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リスク管理

与信管理規程とは?作り方と各項目のポイントについて解説

与信管理規定

企業活動において避けては通れない売掛金や手形などの取引は、企業間の信用を前提として成り立っています。与信取引には、債権回収が未回収となってしまうリスクが常に伴います。


回収を確実なものとするには取引先に対する与信管理が重要です。与信管理は、会社の内部管理制度の重要項目であり、与信管理規程などの名称で規程化されます。規程によりトラブル時の対応が明文化されれば、社内対応がスムーズに進みます。


この記事では、与信管理規程を作成するにあたり、どのような内容を記載したらいいのか悩める経理担当者に向け、実効性のある与信管理規程の作成方法について解説します。

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与信管理規程とは?

与信管理規程とは、企業が取引先との信用取引におけるリスクを適切に管理するために、内部的な管理方針を定めた規程です。


企業の成長に伴い、取引先の数や債権の規模は拡大し、それに比例して未回収リスクも増大します。特に、取引先の倒産などの不測の事態が発生すれば、回収不能となる債権が多額に上り、場合によっては企業の経営に致命的な影響を与える可能性があります。このようなリスクを適切に管理し、企業の安定した運営を確保するために、与信管理規程の策定が不可欠です。


与信管理規程は、取引先に対する与信の承認基準や債権回収のプロセスを明確にし、社内の管理体制を強化することで、信用取引における不確実性を低減します。与信管理規程をしっかりと整備することで、企業は取引先の信用リスクを適切に評価し、リスクに応じた対策を講じることが可能となります。


さらに、与信管理規程には、万が一未回収が発生した場合の対応方法や手続きが明示されています。これにより、未回収リスクが現実化した際にも、社内で効率的に対応することができ、損害の拡大を防ぐことが可能です。結果として、企業は信用取引の安全性を高め、経営の安定性を確保することができるのです。


与信とは?

与信とは、金融資源の貸付やクレジットの発行などを行う際に、取引先に対して信用を設定し、後日支払いを許可する形で商品やサービスを提供する行為を指します。


企業活動において、毎回の取引ごとに現金で決済を行うことは、手間と時間がかかり、業務効率を低下させる要因となります。そのため、多くの企業では、商品やサービスの納品後に一定の検収期間を設け、検収が完了した後に支払いを行う後払いの形態を採用しています。しかし、支払いが後日になることで、回収に対する不確実性やリスクが伴うことも避けられません。


こうした回収リスクを低減するためには、取引開始前に取引先の信用度を慎重に査定し、倒産リスクが高い企業や財務状況に問題がある企業とは、取引額や取引条件を調整することが不可欠です。信用取引を円滑に行うためには、企業ごとのリスク評価にもとづいた取引額の調整が欠かせません。


与信管理規程は、こうしたリスク管理を体系的に行うための基本的な方針を提供し、企業の信用リスクを分析し、リスクに応じた取引条件の設定や回収手続きの明確化を図ります。この規程を策定することで、取引の安全性が高まり、万が一の事態が発生した際にも迅速かつ適切に対応できる体制が整備されます。


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与信管理規程の作り方と各項目のポイント

与信管理規程の内容は企業によってさまざまですが、一般的な構成例には以下のような内容が記載されています。


  1. 総則
  2. 与信の設定
  3. 与信管理
  4. 問題の処理

上記4つの項目について、順に解説します。

総則のポイント

総則には、与信管理規程の目的や適応範囲、対象となる債権など、与信管理全体に関する一般的かつ包括的な規定を記載します。


目的

与信管理の目的は債権の保全の実現であり、それを明文化したものです。


適用範囲

与信管理規程の適用範囲を記載します。一般的には継続的な取引が前提ですが、取引がスポットでも高額な取引の場合は適用範囲に含めます。


官公庁など、信用取引において不安要素の少ない取引先や、グループ企業は適用から除外するなど、企業が独自に設定している例もあります。


対象となる債権

与信管理の対象とする債権の範囲を定めます。一般的には売掛債権や受取手形などの営業上の債権が対象になります。

与信の設定におけるポイント

与信の設定は与信管理規程の柱となる部分です。ここでは、与信限度額の設定や、申請手続き、審査・決裁、有効期限など、与信の設定方法を定めます。


与信限度額の設定

与信限度額の決め方は、以下の2つに大別されます。

  1. 営業担当者が推定した取引予想額をもとに、一定の基準表にあてはめて算定
  2. 取引先の信用調査を行って算定

営業担当者が推定する取引予想額は、過大な限度額申請にならないよう、取引先の資本金や過去の利益率を加味して基準額が設けられていることが一般的です。


次に取引先の信用調査とは、企業や個人の信用力や経済的な安定性を評価するために行う調査です。社長や役員等の人的調査、不動産や設備、製品などの物的調査、財務状況に関して調査を行います。

これらの調査結果をもとに取引先を格付し、与信設定の判断材料とします。


新規取引を開始するにあたっては、最初は取引先との取引情報がないため低めの与信枠が設定され、取引期間に応じて徐々に限度額を増やしていくとよいでしょう。また、取引先の仕入シェア率において当社比率が高くなりすぎると、取引を中止する際に取引先の経営状況に支障が生じます。与信限度額は、取引先の売上高の1~2割で設定しておくのが望ましいでしょう。


申請手続き

申請手続きを誰が行うのかを規定します。基本は営業担当者が行います。


審査と決裁

審査は組織規模の大きな企業は、専門の審査部がありますが、一般的な中小企業であれば、営業部と独立した部署で行われます。


決裁ルートは、与信限度額によって変更になるケースが多いでしょう。例えば、与信限度額が3億円以上であれば社長決裁、1億円以上3億円未満であれば経理部門または役員決裁などです。


決裁ルートの例:与信限度額が3億円の場合

営業担当者が申請➡営業部の上長が承認➡経理部が審査➡社長が決裁

決裁者に関しては、別途「職務権限規程」に定めてあるケースも多いでしょう。


有効期限

与信限度額は有効期限とセットで運用する必要があります。有効期限は1年~2年で設定され、期限が到来したら、限度額の再審査を行います。有効期限があることで、期間ごとに取引先の信用状態を再確認でき、より安全な与信設定ができるでしょう。


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与信管理のポイント

与信限度額を設定したら、毎月確実に回収が行われているかを管理する必要があります。当初設定した与信限度額が、取引の増加により、実態にそぐわなくなってしまうケースもあるでしょう。

ここでは、与信限度額の管理方法や、与信限度額超過の予防、限度額の変更方法などを設定します。


与信限度額の管理方法

継続的に行う取引は、取引の発生の都度債権額が変化するため、売掛金の残高状況を把握する必要があります。取引先ごとの債権管理表を作成し、月単位で更新することで、与信の余裕額が確認できます。


与信限度額超過の予防

例えば、与信限度額の80%~90%を超えた取引先で、すぐに回収が行われない取引先を与信超過危険リストにまとめ、与信限度額を変更する必要があるか検討します。


与信限度額の変更方法

与信限度額が超過危険域に達した取引先について原因を調査し、必要な場合は与信限度額の増額申請を行い、決裁を受けます。

問題の処理におけるポイント

取引先の回収遅延や不渡り等が発生した場合は、ただちに債権の保全措置を取る必要があります。必要な場合には、与信限度額の削除手続きを行います。


出荷制限や商品の引き上げ

債権の保全措置として、出荷の制限や商品の引き上げを行います。


回収サイトの短縮

取引先に、決済期限や支払サイトの短縮を交渉します。回収遅延が発生している取引先には、他の債権者からの取り立てが押し寄せている可能性があるため、回収可能性を高めるには先手を打って交渉する必要があります。


相殺処理

取引先に債務がある場合は、債権債務の相殺処理を行います。これは最も簡易な債権保全措置です。相殺を行うには、取引先に対し相殺の意思表示をする必要があるので、「相殺通知書」を発行し送るとよいでしょう。


保証人や物的担保の要求

保証人や物的担保を要求します。保証人は、代表取締役や親族であるケースが一般的ですが、回収が確実に図れる保証人である必要があります。また、物的担保があれば要求しましょう。

保全措置は、取引先との今後の関係に影響が生じるため、慎重に行う必要があります。


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売掛保証サービスとは

債権の保全措置の一つに、売掛保証サービスがあります。売掛保証サービスとは、売掛保証会社が、未回収の売掛金の保証を行うサービスです。売掛保証サービスを利用することで、売掛金の支払遅延や債権不履行などのリスク軽減ができます。


サービスを利用すると、以下のようなメリットがあります。


売掛金の保証

売掛保証会社が信用調査や与信管理を行い、信頼性の高い取引先に対して保証を提供します。万が一、取引先が支払を遅延し債務不履行となった場合、売掛保証会社がその損失を補償してくれます。


与信管理の効率化

売掛保証サービスを利用することで、企業は与信管理の負担を軽減できます。保証会社が顧客の信用力や支払い能力を評価し、保証を提供するため、企業は独自の与信管理業務を行う必要がありません。これにより、時間とリソースを節約し、他の業務に集中できます。


売掛保証サービスの利用によって、企業は売掛金に関するリスクを軽減し、信用リスクの管理や資金調達の円滑化を図ることができます。

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まとめ

与信管理規程は、企業の内部管理制度の一環として、与信取引におけるリスク管理のために作成される重要な規程です。


与信管理規程の作成にあたっては、以下の項目が考慮されます。

  1. 総則
  2. 与信の設定
  3. 与信管理
  4. 問題の処理

与信管理規程の実効性を高めるためには、信用調査が重要です。信用調査は、取引先の人的調査、物的調査、財務状況に関する調査を行い、総合的にスコアリングを行います。


与信管理は、企業にとって債権の回収実効性を高める重要な管理制度ですが、企業にとっては時間やリソースのかかる作業でもあります。売掛保証サービスを活用することで、与信限度額の管理、問題の迅速な処理を保証会社が代わりに行ってくれます。債権保全措置の一環として利用を検討してみるのもよいでしょう。


与信管理規程の適切な作成と実施により、実効性のある与信管理を行いましょう。


売掛金保証サービス「URIHO(ウリホ)」は、取引先の倒産や未入金時に取引代金を代わりにお支払いするサービスです。事前に取引先に保証をかけておくことで、与信管理をしなくても安心して取引を行うことができます。また、督促業務に時間や労力を割く必要がなくなり、営業活動に集中することが可能です。


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