくれるわけではないので、差し押さえを始める前に、相手がどのような財産を持っているか債権者が自力で調査しなければなりません。 売掛金を差し押さえたい場合は、相手がどの企業と取引しているのかを把握する必要があります。取引先の名称だけでなく、取引内容、売掛金の金額、支払期日まで分かっていると、差し押さえが無駄に終わるリスクを減らせます。 情報をもっとも集めやすいのは、長年にわたって取引を続けてきた債権者自身です。相手の事業内容や取引先の動向は、日頃のやり取りの中で自然に見えてくるものです。弁護士に調査を依頼する方法もありますが、普段の取引で得た情報と組み合わせると、より正確に財産を特定できるでしょう。 ステップ2:仮差し押さえを申し立てる 財産が特定できたら、裁判所へ仮差し押さえの申し立てを行います。 仮差し押さえは、訴訟の結果が出る前に相手の財産を一時的に凍結し、処分や隠匿を防ぐための手続きです。申し立て先は、相手や取引先の住所地、もしくは差し押さえの対象がある場所を管轄する裁判所です。 申し立て時には、売掛金の存在を裏づける契約書、請求書、取引履歴、陳述書を一緒に提出します。 仮差し押さえの申し立てには債務名義が不要で、裁判官が「確からしい」と判断できる程度の資料があれば認められます。早ければ申し立てから1~2週間で実施できるため、相手が財産を処分する前に手を打てる点がメリットです。 ステップ3:裁判所で審理を受ける 申し立て後は、裁判所で審理が始まります。例えば東京地裁の場合、申し立てから3日以内に裁判官との面談が設定されるのが通例です。 仮差し押さえの審理は、通常の裁判のように公開の法廷で両者が向き合う形式ではなく、債権者側だけが裁判官と非公開でやり取りする仕組みとなっています。相手に仮差し押さえを申し立てた事実を知られると、財産を隠されるおそれがあるからです。 審理の場では、裁判官から仮差し押さえの必要性について質問を受けたり、提出書類の訂正や補足を求められたりします。書類に不備があると裁判官から補正を求められ、その分だけ手続きに時間がかかります。申し立て前に、資料をしっかりと整理しておきましょう。 ステップ4:担保金を納付し、仮差し押さえを実施する 裁判所が仮差し押さえを認めると、債権者に担保金の供託を命じます。担保金の目安は、請求金額の10~30%程度です。例えば500万円の売掛金であれば、50万~150万円程度が目安になります。 仮差し押さえは、まだ裁判で結論が出ていない段階で相手の財産を凍結する措置です。後の裁判で「相手に支払い義務がなかった」と判断された場合、財産を凍結された相手は不当な損害を受けたことになります。担保金の納付は、そのような場合の賠償に備えるために必要とされます。 担保金の供託が完了すると、裁判所は仮差し押さえの決定を出します。売掛金を仮差し押さえした場合、まず第三債務者(相手の取引先)に「支払いを止めるように」という通知が届きます。 相手への通知は少し遅れて届く仕組みなので、先に売掛金が回収されてしまう事態を防げます。 ステップ5:債務名義を取得する 仮差し押さえだけでは、まだ売掛金を直接回収できません。仮差し押さえはあくまで「相手の財産を一時的に凍結する」措置であり、お金を受け取る権利を得たわけではないからです。 相手が仮差し押さえを受けて自主的に支払いに応じてくれれば解決しますが、そうでない場合は訴訟や支払督促、民事調停などの手続きを利用して債務名義を取得する必要があります。 注意したいのは、訴訟を起こさず放置していると、相手から仮差し押さえの取り消しを求められる可能性がある点です。相手は「起訴命令の申立て」によって、一定期間内に訴訟を起こすよう裁判所に請求できるからです。 仮差し押さえの完了後は、速やかに訴状や証拠書類の作成に取りかかり、訴訟の提起まで進めておきましょう。 ステップ6:強制執行を申し立てる 債務名義を取得したら、裁判所に強制執行を申し立てます。申し立てには、債務名義の正本、執行文、送達証明書などが必要です。執行文とは、債務名義に基づいて強制執行を許可する旨が記された文書で、裁判所の書記官や公証人に作成を依頼する必要があります。 強制執行が認められると、裁判所が相手の財産を差し押さえ、売却や取り立てによって換金し、未払いの売掛金に充てます。売掛金(債権)を差し押さえた場合は、第三債務者から直接取り立てる形になります。 仮差し押さえした財産についても引き続き強制執行に移行できるため、確実に回収を進められるでしょう。 差し押さえの注意点 差し押さえは強力な回収手段ですが、万能ではありません。費用や時間の負担が大きいため、手続きを始める前に知っておきたい注意点があります。 以下の4つのポイントを把握しておくと、手続きの見通しを立てやすくなるでしょう。 財産の特定が難しい 差し押さえでもっともハードルが高いのは、相手の財産を自力で特定しなければならない点です。相手の銀行口座がどこにあるのか、どの企業と取引しているのかは、外部からは簡単に把握できません。 2020年の民事執行法改正により「財産開示手続」が強化されるとともに、「第三者からの情報取得手続」が新設され、以前よりは調べやすくなりました。「第三者からの情報取得手続」では、銀行や証券会社、市区町村や年金事務所に対して、裁判所を通じて情報の開示を求められます。 しかし、手続きには時間がかかる上、必ずしも十分な情報を得られるとは限りません。日頃から取引先の経営状況や取引関係をしっかりと観察しておきましょう。 手間と時間がかかる 仮差し押さえの申し立てから強制執行が完了するまでには、相当な時間が必要です。仮差し押さえは早ければ1~2週間で実施できますが、その後の訴訟は判決まで数カ月~1年以上かかるケースもあります。 書類の準備や裁判所とのやり取りも多く、本業に割ける時間が減りがちです。弁護士に依頼する場合は着手金や報酬金も発生するため、回収したい金額と費用のバランスを事前に見積もっておきましょう。 少額の売掛金に対して多大な時間と費用をかけると、かえって損失が膨らむ場合もあります。 相手の財産状況によっては回収できない 差し押さえの手続きを最後まで進めても、相手に財産がなければ売掛金は回収できません。また、相手に対し裁判所から「破産手続開始決定」が出された場合には、個別の差し押さえの効力そのものが失われます。 破産手続きが始まると、裁判所が「破産管財人」を選任します。破産管財人とは、破産した相手に代わって財産の管理や処分を担当する人物で、通常は弁護士が就任します。 破産管財人が選任されると、相手の財産はすべて「破産財団」に組み込まれます。破産財団とは、破産した相手が持つ財産をひとまとめにしたもので、すべての債権者へ公平に分配するために管理されます。破産財団に組み込まれた財産には個別の差し押さえが及ばなくなるため、原則としてすでに差し押さえていた財産であっても回収できません。 また、ほかの債権者がすでに同じ財産を差し押さえている場合は、回収額が債権者の間で分配されるため、全額を取り戻すのは難しくなります。 相手の経営状態が悪化してから動き出すのでは遅い場合もあるため、異変を感じたら早めの対応を心がけましょう。 まとまった金額の担保金を用意する必要がある 仮差し押さえを利用する場合、請求金額の10~30%に相当する担保金を法務局に供託しなければなりません。 例えば1,000万円の売掛金であれば、100万~300万円の資金が必要です。 担保金の割合は一律ではなく、売掛金の証拠がどれだけそろっているか、相手が被る不利益の大きさなどを裁判所が総合的に判断して決定します。売掛金の存在を裏づける契約書や請求書がしっかりそろっている場合は10~15%程度に抑えられる傾向がありますが、証拠が不十分だと30%近くを求められる場合もあります。 訴訟が長引けば、その間は担保金が手元に戻りません。資金繰りに余裕がないときは、担保金の負担だけで経営を圧迫するおそれがあります。 仮差し押さえに踏み切るかどうかは、回収したい売掛金の金額と手元資金のバランスを見ながら、慎重に判断しましょう。 売掛金の未回収リスクを抑えるには? 差し押さえは手間も時間もかかる上、相手の財産状況次第では回収が困難になる場合があります。そもそも差し押さえが必要になる状況をつくらないことが理想です。最初から未回収を防ぐ仕組みを取り入れておけば、裁判にかかる費用や労力を丸ごと省けます。 未回収リスクを抑える方法として、「売掛保証サービス」の活用があります。売掛保証サービスとは、事前に保証会社と契約を結び、対象となる取引先の与信審査を通過しておくことで、取引先が売掛金を支払えなくなった場合に、保証会社が代わりに代金を支払ってくれる仕組みです。 取引先の倒産や支払い遅延が起きても売掛金を確実に受け取れるため、差し押さえのように長い時間と高い費用をかけて回収に動く必要がありません。本業に集中できるのが大きな利点です。 また、保証会社が取引先の信用力を審査してくれるため、新しい取引先との取引を始める際の判断材料としても役立ちます。与信管理の負担を軽減できるので、特に限られた人員で経営している中小企業にとっては心強い味方になるでしょう。 関連記事:売掛保証とはなにか メリットやデメリット、実際の利用事例をご紹介 まとめ 差し押さえは、売掛金を回収するための最終手段です。「債務名義」を取得し、裁判所に強制執行を申し立てれば、相手の財産から未払い分を回収できます。仮差し押さえを先に実施しておけば、訴訟中に財産を隠されるリスクも抑えられます。 一方で、財産の特定が難しい、手続きに時間がかかる、担保金が必要になるといった負担も伴います。相手が破産してしまえば回収の見込みが立たなくなる点も見逃せません。差し押さえに踏み切る前に、回収したい金額と手続きにかかる費用・時間を比較し、本当に採算が合うかを見極めましょう。 売掛金の未回収リスクをあらかじめ抑えたいなら、売掛保証サービスの活用がおすすめです。「URIHO(ウリホ)」は、月額の定額料金で利用できる売掛保証サービスです。取引先の支払いが遅れた場合や、倒産によって売掛金が回収できなくなった場合に、URIHOが代わりに代金を支払います。 未回収の不安を解消し、安定した経営を続けたい方は、ぜひURIHOの利用をご検討ください。 売掛金の差し押さえとは?回収の…

関連記事

取引信用保険とは4 取引信用保険とは?メリットやデ…
債権 債権の種類を解説 選択債権や金…
入金遅延 入金遅延とは 考えられる原因と…
資料ダウンロード(無料) アカウント登録(無料)