この記事では信用調査の概要と実施方法について詳しく解説いたします。
4つの信用調査の方法について、それぞれの手法がどのように信用情報の収集と評価に役立つかをご紹介いたします。また、信用調査をすることで企業のリスク管理にどのように貢献するかについて解説し、記事を通して信用調査の重要性を知ることができます。
信用調査とは?
信用調査とは、与信調査とも呼ばれ、企業間取引において取引先の信用度を評価するためのプロセスのことをいいます。この調査は、取引相手の支払い能力、財務状況、経営の安定性などを収集・分析することにより、財務リスクを回避し、契約遵守と約束の履行能力を確認します。特に掛売り取引など、商品やサービス提供後に代金が支払われる場面で重要で、未回収のリスクを最小限に抑えることが目的です。
信用リスクとは
信用リスクとは、取引先が期日までに負債や約束された支払いを履行しないリスクのことを指します。このリスクは、企業間取引において特に重要で、売掛金の未回収、ローンの返済遅延、あるいは完全なデフォルト(支払い不能)など、さまざまな形で現れます。信用リスクの管理と評価は、企業が財務的損失を避け、経営の安定を維持するために不可欠でそのためにも信用調査が必要です。
信用調査と反社チェックの違い
信用調査と反社チェックの違いは、信用調査が財務的信用度と支払い能力の評価に焦点を当てるのに対し、反社チェックは法的リスクと企業の社会的信用を守ることに重点を置いている点です。反社チェックは、企業が反社会的勢力との関わりを避けることによって、法的な問題や社会的な非難から自身を保護するための手段です。これに対して、信用調査は企業が取引を行う前に相手方の信用状態を確認し、経済的リスクを低減するための手段として実施されます。どちらも企業が安全で健全なビジネス環境を維持するために不可欠なプロセスです。
信用調査をやらなければならない理由
売掛債権の未回収リスクを回避する
営業取引は現金よりも売掛金(後払い)での取引が一般的です。取引先からの支払いが期日になされないと、企業の資金管理に問題が生じます。そのため、売掛金の未回収リスクを避けることが必要です。新しい取引先との取引を始める前に信用調査を行うことは特に重要で、もし売掛金が回収できなければ、企業経営に大きな打撃となります。
取引先の経営状況により、回収期日を設定し定期的にそれを見直すことが大切です。もし取引先の信用情報が不良だと判断した場合、後払いの売掛金ではなく前払いを条件にするという選択肢も考えられます。
取引先の経営状態を把握する
売掛金の未回収リスクを避けるのは重要ですが、それだけではなく取引先の倒産リスクを予見する情報を収集したり、取引先の技術力や生産能力を理解したりすることも重要です。これにより取引先の将来性を判断し、その企業が健全に運営されているかどうかを評価することができます。これは、債権の回収不能(貸倒れ)を防ぐためにも重要です。
取引先の反社会的勢力とのつながりを調査するため
反社会的勢力に利益を提供すると、企業は社会的な信用を失う可能性があります。特に上場企業の場合、反社会的勢力との関わりが発覚すると社会的な制裁を受け、株価に大きな影響を及ぼします。だからこそ、企業は取引先が反社会的勢力と関わっていないかを調査し、リスクを避けるべきでしょう。
取引先のリスクを評価するため
取引条件を設定することで、自社のビジネスをより有利に運営することができます。たとえば、新規取引先や設立されて間もない取引先に対しては売掛金ではなく前金を要求することで貸倒れリスクを避けることができます。取引先のリスクを評価することで、自社の経営を健全に保つことができます。
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信用調査の方法
信用調査の実施方法として、「社内調査」 「直接調査」 「外部調査」 「依頼調査」があります。以下にそれぞれの方法を解説いたします。
社内調査
社内調査は、企業が自ら行う情報調査の手段であり、以前の取引履歴等を確認することが主な方法です。具体的には下記のようなステップがあります。
- 企業情報の収集
調査対象企業の基本的な情報を集めます。これには商業登記簿や財務諸表、信用情報機関からの報告書などを利用します。 - 信用情報の調査
信用情報機関を活用し対象企業の経営状態や返済能力、債務の現況を把握します。借入や返済の履歴、未払いの債務などが該当します。以前は専門の信用調査会社が利用されていましたが、現在はwebで完結する信用調査サイトも活用されています。 - 取引先とのコミュニケーション
調査対象企業の取引先と連絡を取り、その信用度について情報を収集します。これにより、企業が提供した情報の信頼性を評価することができます。 - 法令遵守の確認
個人情報を含む情報収集の際は、個人情報保護法などの法令を遵守することが重要です。調査において法令に反する行為は避けましょう。 - 報告書の作成
収集した情報と評価結果をもとに、信頼性の評価をまとめた報告書を作成します。これは企業の意思決定者へ提供され、最終判断や社内の承認に役立てられます。 - 改善プロセスの導入
社内調査のプロセスは定期的に見直すべきです。PDCAサイクルを回すことで、次回の社内調査の改善が可能になります。
社内調査は比較的手軽に行うことができますが、一般に公開されている情報しか手に入らない可能性もあります。そのため公的なアドバイスを専門家から得ることも重要です。
直接調査
直接調査とは、信用調査を行う際に、調査対象となる取引先に対して直接ヒアリングを行う方法で、これにより正確な情報を収集し、信用調査の精度を高めることができます。
- 調査項目の明確化
まず初めに、調査するべき企業の経営状況や財務状況など対象となる項目を明確にします。調査の目的、対象、項目、方法(WEBや電話)、スケジュール、予算などを確認します。 - 具体的な質問の設計
次に、調査項目にもとづいて具体的な質問を作成します。作成した質問は調査対象企業の担当者へヒアリングをし回答を得ます。そのうえで、必要に応じて追加の質問を行うと、より詳細な情報を得ることができるでしょう。 - 客観的な結果の記録
得られた調査結果は、事実にもとづいて簡潔にそして客観的に記録します。
直接調査を行うことで、企業は取引先の信用度をより正確に把握し、リスクを回避することができますが、取引先に直接ヒアリングをするため、心証が悪くならないように対話には十分な注意を払う必要があります。
外部調査
外部調査とは調査対象となる企業以外から情報を集める方法です。外部調査を行うことで、より正確な情報を収集し、信用調査の精度を高めることができます。具体的には以下の方法があります。
- 公的機関からの情報収集
商業登記簿などの公的資料を利用して、取引先の財務状況や経営状態を把握します。 - 取引先への直接的なヒアリング
取引先の経営陣と直接会話をし、経営方針や事業計画についての情報を得ます。 - 信用調査会社への調査依頼
取引先の信用度やリスクについて、専門の信用調査会社に評価を依頼することも一つの手段です。
依頼調査
信用調査の依頼調査とは、信用調査会社に調査を依頼することです。
信用調査会社は、取引先の信用度を評価するために、官公庁や商業登記簿などの公的機関から情報を収集します。また場合によっては信用調査会社が取引先に直接ヒアリングを行うことも。調査の結果は調査報告書にまとめられ提出されます。
企業は、信用調査会社の調査報告書を参考にして取引先の信用度を判断し、取引のリスクを回避することができます。
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まとめ
企業の運営で取引先を増やして売上を増やすことはとても重要です。取引先も中小企業から大企業までと増える中で、売掛代金の未回収額が増えると、企業の経営に大きな影響があります。信用調査は必ず実施し、代金未回収リスクに対して早めに手が打てるように注意が必要です。信用調査は社内調査から外部調査まで各種の方法がありますが、時間やコストも考えながら効率的に精度の高い情報を収集して、リスク回避に努めていきましょう。
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