取引先との支払いのやりとりで請求書を使って支払うことはよくあります。そして、請求書が届かないというトラブルもたまに生じます。単発や臨時の取引の場合、相手側の会社の担当者が請求書発行を忘れている可能性もあります。また、郵送の際に何かトラブルが起きた可能性もあります。いずれにせよ、本来届くはずの請求書が届いていない場合、先方に確認が必要です。
この記事では、請求書が届かない場合に必要な確認事項は何か、感じの悪くないように確認するにはどうしたら良いかなどについて解説いたします。
関連記事
請求書払いとは 支払方法の種類メリット・デメリットを解説 | URIHO BLOG
資金調達をするために 請求書を現金化する方法とは | URIHO BLOG
請求業務の効率化によるメリットとは 未払いが発生した際の対応方法も解説 | URIHO BLOG
請求書の催促が必要なケースとは
請求書の発行自体は法律で義務付けられているものではありませんが、企業活動において重要な書類です。請求書は取引の証拠としての役割を果たし、税務調査や会計処理の際に正確な支払い履歴を示すために必要です。取引の内容を確認し、支払いを円滑に進めるためにも、請求書の受領は欠かせません。
特に、支払いの期限が近づいているにもかかわらず請求書が手元に届いていない場合、取引先に対して迅速に請求書の発行を依頼する必要があります。支払い期限を過ぎてしまうと、企業のキャッシュフローに影響を与えかねないため、早めの催促が重要です。
請求書が届かない場合に確認すること
請求書が届かない場合に考えられる1番の要因は、自社での確認漏れと先方の出し忘れです。請求書が届いていない場合、以下の点を確認しましょう。
まず自社での確認
相手先に連絡する前に、まずは自社内で請求書が届いているかどうかを再確認します。
- 請求書を別の場所に保管していないか
- メールの添付ファイルを見落としていないか
既存の取引先であれば、紙の請求書か、オンラインでの請求書かが決まっている場合が多いので、各形式での見落としがないか再度確認しましょう。また、単発や臨時の取引で発行された請求書も、紙とオンラインの両方を確認することが大切です。
郵送による請求書の場合、他の郵便物と混ざっていたり、同じ部署の別の担当者に届いていたりすることもあります。そのため、社内の関係者にも確認し、請求書が本当に届いていないかを確かめましょう。
先方へ請求書の出し忘れがないかの確認
先方の担当者、もしくは経理担当者が請求書の発行を忘れている可能性が考えられるため、直接問い合請求書が届かない原因として、相手先の担当者や経理担当者が請求書の発行を忘れている可能性もあります。その場合、適切なタイミングで問い合わせることが大切です。
普段から電話でやりとりしている場合は、まず電話で確認するのが効果的です。ただし、「請求書を発行し忘れていませんか」と直接的に言うのではなく、相手を責めるように聞こえない工夫をした伝え方が必要です。以下のような表現が適しています。
- 「●●の件について、請求書の発行はいつ頃になりそうでしょうか?」
- 「●●の件の請求書がまだ弊社に届いていないようなのですが…」
このように、相手が忘れていることや不手際を強調しない柔らかな表現を使うことで、円滑なやりとりが期待できます。
請求書の催促メールのポイント
請求書が届いていなかった場合に先方に催促メールを送ります。経理処理の期日まで日数がない場合や、いつも電話でやりとりをしている人の場合は電話を先にして、必要であれば書面で残すという意味で請求書の依頼メールを送りましょう。
催促のタイミングについて
請求書の催促を行うタイミングは、取引先との信頼関係を損なわないためにも非常に重要です。一般的に、支払い期日が近づく1週間前を目安に最初の確認を行うのが理想的です。例えば、請求書が届く予定日を過ぎてもまだ受け取っていない場合には、まず軽い確認の連絡を入れます。この際、「念のためご確認いただけますか?」といった柔らかい表現で、確認をしましょう。
催促の件名は簡潔に
一目見て何が書かれているか分かるよう、件名は短く簡潔に書きます。1日に何十通、何百通とメールが届いている担当者の場合、重要なメールだけ処理するため、件名が分かりづらいと読むのが後になってしまう傾向があります。
件名の例)
- 【●月分 請求書について】▲▲案件(●●会社)
- 【請求書についてご確認をお願いします】●月▲▲案件(●●会社)
上記の例のように、請求書の件で連絡をしているというのが一目で分かるように件名の最初に『請求書』という言葉を入れています。自分の名前を入れても良いですが、長くなるようなら会社名、担当部署くらいまでに留めておきます。
催促だからと強い口調での文面にならないようにする
請求書を発行していない先方が悪いのだから、といって強い口調で催促メールを送るのはやめましょう。期日が迫っているとついつい焦りもあり、「なんで早く送ってくれないんだ」「なぜ忘れているんだ」と苛立ちを覚えるかもしれませんが、お互い人間で忘れてしまうこともあります。また、先方は既に送付済みで郵便の関係で届いていないケースもあるので、先方に強い口調で詰め寄るのは控えましょう。
丁寧な口調としてクッション言葉を使用します。「お忙しいところ」「ご多忙中のところ」「お手数をおかけして申し訳ありませんが」などがよく使われるクッション言葉です。
行き違いで送っていると想定した文面を入れる
請求書が届いていないのはメールを送っている時点でのことです。先方はすでに請求書を送付していて、郵送中の可能性もあります。メールをもらった先方の担当者は「送ったはずなのに届いていない」と余計な心配をしてしまいますので、以下の一文を入れるようにしましょう。
「本メールと行き違いになった場合は、(何卒)ご容赦くださいませ。」
請求書の催促メール文面
件名:【●月分 請求書について】▲▲案件(●●会社)
本文:
お世話になっております。
●●会社▲▲部●●(名前)です。
請求書(●月▲▲案件)が本日○時現在、確認できておりません。
※案件のリンク(やりとりの内容)などを添付するとなお良い。
お忙しいところ恐縮ですが、ご確認いただきたく、よろしくお願いいたします。
なお、請求書の弊社への到着が●月●日(▲)を過ぎてしまいますと、お支払いが翌月になってしまう可能性がございます。(遅れてしまう可能性がございます。)
未発送の場合は早めにご郵送いただけますと幸いです。
また、PDF等で送付が可能でしたら、一旦そちらで仮処理をいたしますので、メールの返信にてお送りいただければと存じます(本処理には請求書原本が必要です)。
本メールと行き違いになった場合はご容赦くださいませ。
何卒よろしくお願いいたします。
―――――
署名(会社名、部署名、担当者名、連絡先など)
―――――
(※普段やりとりがない会社の場合はもう少し固い言葉遣いが良い)
請求書が来ていない場合、支払いの義務はある?
請求書がないと経理処理ができないとよくいわれますが、実際には請求書がなくても支払い義務は生じます。請求書を送付し忘れた先方のミスの場合でも、明らかに取引を行った事実がある場合は支払いをしなくてはなりません。
請求書が届いておらず、そのことを連絡もせず、支払いをしなかった場合、翌月やそれ以降に先方からまとめて請求がくる場合もあります。その場合はまとめて支払うことになります。社内の予算の関係もあるため、月ごとの期日を守って処理するようにしましょう。
ただし、民法166条には『債権等の消滅時効』として以下の条文が掲載されています。
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
民法 | e-Gov法令検索
つまり、請求書が届かず、取引先へも確認せず、5年が経ってしまえば支払い義務は消滅してしまうということです。悪徳な会社の場合、「先方が気づかないなら5年放置してしまおう」と考えるかもしれません。しかし、ビジネス上の付き合いとして、踏み倒し行為を行っている会社と取引をしたいとは思わないでしょう。ビジネスの取引は信頼の上で行われているため、最低限のビジネスモラルは守ることが大切です。
関連記事
売掛金の時効とは? 時効の援用と時効の中断・更新もあわせて解説 | URIHO BLOG
未回収リスクを減らすための事前対策
信用調査
信用調査とは、与信調査とも呼ばれ、企業間取引において取引先の信用度を評価するためのプロセスです。この調査では、取引相手の支払い能力、財務状況、経営の安定性などを収集・分析し、財務リスクを回避することが目的です。特に掛売り取引において重要であり、商品やサービス提供後に代金が支払われる場面で未回収のリスクを最小限に抑えるために行われます。
与信管理の方法
与信管理とは、後払いの代金が回収不能となるリスクを防ぐために、取引先の取引額や融資額に限度を設けるなど調査や審査を実施して管理することです。取引先の業績が悪化していないか、このまま会社が潰れてしまわないかなど相手の与信を適切かつ正確に判断し、取引限度額を設定する必要があります。現状の企業の売上だけでなく、過去のデータや今後の取引の拡大なども見越して限度額を定めることが重要です。
売掛保証の利用
売掛保証とは、取引先が経営悪化や財政難で支払いができなくなってしまった際に、自社の未回収の売掛金を保証してもらえるサービスです。会社更生法が適用された場合には売掛金の回収が難しくなります。そのようなリスクに備えるために売掛保証サービスに申し込んでおくとリスク回避ができます。
売掛保証のメリットは、売掛金の未回収リスクを減らせるだけではなく、与信管理もあわせて行えることにあります。売掛保証会社が契約前に取引先(売掛先)の与信審査を行うためです。しかも、取引先に知られることなく契約を進められるのも、売掛保証サービスを利用しやすいポイントです。
関連記事
売掛保証とはなにか ファクタリングとの違いと実際の利用事例をご紹介 | URIHO BLOG
まとめ
請求書が期日までに届いていないと、経理処理がギリギリになってしまいます。できれば請求書がきたら早めに処理を行いたいものです。早めに処理することで、請求書が(通常届く時期になっても)届いていない場合にはすぐに対処できます。もちろん先方の送付タイミングもあるため、通常より数日遅れることはありますので、その部分は考慮が必要です。
万が一、請求書を送っても売掛金が未払いになった経験がある方は売掛金保証サービス「URIHO(ウリホ)」をご検討いただいてはどうでしょうか。URIHOは、取引先の倒産や未入金時に取引代金を代わりにお支払いするサービスです。事前に取引先に保証をかけておくことで、与信管理をしなくても安心して取引を行うことができます。また、督促業務に時間や労力を割く必要がなくなり、営業活動に集中することが可能です。
また、URIHOはすべての手続きがWeb上で完結し、スピーディに利用開始することが可能です。売掛金の回収にご不安がある場合は一度導入をご検討ください。