ビジネスの現場では、売掛金を利用した取引が当たり前のように行われています。
しかし、売掛金を回収できなければ会社にとって大きな損失になります。そのため、売掛金をしっかりと管理して、確実にお金を受け取ることが大切です。
この記事では、売掛金管理の重要性や、管理のポイントについて分かりやすく解説します。
売掛金管理の重要性
売掛金管理とは、いつ、誰から、いくら入金されるかを正確に把握し、遅れがあればすぐに対応する業務のことです。
売掛金管理がなぜ会社にとって大切なのか、主な4つの理由をそれぞれ解説します。
キャッシュフローが安定する
最大の理由は、会社の血液である現金(キャッシュ)を枯渇させないためです。
売掛金取引では、商品が売れた日とお金が入ってくる日にズレが生じます。帳簿上でいくら売上があっても、実際に現金が手元に入ってこなければ、従業員の給料や仕入れ代金を支払うことができません。
利益は出ていても現金が不足し、会社が倒産してしまうことを「黒字倒産」といいます。売掛金の回収漏れや管理不足は、その原因の一つとして挙げられます。
入金日と金額を正しく管理することで、手元にいくら現金があるかを把握でき、支払いに困らないよう準備ができます。資金繰りが安定すれば、会社は安心して事業を続けられます。
貸し倒れリスクが下がる
取引先の倒産などで代金が回収できなくなることを「貸し倒れ」といいます。貸し倒れが発生すると、会社にとって大きなダメージとなります。
例えば、利益率10%の会社で1,000万円の貸し倒れが発生したとします。実際には固定費や変動費の影響もありますが、利益だけで損失を補填しようとすると、理論上は1億円分の商品を販売する必要があります。
日頃からしっかりと管理していれば、「いつもより支払いが遅い」「連絡がつきにくい」といった小さな異変にすぐ気づけます。早期発見ができれば、被害を最小限に抑えられます。
関連記事:貸倒れと貸倒れ損失とは 対象となる債権もあわせて解説
請求業務が効率化する
請求書の管理がずさんな場合、月末の締め日が来るたびに、納品書や過去のメールをひっくり返して請求額を調べ直さなければなりません。これでは時間がかかりすぎますし、請求書の出し忘れや、金額の間違いといったミスも起きやすくなります。
「売掛金元帳」などの台帳に記録を残し、適切に管理すれば、請求書の発行作業はスムーズになります。ムダな作業が減ることで、経理担当者の負担が軽くなり、ほかの業務に時間を割きやすいはずです。
社外からの信頼向上
売掛金管理がしっかりできているかどうかは、銀行や取引先も厳しくチェックしています。
売掛金管理が行き届かず、未回収のお金がたくさんある会社は、「この会社は管理体制が甘い」「お金を貸しても返ってこないかもしれない」と不安視されてしまいます。これでは、いざというときに銀行から融資を受けることが難しくなります。
一方で、期日どおりにしっかりと代金を回収し、財務基盤が整っている会社は外部から高く評価されます。信用があれば、銀行からよい条件で融資を受けられたり、新しい取引先と安心して契約を結べたりと、会社の成長にとってプラスに働きます。
売掛金管理の流れ
売掛金管理には、ミスなくお金を回収するための決まった「手順」があります。
ここでは、その具体的な業務の流れを5つのステップに分けて解説します。
1.売掛管理台帳を作成する
まずは「誰に」「いくら」請求する権利があるのかを、売掛管理台帳に記録することから始まります。売掛管理台帳は、「売掛金元帳」や「管理表」とも呼ばれます。
以下の項目を必ず記載しましょう。
- 顧客情報:会社名や担当部署
- 取引日:商品を渡した日
- 商品名・数量・単価:何をどれだけ売ったか
- 請求金額:合計いくらか
- 入金予定日:約束の支払日はいつか
まずは、情報を一箇所にまとめることがスタートラインです。
2.請求書を発行する
台帳の記録をもとに、取引先へ請求書を送ります。
請求書の発行においては、締め日を確認しておくことが重要です。例えば「月末締め」の場合、1日から月末までの取引をまとめて計算し、請求書を作ります。
請求書発行にあたっては、営業担当と経理担当の連携が欠かせません。「値引きを約束していたのに、定価で請求してしまった」「返品された分を引くのを忘れていた」といったミスは、相手の信用を大きく損ないます。社内でしっかりと情報を共有し、間違いのない請求書を速やかに発行・送付しましょう。
3.入金を確認する
請求書の送付後、入金予定日に実際にお金が振り込まれたかを確認します。
銀行の通帳やインターネットバンキングの履歴を見て、請求した金額と入金された金額が一致しているかチェックしましょう。
一部だけ入金されている、複数の取引分がまとめて入金されているなどの理由で、金額が合わないこともあります。ただ合計額を見るだけでなく、どの取引の分が入金されたのか、その「内訳」まで丁寧に確認することが大切です。
4.入金を消し込む
入金が確認できたら、台帳のデータと照らし合わせて「回収済み」の印をつける作業を行います。これを「消込」といいます。
この作業を怠ると、入金されているのに「まだ払ってもらっていない」と勘違いして、相手に督促の連絡をしてしまうおそれがあります。
5. 未回収債権があれば対処する
もし、期日を過ぎても入金が確認できない場合は、すぐに行動を起こさなければなりません。これを放置すると、相手は「支払わなくても何も言われない」と甘く見たり、最悪の場合はそのまま倒産してしまったりするリスクがあります。
対応は以下の手順で進めます。
- 事実確認:まずは、入金確認漏れや請求書の送り忘れなど、自社のミスがないかもう一度調べる。
- 遅延理由の把握:相手に連絡し、なぜ支払われていないのかを聞く。単純に忘れているだけなのか、資金繰りが苦しいのかで対応が変わる。
- 再請求と催促:メールや電話などで支払いを求める。相手からの反応がなければ、営業担当者が直接訪問することも考えられる。
- 法的手段の検討:何度催促しても支払われない、または連絡が取れない場合は、「内容証明郵便」の送付や、弁護士への相談を検討する。
大切なのは、「少し遅れているだけだろう」と楽観視せず、ルールにのっとり素早く対処することです。貸し倒れを防ぐためには、早期発見・早期対応が欠かせません。
関連記事:支払期限過ぎたらどうすればいい?催促する側の対応方法について

売掛金の管理方法

売掛金を正確に管理する主な方法には、「Excel」と「販売管理ソフト」の2種類があります。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、会社の規模や目的に合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、それぞれの方法を詳しく解説します。
Excel
多くの中小企業で取り入れられているのが、Excelなどの表計算ソフトを使った管理方法です。
最大のメリットは、「自分たちの使いやすいように自由に作れる」という点です。
「請求日」「取引先名」「入金予定日」など、自社に必要な項目を自由に設定できます。関数やオートフィルタ、ピボットテーブルといった機能を活用すれば、まだ入金されていない会社だけを瞬時に表示したり、データを集計したりできます。
また、作成した表は経理だけでなく、営業担当や社長への報告資料としてもそのまま活用できるため、社内の情報共有にも役立ちます。
デメリットは「手作業によるミスが起きやすい」ことです。
数字を手入力するため、打ち間違いや入力漏れのリスクがあります。また、月ごとにシート(ページ)を分けて管理してしまうと、月をまたいで未入金が続いた場合にチェック漏れが発生しやすくなります。
エクセルで管理する場合は、ミスを防ぐために「1つのシートに全データをまとめる」というルールを作り、常に最新の状態に更新し続ける工夫が必要です。
販売管理ソフト
手入力によるミスを減らしたい場合は、販売管理ソフトを活用する方法があります。
ソフトを使うメリットは、「面倒な作業を自動化できる」ことです。
売上のデータを入力すれば、自動的に売掛金元帳が作成されるため、Excelのような転記ミスが起こりません。最近では、銀行口座と連携して「入金があったか」を自動で照らし合わせてくれる自動消込機能を持つクラウド型のソフトも増えています。
会計ソフトも利用できますが、税金の計算や決算が主な目的であるため、取引先ごとの細かい入金管理には不向きな場合があります。
販売管理ソフトは、見積もりから請求、入金までの一連の流れを管理するために作成されているため、利用するのが便利です。導入には費用がかかりますが、取引件数が多い会社にとっては、作業時間を大幅に短縮できる頼もしいツールとなるでしょう。
売掛金管理のポイント
ただ数字を記録しているだけでは、思わぬミスやトラブルが起きてしまうかもしれません。そのため、いくつかのポイントを押さえて、正しく管理することが重要です。
ここでは、主な3つのポイントを紹介します。
社内で与信管理を徹底する
まずは、社内で与信管理を徹底し、取引先の状況を正しく把握してください。
取引を始める前に、相手の経営状態を調べ、「この会社には月〇〇万円までしか売らない」という上限金額(与信枠)を決めておきましょう。これを決めずに商品を売りすぎると、万が一相手が倒産したときに、取り返しのつかない損をしてしまいます。
また、取引が始まった後も油断はできません。「最近、支払いが遅れがちではないか?」「悪いうわさはないか?」といった変化に常に気を配りましょう。危ない兆候があれば、取引の量を減らすなどの対策をとり、自分の会社を守る準備をしておくことが重要です。
関連記事:【初心者必見】与信判断のポイントと与信管理の方法を解説
売掛金の締め日を顧客別に管理する
請求書を出すタイミング(締め日)は、すべての会社が「月末」とは限りません。会社によっては「15日」や「20日」を締め日にしているところがあります。
例えば、締め日が「15日」の会社に対して、16日に商品を納品したとします。この場合、その代金は今月分ではなく、「翌月分」として請求しなければなりません。このルールを忘れていると、請求漏れや誤請求が発生してしまいます。
トラブルを避けるためにも、顧客リストには必ず「締め日」の項目を作り、いつ請求書を送ればいいか顧客ごとに管理しましょう。
遅延が発生した場合、顧客別の回収計画を立てる
もし支払いが遅れたときは、通常の業務とは切り離して対応しなければなりません。
支払いが遅れている案件を、通常の売掛金リストの中に混ぜたままにしておくと、「そのうち払われるだろう」と埋もれてしまい、対応が後手に回ってしまいます。遅延が発生したら、すぐに別のリストに移し、目立つように管理しましょう。
また、あらかじめ「遅れたときの対応ルール」を決めておくことも大切です。「まずは電話で確認する」「1週間遅れたら督促状を送る」といった具体的な回収計画を作っておけば、いざというときに慌てず、事務的に淡々と回収手続きを進められます。
関連記事:支払期限過ぎたらどうすればいい?催促する側の対応方法について
まとめ
売掛金管理は、一見すると地味な事務作業に見えるかもしれません。しかし、会社の血液である「現金」を守り、黒字倒産を防ぐためには絶対に欠かせない、価値のある仕事です。
「いつ、誰から、いくら入るのか」を正確に把握し、少しの遅れも見逃さない社内体制をつくることが、会社を安定させる土台となります。
また、自分たちだけでは対応しきれないリスクには、外部の力を借りるのもおすすめです。もし、未回収への不安や与信管理の手間に悩んでいるなら、売掛金保証サービス「URIHO(ウリホ)」の導入を検討してみてください。
URIHOは、取引先の倒産や未入金時に取引代金を代わりにお支払いするサービスです。事前に取引先に保証をかけておくことで、自社で与信管理をしなくても安心して取引を行うことができます。また、督促業務に時間や労力を割く必要がなくなり、営業活動に集中することが可能です。
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