債権回収を行う場合、内容証明郵便の送付に始まり、さまざまな手続きを行わなければなりません。基本的には自力でできるものばかりですが、知識や経験がないと難しいものです。また、債権回収には多大な時間や労力がかかるため、通常業務を行いながら債権回収の対応を行うのは現実的ではないことが多いでしょう。
この記事では債権回収を弁護士に依頼することで得られるメリットや、依頼できる業務の内容、債権回収会社の違いと売掛保証について解説をいたします。
債権回収で弁護士に相談するメリットとは?
債権回収は基本的に自社でも対応が可能な手続きが多いです。
しかし、弁護士に相談することで、以下の3つのメリットがあります。
- 心理的影響
弁護士からの文書が届くことで、支払いを滞納している相手が心理的にプレッシャーを感じ、支払いに動きやすくなる場合があります。 - 専門的対応
内容証明を送る、調停を申し立てる、訴訟を申し立てるなどの手続きは専門家であれば煩雑な手続きもスムーズに行えます。 - 時間と労力の節約
債権回収の手続きにかかる時間や労力を大幅に削減できます。これにより、他の業務に集中することができます。
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債権回収で弁護士に依頼する費用相場は?
債権回収を弁護士に依頼した場合の費用相場は、着手金が10~30万円成功報酬が10~20%です。弁護士によっては、着手金と成功報酬を別に設定している場合もあります。その他、事前相談の料金や、回収時に発生する経費も考慮する必要があります。
以前、弁護士会による「弁護士報酬基準」というものが存在していました。この基準には、着手金の最低額が10万円とされていました。この基準は2004年に廃止されましたが、多くの弁護士事務所はそのままこの額を設定しています。
参考
債権回収の弁護士費用の相場とは?弁護士費用を安く抑えるコツ|ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ) (saiken-pro.com)
債権回収で弁護士が対応することとは
債権回収を行うにあたって、以下のような必要な作業や手続きのほとんどを弁護士に依頼することが可能です。
- 回収相手に関する調査(内容証明などを送付する際の送付先や財産状況など)
- 内容証明郵便の弁護士名義での送付
- 支払督促手続き
- 民事調停手続き
- 仮差押え
- 少額訴訟手続き
- 通常訴訟手続き
- 強制執行
- 担保権の実行
- 相手方との交渉
- 保証人や連帯保証人からの回収やそれに伴う交渉
- 債権譲渡手続き
上記の対応のほとんどは、弁護士へ依頼せず自力で行うことも可能です。ただし、専門的な知識が必要であったり、適切な判断を行うことが必要であったり、また多大な労力をかける必要があるものがほとんどです。
注意点として、回収しようとする債権の金額や相手方が持っている財産をもとに弁護士費用が計算されることです。
場合によっては、債権回収を行っても弁護士費用をまかないきれないケースもあり得ます。この点を考慮し、回収可能な金額と想定される弁護士費用を比較することが大切です。
ときには、債権の全額を回収することをあきらめる選択もあるでしょう。
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債権回収会社と弁護士依頼の違いは?
債権回収には弁護士と債権回収会社があり、それぞれ特性が違います。債権回収会社を利用する場合、債権は会社に買い取られて、債権者本人の関与は少なくなります。また、不良債権も対象で、買い取り価格は一般に回収見込み金額より低設定です。また1998年の特別措置法施行以降、債権回収会社も不良債権の回収が可能になり、回収において弁護士以外の選択肢も増えました。
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売掛保証とは?
売掛保証とは掛取引による売掛債権が取引先(売掛先)の倒産によって回収不能に陥った場合に保証会社が保証金を支払うことで売掛元が被る貸倒損失を補填できるサービスのことです。
売掛保証を契約したい場合は、掛取引を開始する前に保証会社に申込みます。保証会社は申込者から提供された情報を元に取引先の与信審査を行い、問題が無ければ申込者のニーズや予算に合わせた保証内容で契約します。
保証会社の与信審査で取引先が否決になると売掛保証は契約できません。また審査に通過しても回収不能リスクが高いと判断された場合は保証料金が高くなります。料金は保証対象の取引者数や保証上限額などの契約条件や保証会社によっても変わってきます。
売掛保証は基本的に取引先が倒産や民事再生手続に至った場合に保証金が支払われますが、売掛保証サービスURIHOでは入金遅延においても保証をおこなっています。
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売掛保証サービスの適用事例
岸波食品工業株式会社のケース
岸波食品工業株式会社はパン粉の製造販売から始まり、現在では肉や魚、油、調味料などの業務用食品をインターネットを通じて全国の飲食店や食堂に供給している企業です。
売掛保証を導入したきっかけは未入金が頻繁に発生し、その回収に多大な労力とコストを要した過去があり、回収の困難さから売掛保証サービス、URIHOを導入しました。URIHOは中小規模の取引先も保証対象とするため、取引先の与信判断を行いやすくし、新規取引の拡大を実現しました。特にコロナ禍でも、URIHOの導入によりお客様を増やし、既存取引先との取引金額も増加させることができ、経営を安定化させる助けとなりました。
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未入金の恐怖をURIHOで解決。積極的に取引を拡大できるようになりました。 | URIHO(ウリホ)導入事例
まとめ
債権回収を行う場合というのは、相手方がスムーズに支払いをしてくれない場合でもあり、納得のいく金額を回収するにはそれなりの知識やテクニックが必要であることが多いです。債権回収を弁護士に依頼すると、相手方の状況調査や訴訟に関する手続き、相手方との交渉や差し押さえの申立など、債権回収を行ううえで必要となる業務を適切なタイミングと順番で実行してくれます。
債権回収に関する業務を誰かに代行してほしい場合、弁護士に依頼する以外に債権回収会社に債権を買い取ってもらうという方法もあります。この場合、債権回収会社での買取金額は回収しようとしている債権の額よりも低くなるのが一般的であるため、債権回収を弁護士へ依頼する場合と比べて費用面でどうかという確認をすることが必要です。
売掛金保証サービス「URIHO(ウリホ)」は、取引先の倒産や未入金時に取引代金を代わりにお支払いするサービスです。事前に取引先に保証をかけておくことで、与信管理をしなくても安心して取引を行うことができます。また、督促業務に時間や労力を割く必要がなくなり、営業活動に集中することが可能です。
また、URIHOはすべての手続きがWeb上で完結し、スピーディに利用開始することが可能です。売掛金の回収にご不安がある場合は一度導入をご検討ください。