企業の業績を見る際、損益は売上と並んで最も重要な項目です。損益計算書上で利益や損失といった言葉のつく項目は全部で7つあり、それぞれ表すものが異なります。その企業の稼ぐ力を把握したい、実際に今期どのくらいの損益が発生したか知りたいなど、どのような情報を確認したいかによって、どの損益項目をみるかが決まるでしょう。
この記事で取り扱うのは、複数ある損益項目のうち特別損益に関する内容です。特別損益とはなにか、特別損失や特別利益には具体的にどのようなものが計上されるかについて解説しますので、会計に関わる人はもちろん、そうでない方も企業の財務状況を把握できる形でご紹介いたします。
特別損益とは?
特別損益とは、通常の営業活動で出る損益とは別に特別に発生した損失や利益のことをいいます。例えば災害や疫病流行などの異常事象により発生した損益や、企業として保有していた土地や建物、有価証券などの売買による損益など、臨時的に発生する損益が該当します。
特別損益は、企業の業務活動による損益とは切り離して見るのが基本です。特別損益はその年に限定して発生したものであり、毎年期待できる損益ではありません。毎年の発生が期待できる損益、つまりその企業の実力は特別損益を含まない通常の業務活動からの損益となるため、企業の成績表のひとつである損益計算書上でも切り離して表記されます。
特別損益と似ているものとして、営業外損益があります。特別損益も営業外損益も、通常の営業活動外で発生する損益という意味では同様です。特別損益が臨時的に発生した損益をさすのに対し、営業外損益は営業活動外ではあるものの継続的に発生が見込まれる損益が該当します。
損益計算書においては、利益区分は5種類あります。
- 売上総利益:売上高から売上原価を引いたもの
- 営業利益:1から販管費を引いたもの
- 経常利益:2から営業外費用を引き、営業外収益を加えたもの
- 税引前当期純利益:3から特別損益を差し引いたもの
- 当期純利益:4から法人税等を引いたもの
1の売上総利益は、本業で得られた利益を表します。この利益から、それぞれの段階で関連する費用や収益を計上することで、5の当期純利益としてその期の最終的な利益が計算されます。
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特別損失とは?
特別損失は、その期に例外的に発生した損失です。臨時的な発生に加え、金額が大きいものが計上されます。具体的には、次のようなものが計上されます。
- 固定資産の売却や除去に際して発生した損失
- 固定資産の資産価値を見直した際に発生した減損損失
- 有価証券の売却に関する損失
- 災害や異常事象、盗難などにより発生した損失
- 前期の損益に修正が発生したことに起因して計上する損失
いずれも、企業の営業活動によらないところで発生している損失です。損失ではありますが、当期の利益を押し下げることになるため節税できるというメリットもあります。
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特別利益とは?
特別利益は、その期に例外的に発生した利益です。臨時的で金額が大きいもの、という条件は特別損失と同様です。毎期発生するものではないという意味で、その企業の稼ぐ力とは分けて計上します。具体的には次のものが該当します。
- 固定資産の売却に際して発生した利益
- 有価証券の売却に関する利益
- 関係会社株式の売却に伴う利益
- 貸倒引当金戻し入れに伴う戻入益
- 債務免除に伴う債務免除益
- 前期の損益に修正が発生したことに起因して計上する利益
貸倒引当金の戻入や債務免除などは、前期以前に積立金として損金計上しているものであり、計上があっても企業が持つキャッシュの移動はありません。しかし当期の損益だけで見るのであればお金が入ってくることになるため、特別利益としての計上が行われます。
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まとめ
特別損益とは、企業の本来の営業活動以外のところで発生した臨時的な損失や利益のことをさします。固定資産や有価証券の売却に伴う損益、災害や異常事象などに伴う損失、引当金の戻入による利益などが該当します。いずれも企業の営業活動外での損益であり、発生が単年度限りと見込まれるかどうか、金額的に営業活動での損益と分けて計上すべき規模かどうかなどが、特別損益として計上するうえでの判断ポイントです。
特別損益は営業活動外の損益であるため、その企業の稼ぐ力とはみなせません。営業活動による損益を知りたい場合は営業利益を、営業活動外で発生した利益や損失を含めた当期の利益を知りたい場合は特別損益が反映された税引前当期純利益や当期純利益を見るなど、目的に応じた利益項目を確認する必要があります。
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