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資金繰り表とは 作成するメリットと作成方法を解説

資金繰り表

経営者にとってお金の収支を把握することはとても大切なことです。資金繰りを把握するために作成するのが資金繰り表です。

この記事では、資金繰り表とは何か、資金繰り表の作成方法、メリットなどについて解説いたします。

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資金繰り表とは?

資金繰り表とは、企業や個人の一定期間内の資金の動きを詳細にまとめた表のことです。現金や預金の収入と支出を計算し、それを数値で示して可視化します。資金繰り表を作成することで、将来的な資金の過不足を予測し、適切な資金管理を行うことができます。形式は様々ですが、一般的には月毎に売上高、収入、支出、各項目の金額を記載します。資金繰り表は、経営戦略を立てる上で重要なツールであり、財務状況の把握や資金計画の立案に役立ちます。


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資金繰り表を作成するメリット

資金繰り表を作成するメリットは、資金繰りの改善や将来の事業投資の見通しが立ちやすくなることです。自社のお金の流れを把握しやすくなるため、現状、過去、将来を比較することもできます。具体的にどのような良い面があるか説明します。

黒字倒産を防ぐことができる

黒字倒産とは、損益計算書上では利益が出ているのに、現金預金が不足して支払いができずに倒産することをいいます。これは、現金の入出金と売上や費用の計上タイミングがずれることが原因です。


例えば、次のような場合を考えてみましょう。

項目金額と内訳
売上総額700万円(現金100万円、売掛金600万円)
仕入総額400万円(買掛金400万円)
経費総額100万円(現金払い)

この場合、帳簿上は200万円の利益が出ていますが、現金預金は100万円しかありません。売掛金の入金が問題なく行われればいいのですが、入金の前に買掛金の支払いが発生することや、経費の支払いが必要になると、売掛金が入金されるまで現金が不足してしまいます。資金余力のない企業は資金不足になり黒字倒産につながる可能性があります。


黒字倒産を防ぐためには、資金の流れや入出金、現金預金の残高を常に把握することが重要です。資金繰り表を作成することで、将来の入金タイミングなどの予定も確認できます。

金融機関からの融資がスムーズになる。

金融機関から融資を受ける際には、資金繰り表を用いて論理的に資金の必要性を説明することが求められます。事業計画書とあわせて資金繰り表を作成しておくと、なぜその時期にその金額の融資が必要なのかを明確に示せるため、金融機関からの信頼を得やすく、スムーズに融資を受けられます。

効果的な経営判断に利用できる

資金繰り表は、現在のお金の流れを把握するための重要なツールです。これにより、現時点での経営判断が容易になり、資金に余裕があれば事業拡大や投資を検討し、資金不足がある場合には資金調達の方法を見直すことができます。資金繰り表は、決算書では把握できない現在のお金の流れを随時確認できるため、経営上の重要な判断材料となります。


また、資金繰り表を作成することで、全体では採算が取れているのに資金繰りがうまくいかない原因を特定することができます。例えば、売掛金の回収が支払いより遅れている、短期借入金で資金繰りを補っているなどの問題が明らかになります。これにより、資金繰りの改善策を見直し、適切な対策を講じることが可能です。

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資金繰り表の作成手順

月次試算表の作成

まず、会社の月次試算表を作成します。月次試算表は、特定の月におけるすべての取引を集計し、収益、費用、資産、負債、資本のバランスを確認するための資料です。


これには、売上高、売掛金、買掛金、経費などのデータが含まれます。データを整理し、1ヵ月ごとの収支状況を把握することで、企業の経営状態を正確に把握できます。特に、売上高や経費の動向を詳細に分析することで、資金繰り表の基礎データとして活用できます。

現金出納帳と預金出納帳の整理

現金出納帳と預金出納帳を整理し、現金および預金の現在の状況を正確に把握します。現金出納帳には現金の入出金が、預金出納帳には銀行預金の入出金が記録されています。


これらの記録を詳細に確認し、誤りや漏れがないかをチェックします。現金出納帳と預金出納帳のデータを用いて、企業の資金の流れを明確にし、現金や預金の残高を正確に把握することが重要です。このプロセスを通じて、資金の流入と流出を可視化し、資金繰り表に反映させます。

借入金返済明細書の確認

借入金返済明細書を確認し、借入金の返済スケジュールを把握します。借入金の返済予定額や返済日を詳細に確認し、資金繰り表に反映させます。借入金返済明細書には、各借入金の返済条件や利息率などの重要な情報が含まれています。これらの情報をもとに、月次の支出項目に返済予定額を追加し、将来の資金の流れを予測します。特に、複数の借入金がある場合や、返済条件が異なる場合は、資金繰りへの影響を慎重に評価することが必要です。

予測数値の計算

過去のデータをもとに、将来の収入と支出の予測を行います。過去の収益や費用のデータを分析し、季節変動や特別なイベントなどの要因を考慮して、将来の収入と支出を予測します。例えば、繁忙期や閑散期の売上高の変動を考慮したり、特別なイベントやキャンペーンの影響を評価したりします。これにより、より正確な予測数値を計算し、資金繰り表に反映させることができます。特に、予測が難しい場合は、複数のシナリオを設定し、リスクを評価することも有効です。

資金繰り表の作成

以上のデータをすべてまとめて、資金繰り表を作成します。各月の収入と支出を詳細に記載し、現金残高を正確に把握します。予測数値を反映させることで、将来の資金繰りを可視化します。


資金繰り表には、収入、支出、現金残高の他に、手形や借入金の返済予定、特別な支出や収入なども含めましょう。これにより、資金の流れを詳細に把握し、将来の資金不足や過剰を予測することができます。定期的に資金繰り表を見直し、必要に応じて修正することで、企業の資金管理をより効果的に行うことができます。

資金繰り表とキャッシュフロー計算書との違い

資金繰り表とキャッシュフロー計算書は、どちらもお金の流れを把握するための重要な書類ですが、目的と内容が異なります。

資金繰り表は、現状のお金の流れを把握し、将来のお金の動きを予測するためのものです。主に以下の目的で作成されます。


  • 現状のお金の流れを把握する
  • 将来の資金増減を予測する
  • 適切なタイミングで支払いを行えるよう調整する
  • 売掛金の回収サイトを変更するなど、将来に向けた計画を立てる

資金繰り表は、将来の経営戦略に役立ち、経営者が資金繰りの改善や事業投資の見通しを立てやすくするためのツールです。

一方、キャッシュフロー計算書は、過去のお金の流れを記載するものです。その目的は以下の通りです。


  • 企業が過去の活動で得た現金がどのように動いたかを記載する
  • 経営が健全か、安定しているか、将来成長できるかを評価、判断する

キャッシュフロー計算書には、以下の内容が示されます。


  • 本業におけるお金の増減
  • 株や不動産の売買によるお金の増減
  • 借入や増資によるお金の増減

これにより、会社全体のお金の増減バランスが分かり、企業の財務状況を包括的に把握できます。キャッシュフロー計算書は、投資家や金融機関にとって、企業の健全性や成長性を判断する重要な資料です。


このように、資金繰り表は将来の資金管理に重点を置き、キャッシュフロー計算書は過去の資金の動きを評価するものであり、それぞれの目的に応じて使い分けることが重要です。


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まとめ

資金繰り表は、会社を経営する際に必要な資金繰りを把握するために活用する目的で作られます。そのため、作成義務はなく、自社の資金繰りを把握するため、将来に向けての資金の流れを予測するために作成する会社が多いでしょう。


キャッシュフロー計算書は、大企業では決算書とともに提出が義務付けられている書類です。過去の実績から自社が安定しているかどうか、健全かどうかを他社(他者)から評価してもらうためのものなので、日々の細かい資金繰りについてはあまりわかりません。


売上や利益があるのに資金不足だ、という会社は資金繰り表を作成すると良いでしょう。原因をつきとめ、対策を取ることで目先の資金繰りだけではなく、将来的な経営政略も立てられます。


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