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時効

この記事では、売掛金の時効とはどういったものなのかをはじめとし、売掛金が回収できなかった場合の対応や、時効が中断する理由にはどんなものがあるのかなどを解説します。


取引先と接する営業担当者の方も売掛金やその回収についての理解を深めることで、未回収のリスクを軽減することができるでしょう。

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売掛金の時効とはなにか

売掛金とは掛売りによって生じたまだ回収していない代金で、売掛金を受け取る権利を売掛債権と呼びます。


この売掛債権には時効があり、定められた期間を超過すると債権が消滅してしまいます。これは「債権等の消滅時効」として、民法第166条に定められています。

売掛金の時効は5年です。2020年に民法が改正され、債権等の消滅時効は5年とされました。


民法改正前の売掛金の時効は2年だったので、2020年3月以前に発生した売掛金は2年、2020年4月以降に発生した売掛金は5年が時効となっています。

改正後の民法には次のように定義されています。


第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

民法 第百六十六条| e-Gov法令検索

売掛金の場合、債権者は請求を持っていますから、「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。」にあたり、時効は5年となります。


では、時効はいつを起算点とするかですが、時効の期間は支払期日の翌日から発生します。


例えば、ある取引の支払期日が2023年9月30日だったとします。この場合、時効の期間は2023年10月1日から数えます。


時効の期間は5年ですから、この場合は2028年9月30日に時効を迎えることになります。


参考・引用元

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時効の援用とは

時効の援用とは、債務者側が時効制度を利用したいという意思表示をすることです。

時効が成立しても売掛金は自動的に消滅するわけではなく、債務者が「時効が成立したので売掛金は消滅しています」と債権者へ意思表示することで、売掛金が消滅します。


この意思表示を「時効の援用」といい、多くは内容証明郵便で債務者から債権者へ書面で通知されます。


売掛金を回収する債権者の立場からすれば、時効までに支払いを行わなかった取引相手から「時効制度を利用します」という意思表示を受けることになります。

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時効の中断・時効の更新とは

売掛金には5年の時効がありますが、この時効の進行を一時的に停止や時効期間をリセットすることができます。


旧民法ではこれを「時効の中断」「時効の停止」と呼んでいましたが、民法改正後は「時効の更新」「時効の完成猶予」と定義されています。

時効の更新と時効の完成猶予は次のような違いがあります。


  • 時効の更新:時効期間がリセットされること
  • 時効の完成猶予:時効の進行を一時的に停止すること

また売掛金の時効の更新や時効の完成猶予が適用される主なケースには次のようなものがあります。

裁判上の請求/支払督促/和解または調停/破産手続きなど

上記の事由が終了するまで時効の進行を一時的に停止します。また、上記手続きによって権利が確定した場合は時効が更新され、事由が終了したときから新たに時効が進行します。

催告

催告を行ってから6ヵ月間時効の進行を一時的に停止します。催告とは債務者への督促を指し、法的な手段である必要はありません。

天災など

天災などによる障害が消滅したときから3ヵ月間時効の進行を一時的に停止します。


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債権の一部が支払われた場合、時効はどうなる?

売掛金には時効があり、更新や完成猶予が適用される主なケースを前述いたしました。

そのほかにも、債権の一部が支払われた場合にも時効が更新されます。

民法152条では次のように定義されています。


時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。

債務の一部を支払うことはこの権利の承認にあたるため、時効の更新が適用されるのです。


参考・引用元

民法 152条| e-Gov法令検索

売掛金の回収ができないとどうなる?

売掛金を回収できず未回収になった状態を「貸倒れ」といいます。


貸倒れとは、企業の売掛金や貸付金の回収が困難となる状態を示し、これは主に債務者が返済能力を失った場合や経営不振、不良債権の増加などの要因により引き起こされます。貸倒れのリスクを低減するため、与信審査の厳格化や貸付条件の明確化が必要です。


貸倒れが発生した場合、企業は回収不可能となった資金の経済的損失を「貸倒損失」として計上する必要があります。


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売掛債権の回収方法

売掛金が支払期日までに払われなかった場合は督促をすることになりますが、いきなり法的手段をとるのではなく、順を追って催促を行います。

一般的には次のような流れです。


  1. メールや電話で状況を確認する
  2. 普通郵便で督促状を送る
  3. 内容証明郵便で催告書を送る
  4. 支払督促、調停、訴訟等の法的手段をとる

内容証明郵便で催告書を送る段階になれば、時効の完成が猶予されます。支払督促や調停、裁判になれば、事由が終了するまで時効の完成が猶予され、権利が確定すれば時効が更新されます。


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まとめ

売掛金には5年の時効があり、債務者側が時効の援用をするとこで売掛金が消滅します。

売掛金を支払期日までに回収できるのが一番ですが、支払いが滞った場合、時効があることも頭に入れて督促の計画を立てる必要かあるでしょう。


売掛金の時効は、催告や支払督促、調停や裁判などを行うことによって、時効の進行を一定期間ストップすることや、リセットすることができます。一時的な中止を「時効の完成猶予」といい、リセットを「時効の更新」といいます。


売掛金が回収できず貸倒れとなった場合は、経理上「貸倒損失」として計上することで、利益や税金の額を低くすることができます。


売掛金保証サービス「URIHO(ウリホ)」は、取引先の倒産や未入金時に取引代金を代わりにお支払いするサービスです。事前に取引先に保証をかけておくことで、与信管理をしなくても安心して取引を行うことができます。また、督促業務に時間や労力を割く必要がなくなり、営業活動に集中することが可能です。


また、URIHOはすべての手続きがWeb上で完結し、スピーディに利用開始することが可能です。売掛金の回収にご不安がある場合は一度導入をご検討ください。

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