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資金ショートとはなにか 防ぐための方法と発生原因の解説

資金ショート

資金ショートとは、手元の現金が少なくなり、経営上の資金が不足してしまうことです。資金ショートは、赤字の企業に限らず、黒字の企業でも収入と支出のバランスが崩れると起こり得ます。試算表上の利益だけでなく、現金の収支を意識し、キャッシュフローに注意を払うことが大切です。

この記事では、資金ショートが発生する原因とその予防、キャッシュフローの改善策を検討し、自力で対応できない場合の法的対応策を解説します。

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資金ショートとは?

資金ショートとは、企業や個人、その他の組織が運営に必要な資金を確保できない状態を指す現象です。この状態が持続すると、業務遂行が困難になり、最悪の場合は破産や倒産の危機に直面する可能性が高まります。

資金ショートを防ぐには資金繰りが重要となります。


資金繰りとは、収入と支出を効率的に管理し、資金の流れをスムーズに保つ作業です。この文脈でいう「資金」は、現金、預金、定期預金など、即時に利用可能な資産のことを指します。一方で、受取手形や売掛金、貸付金、不動産などは「資産」であっても、「資金」とはされていません。資金の不足は、家賃、人件費、融資の返済など、基本的な支払いが滞る可能性があり、結果、経営の停滞や崩壊につながることがあります。

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資金ショートと赤字との違い

資金ショートと赤字は経営上の異なる問題を指します。赤字は企業の運営において、収入が支出に対して不足している状態を意味します。これは、一定期間における企業の総収益が、その期間の総費用を下回ることによって生じます。赤字は、企業の利益と損失の計算において明らかになり、企業が持続可能な経営を行っていくうえでの収益性の問題を示しています。


対照的に、資金ショートは企業が短期的に必要な現金を準備できない状態を指し、即時の支払い義務を満たすことができないことを意味します。資金ショートは、企業の資金繰りに関わる問題であり、短期的な流動性の欠如によって引き起こされます。

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債務超過との違い

債務超過は、企業の総負債が総資産を上回る状態を指します。これは、企業の財務状態の一面を示し、負債が多すぎるために企業の資産がその債務をカバーできないことを意味します。債務超過は企業が直面する長期的な財務健全性の問題であり、企業の倒産や再構築の可能性を示唆する指標となり得ます。


一方で、資金ショートはあくまで資金繰りの問題であり、企業が短期的な財務義務を満たせない状態を指します。資金ショートは、債務超過の状態にある企業でも、財務が健全な企業でも発生する可能性があります。 債務超過は企業の総資産と総負債の比較によって明らかにされる一方で、資金ショートは特定の時点での現金や流動資産が短期的な支払い義務を満たすのに十分でない場合に発生します。

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資金ショートが発生する原因

 資金ショートが発生する原因は複数考えられますが、収入と支出のバランスがとれていないことによるものがほとんどです。


利益の減少

 商品やサービスの売上が減少する、仕入価格が増える、経費などの支出が増える等により利益は減少します。利益の減少=収入の減少・支出の増加のため、単純に、手元にある資金が減り、資金繰りは悪くなります。ただし、冒頭でも述べた通り、黒字でも資金ショートは起こりますので、一概に利益の増減だけでは把握できません。


売上の急増

売上の急増は、一般的に利益がアップし、経営成績は向上しますが、備えがなければ資金繰りが苦しくなる原因になります。商品やサービスを売り上げるためには、原材料や人件費、設備費用や外注費など、先行して多額の支出が必要です。そして、売上金の回収は後になるため、資金繰りが悪くなり、資金ショートを起こしてしまいます。


回収と支払いのタイミング

資金繰りにおいて重要なのは「回収と支払いのタイミング」です。基本的なルールとしては、売掛金は早く回収し、買掛金は遅く支払うことが理想です。売掛金回収までの期間が短く、買掛金の支払い期限が長い場合、資金繰りは安定します。逆に、支払いが早くて回収が遅い場合は、資金繰りが悪化する可能性が高いです。このタイミングの差が資金ショートを起こさない資金繰りに大きく影響します。


売掛金の未回収や貸倒れ

売掛金が予定通りに回収できないと資金繰りが悪くなります。これは請求漏れや取引先の支払い忘れが原因である場合もあります。さらに厳しい状況として、取引先が倒産や夜逃げをすると、投資していた費用は回収できず、損失が拡大します。このように、売掛金の未回収や貸倒れは資金繰りを大きく悪化させる要因となります。


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資金ショートを防ぐには

資金ショートを避けるためには、以下の対策が考えられます。


資金繰りの把握
自社の財務状況を常に理解しておくことで、問題が発生したときに迅速に対応できます。


財務管理の徹底
売掛金の請求漏れや未回収を防ぐために、取引先に対する管理を強化します。与信管理や支払いの督促も欠かせません。請求代行サービスを利用して業務を効率化することも一つの方法です。


キャッシュフローの予測
常にキャッシュフローを予測して、緊急時に備えます。予測は現実的なものであり、悪化する可能性も考慮する必要があります。


回収と支払いのタイミングの管理
売掛金の回収と買掛金の支払いのタイミングを正確に把握し、計画を立てます。


未回収リスクへの備え
万が一、売掛金が回収できない場合のリスクを最小限に抑えるため、代金の立替払いや代金回収の保証サービスが付いた請求代行サービスを利用することも選択肢の一つです。


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緊急時のキャッシュフロー改善策

緊急時の資金繰り改善には、多くの選択肢がありますが、まず目を向けるべきは「借入れの検討」です。日本政策金融公庫や地方自治体の制度融資、信用保証協会が保証する民間融資など、多種多様な融資方法が存在します。特にビジネスローンは審査が速く資金調達が容易ですが、その分利息が高いため、返済計画には注意が必要です。また、売掛金を即座に現金化できるファクタリングもありますが、手数料が高いため慎重な検討が求められます。

一方で、単に借り入れを増やすだけでなく、営業活動自体の見直しも非常に有効です。売上拡大は言うまでもなく重要ですが、資金がすぐに回収できるわけではありません。ですから、支出を減らす戦略も並行して考えるべきです。例えば、不要な在庫や使用していない固定資産は売却して現金化する手もあります。また、仕入先との間で支払い期限を延ばしてもらう交渉も有効ですが、これには事前の連絡と信頼関係が不可欠です。

さらに、経費を削減するためには、日常的に仕入れ費や人件費、一般経費などの把握が必要です。これらの情報を元に、経費削減の施策を打ち出すことができます。

最後に、すでに多額の借入れがある場合、返済計画のリスケジュールも選択肢となります。金融機関と実情に即した返済計画について交渉することで、資金繰りを一時的にでも改善するチャンスがあります。

いずれの方法も一長一短がありますが、状況に応じて柔軟に対応することが資金繰り改善の鍵となります。借入れだけでなく、自社の経営全体を見つめ直し、総合的な対策を講じることが成功への道です。

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資金ショートした際の法的な対応と手続き

資金繰りが厳しくなった場合、いくら改善策を講じても自力で解決できないという状況も考えられます。そんな時、法的な手続きが避けられなくなります。手続きにはいくつかの種類があり、その選択は会社や個人の状況によって異なります。


まず、民事再生という手法があります。これは裁判所の監督のもと、経営者を交代させずに経営の立て直しを目指す方法です。この手続きは、株式会社はもちろん、個人にも適用されています。多数の債権者が同意すれば、再生計画を定めて遂行することで、会社や個人の再建を目指します。


次に考えられるのは会社更生です。これは大規模な法人の再建に特化した制度で、厳格な手続きと高額な費用が伴います。会社更生が開始されると、原則として現経営者は退任し、裁判所が任命した管財人が新たに経営を引き継ぎます。


また、個人に特化した手続きとして個人再生があります。個人再生は、基本的には民事再生と同じ法にもとづきますが、対象が個人限定であり、負債総額にも制限があります。この手続きは一般的には簡略化されています。


さて、これらの法的手続きをどのように始めるべきかですが、最初のステップは債務整理に詳しい弁護士に相談することです。弁護士費用や裁判所で発生する費用は、債務の総額や個々のケースによって異なるため、最初の相談でしっかりと確認しておきましょう。


法的手続きが始まれば、債権者への説明会の開催や財産目録の作成、さらには再生計画案の作成など多くのステップが待っています。これらは基本的に弁護士が代わりに行ってくれます。その後、作成された再生計画案に従って債務の弁済を進めていくことになります。


総じて、法的手続きは複雑で手間がかかりますが、その先には新たなスタートがあります。状況を正確に把握し、専門家としっかりと相談して、最良の方法を選ぶことが大切でしょう。


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まとめ

資金ショートとは、手元の現金が少なくなり、経営上の資金が不足してしまうことです。利益の減少、売上の急増、回収と支払いのタイミング、売掛金の未回収や貸倒れなど、主に収入と支出のバランスが崩れることにより起こります。


防止するには、なにより自社の資金繰りを把握することが大切です。財務管理を徹底し、資金の流れを予測していれば、万が一の場合にも早めの対策を講じることができます。売掛金に対する保証を付帯することなども検討しましょう。


資金繰りの改善には、融資が有効です。ビジネスローンやファクタリングなどの方法もありますが、金利が高く、のちに資金繰りが苦しくなる可能性があるため注意が必要です。また、不要な在庫や固定資産を売却、経費の削減、支払期限の延期、返済のリスケなど、可能な限りの手立てを講じましょう。


それでも対応できなくなった場合には、民事再生、会社更生、個人再生などの法的整理を行います。自社の状況に応じて選択しましょう。


日常から自社の資金の流れをしっかり把握し、可視化しておくことが大切です。


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また、URIHOはすべての手続きがWeb上で完結し、スピーディに利用開始することが可能です。売掛金の回収にご不安がある場合は一度導入をご検討ください。

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