ファクタリングは、売掛金をファクタリング会社に買い取ってもらい、入金日より前にお金を受け取れるサービスです。
法人間の取引で使われるイメージが強いかもしれませんが、売掛先が個人事業主やフリーランスであっても利用できるケースがあります。
実際に、デザイナーやコンサルタントなどの個人事業主と取引している企業が、ファクタリングを通じて売掛金を早期に現金化した事例も報告されています。「個人相手だから無理だろう」と最初から諦める必要はありません。
ただし、売掛先が法人の場合と比べると、個人は信用情報が少ないため審査が厳しくなる傾向があります。手数料も高めに設定されるケースが多いため、申し込み前の準備と会社選びが大切です。
この記事では、取引相手が個人のときにファクタリングを利用しにくい理由や利用できるケース、注意点、審査に通るためのコツを解説します。
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売掛先が個人だとファクタリングを利用しにくい理由
ここでは、売掛先が個人の場合には利用が難しくなる理由を、3つに分けて解説します。
個人の売掛先に対するファクタリングを検討している方は、利用が難しくなる理由を理解しておくと、対策を立てやすくなるでしょう。
信用力が低いと評価されがち
ファクタリング会社が審査でもっとも重視するのは、売掛先にお金を支払う力があるかどうかです。
法人であれば登記情報や決算書がそろっており、経営状態や財務状況を客観的に判断できます。一方で、個人にはこうした公的な情報がほとんどありません。収入や資産の状況が外部から分かりにくいため、「期日どおりに支払われるか」の見極めが難しくなります。
そのため審査のハードルが上がり、ファクタリング会社によっては最初から個人の売掛先を受け付けていないケースもあります。
また、個人は法人に比べて事業の継続性や資金力が不安定とみなされがちです。突然の廃業や収入の減少といったリスクが法人より高いと考えられているため、慎重な対応を取られる場面が多くなります。
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事業の実態を正確に確認しにくい
法人は商業登記や法人番号で実在を確認でき、決算公告もあるため事業内容を外部から把握できます。一方、個人事業主やフリーランスの場合、開業届の提出は義務ですが、外部から実態を確認する手段は限られています。
ファクタリング会社にとって、事業の規模や安定性がつかめない相手への売掛金は、買い取り対象としての評価が下がりがちです。売掛先が本当に事業を営んでいるのか裏づけが取れないと、審査には通りにくくなります。
法人であれば帝国データバンクや東京商工リサーチで信用情報を照会する方法がありますが、個人事業主に関しては情報の網羅性が限定的であるため、ファクタリング会社としても調査に手間がかかるのが実情です。
また、個人事業主のなかには事業用と個人用の口座を分けていないケースもあり、お金の流れが不透明になりがちな点もマイナス要因として見られています。
税金の支払いや確定申告に不安がある
個人事業主は自分で確定申告をするため、法人と比べて税務処理の信頼性に差が出る場合があります。
例えば、申告漏れや納税の遅延があると、売掛先としての信用度が下がってしまいます。
ファクタリング会社は、売掛先が税金をきちんと支払っているかどうかも判断材料の一つにしています。税金を滞納していると、差し押さえによって売掛金が回収できなくなるおそれがあるからです。
税務面の情報が外部から確認しにくい個人事業主は、審査で不利になるケースが多いです。売掛先が税務上の問題を抱えていないか確認したくても、法人のように官報で情報が公開されるわけではないため、ファクタリング会社としては慎重にならざるを得ません。
一方で、確定申告を税理士に依頼している個人事業主であれば、税務処理の正確性が担保されているとみなされ、審査でプラスに働く場合もあります。売掛先に税理士がついている旨を伝えられれば、ファクタリング会社の安心材料になるでしょう。
売掛先が個人でもファクタリングを利用しやすいケース
売掛先が個人だと審査が厳しくなりがちですが、条件次第で利用できるケースもあります。ファクタリング会社が「この売掛金なら回収できる」と判断できれば、審査を通過する可能性は十分にあります。
ここでは、審査に通る見込みが高まる代表的な4つのパターンを紹介します。以下の条件に当てはまるものが多いほど、審査に通る確率は上がります。
長期にわたる事業実績がある
売掛先の個人が長く事業を続けている場合、安定した収入がある証拠としてファクタリング会社に評価されます。開業から数年以上が経ち、廃業せずに継続しているという事実は信用力の裏づけになるからです。
特に4年以上の事業歴があると、審査でプラスに働く傾向があります。
確定申告書や納税証明書を用意しておくと、売掛先の安定性を証明しやすくなるでしょう。加えて、売掛先のWebサイトやSNSなど事業の活動実態が分かる情報も添えると、審査担当者に良い印象を与えられます。
開業届の控えも手元にあれば開業時期を正確に証明できるため、用意しておくと安心です。
継続した取引実績がある
売掛先との取引が一度きりではなく、繰り返し続いている場合も評価が高くなります。毎月の請求と入金が安定していれば、今後も問題なく支払われると判断されるためです。
例えば、半年以上にわたって毎月取引が発生しているケースでは、審査の通過率が上がります。過去の入金履歴を通帳のコピーで示せると説得力が増すでしょう。
反対に、初めて取引する相手の売掛金は審査のハードルが高くなります。
取引回数が多いほどファクタリング会社にとっての安心材料になるため、まずは取引を重ねてから申し込むのもよい方法です。
取引の証拠として請求書だけでなく、発注書や納品書も一緒に保管しておくと、ファクタリング会社への説明がスムーズになります。
社会的な知名度が高い
売掛先の個人が著名な人物であったり、業界内で広く知られていたりする場合は、審査で有利に働きます。知名度の高さは「社会的な信用がある」とみなされるためです。
例えば、有名なデザイナーやコンサルタントと継続的に取引がある場合、ファクタリング会社も安心して買い取りに応じやすくなります。
ただし、知名度だけで審査が通るわけではありません。取引内容の裏づけとして、契約書や請求書の提出も求められます。知名度と書類の両方をそろえて初めて、審査でのプラス評価につながると覚えておきましょう。
売掛先のメディア掲載実績や受賞歴があれば、補足資料として提出するのもよい方法です。
個人の売掛先に対応したファクタリング会社を選ぶ
すべてのファクタリング会社が個人への売掛金を買い取れるわけではありません。法人の売掛先のみに対応している会社も多く、そうした会社に申し込んでも審査の対象外として断られてしまいます。
個人の売掛先に対応している会社は、個人との取引でよくある書類不足や信用情報の少なさを踏まえた審査ノウハウを持っています。例えば、通帳の入金履歴やメールのやり取りなど、法人向けの審査では重視されない資料を評価に組み入れてくれる場合もあります。
まずはWebサイトや電話で対応の有無を確認してから申し込むとスムーズです。

売掛先が個人の場合にファクタリングを利用する注意点

取引相手が個人の場合、法人の場合と比べて注意点がいくつかあります。知らずに申し込むと、想定外の手数料を支払ったり、買い取り自体を断られたりするおそれがあるため、あらかじめ把握しておきましょう。
ここでは主な注意点を4つ解説します。事前に把握しておけば、申し込み後に慌てずに済みます。
手数料が高めに設定される
売掛先が個人の場合、法人と比べて未回収になるリスクが高いと判断されるため、ファクタリング会社は手数料を高めに設定する傾向があります。
手数料の相場は契約形態によって異なります。以下の表に目安をまとめました。
| 契約形態 | 売掛先が法人 | 売掛先が個人 |
| 2社間ファクタリング | 8%~18% | 相場の上限に近くなる傾向 |
| 3社間ファクタリング | 2%~9% | 対応会社が少なく、法人より高めになる傾向 |
2社間ファクタリングは売掛先への通知が不要なため利用しやすい反面、手数料は高めです。売掛先が個人だと上限の18%に近い水準を提示されるケースも珍しくありません。
3社間ファクタリングであれば手数料を抑えられる可能性がありますが、売掛先に通知が届くため、取引関係への影響を考えて慎重に判断しましょう。
なお、同じ売掛金でも会社によって手数料に数%の差が出る場合があります。1社だけで決めず、少なくとも2~3社から見積もりを取って比較するのがおすすめです。
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ファクタリングの手数料はいくら?相場や費用を抑えるコツを解説
すべての売掛金を買い取ってもらえるとは限らない
ファクタリング会社は売掛金の内容を個別に審査します。そのため、売掛先が個人だと一部の債権のみ買い取り対象になるケースがあります。特に、取引実績が浅い相手や、金額が大きすぎる売掛金は対象外になりがちです。
また、契約書や請求書の内容があいまいだと審査に落ちる可能性が高まります。売掛金がどのような仕事に対して発生したのか、はっきり分かる書類を整えておく必要があります。口頭だけで仕事を請け負っている場合は、メールのやり取りや業務完了報告書で取引の事実を裏づけられるようにしておきましょう。
書類の整備は手間がかかりますが、審査通過のためには適切な準備が欠かせません。
買取金額には上限・下限がある
ファクタリング会社ごとに買取金額の範囲が決まっています。売掛先が個人の場合は、買取可能な上限額が低く設定されていたり、少額すぎると受け付けてもらえなかったりするケースがあります。
例えば、1万円~100万円の範囲でのみ対応する会社もあれば、限度なしで柔軟に対応する会社もあります。
申し込む前に買取可能な金額の範囲を確認し、自分の売掛金額に合った会社を選びましょう。
なお、複数の売掛金をまとめて申し込める会社もあるので、少額の売掛金が複数ある場合は合算での買い取りが可能か確認してみてください。金額の合わない会社に申し込んでも時間の無駄になるため、最初の段階で調べておくのが賢明です。
Webサイトに記載がなければ、電話やメールで直接問い合わせましょう。
悪質な業者に注意する
ファクタリングは貸金業とは異なる取引のため、法律の規制が比較的緩やかです。そのため、ファクタリングを装った違法な貸付をする業者も存在します。
悪質な業者には、以下のような特徴があります。
- 契約書を交わさずに取引を進めようとする
- 手数料率が相場から大きくかけ離れている
- 担保や保証人を求めてくる
- 売掛金の「買い取り」ではなく「貸付」として契約を持ちかけてくる
正規のファクタリング会社であれば、売掛金の売買契約(債権譲渡契約)を書面で締結し、手数料も事前に明示します。不審な点を感じたら、契約を見送りましょう。
金融庁のWebサイトでもファクタリングを装った違法業者への注意喚起が掲載されているので、併せて確認してみてください。
契約前には会社の所在地や代表者名、設立年数もチェックし、信頼できる業者かどうか判断しましょう。口コミや利用者の評判を調べるのも有効です。
関連記事:審査なしのファクタリングとは 利用の危険性とファクタリングに審査が必要な理由
売掛先が個人の場合でもファクタリング審査に通るためのポイント
取引相手が個人であっても、工夫次第で審査の通過率を上げられます。しっかりとした準備をして、ファクタリング会社に安心感を持ってもらうのが大切です。
ここでは、審査に通る確率を上げる具体的な方法を4つ紹介します。どれもすぐに実践できる内容なので、申し込み前に確認しておきましょう。
必要書類を不備なく用意する
審査をスムーズに進めるために、必要書類を漏れなく準備しましょう。
一般的に必要とされる書類は以下のとおりです。
- 請求書(売掛金の金額・支払期日が記載されたもの)
- 契約書や発注書(取引内容が分かる書類)
- 通帳のコピー(入金実績を証明できるもの)
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)
- 確定申告書の控え(事業の継続性を示すため)
- 開業届の控え(個人事業主としての実態証明のため)
書類に不備があると審査が遅れたり、再提出を求められたりします。提出前に記載内容の漏れや誤りがないか確認しておきましょう。
特に請求書は、金額と支払期日が明確に記載されているかどうかを必ずチェックしてください。通帳のコピーは直近3~6カ月分を用意するのが望ましいです。
書類がしっかりそろっていれば、審査にかかる時間も短くなります。
信用度の高い売掛金を提出する
複数の売掛金がある場合は、もっとも信用度が高いものを選んで提出するのが効果的です。取引期間が長い相手や、過去に支払い遅延がない相手の売掛金を優先しましょう。
支払期日が近い売掛金も審査では有利に働きます。支払期日までの期間が短いほど、未回収リスクが低いとファクタリング会社は判断するためです。一般的に、支払期日まで30日以内の売掛金が好まれます。
一方で、まだ一度も取引が完了していない新規の取引先や、過去に入金が遅れた実績がある相手の売掛金は避けたほうが無難です。
審査に出す売掛金の選び方一つで、通過率は変わります。どの売掛金を提出するか迷ったら、ファクタリング会社に相談してアドバイスを受けるのも一つの手段です。担当者が審査の観点から、どの売掛金が通りやすいか教えてくれる場合もあります。
ファクタリング会社からの信用を得る
ファクタリング会社は売掛先だけでなく、申込者の信用度も審査しています。過去にファクタリングを利用した実績があり、問題なく取引が完了していれば、次回以降の審査で有利になります。
初めてファクタリングを利用する場合は、小さい金額から始めるのも一つの方法です。少額の取引で実績を積んでおけば、ファクタリング会社との信頼関係を築けます。
また、申し込みの際に自分の事業内容や取引背景を丁寧に説明するのも効果的です。売掛先との関係性や取引の経緯を具体的に伝えれば、ファクタリング会社が安心できる材料になります。
面談の機会がある場合は、事業計画書や取引先一覧を持参するとより説得力が増すでしょう。自社のWebサイトを持っている場合は、URLを伝えておくと事業の実態を把握してもらいやすくなります。
情報の透明性を高めるほど、ファクタリング会社は安心して審査を進められます。
事業規模に合った無理のない金額で申し込む
売掛金の全額をファクタリングに出すのではなく、事業規模に見合った金額で申し込むと審査の印象がよくなります。無理のない金額であれば、ファクタリング会社も安心して買い取りに応じるためです。
例えば、月商が100万円の事業者が、月商の5倍にあたる500万円の売掛金をファクタリングに出すと、審査上やや無理のある印象を与える可能性があります。月商との整合性を意識して、適切な金額で申し込みましょう。初回は月商の範囲内にとどめ、取引を重ねながら徐々に金額を増やしていくのが理想的です。
ファクタリング会社によっては、利用回数が増えるほど手数料が下がる仕組みを採用しているところもあります。継続的な利用を視野に入れて、長い目でファクタリング会社との関係を築いていきましょう。
まとめ
売掛先が個人のファクタリングは、法人の場合と比べて審査が厳しくなります。信用力の証明が難しい点や、対応するファクタリング会社が限られる点がその主な理由です。
ただし、長期の事業実績や継続的な取引履歴がある場合には、審査に通る可能性は十分あります。必要書類を漏れなく準備し、信用度の高い売掛金を選んで提出するのがポイントです。ファクタリング会社を選ぶ際は、個人の売掛先に対応しているかどうかを事前に確認し、手数料率を複数社で比較してから申し込みましょう。
取引相手が個人だと、お金を予定どおりに回収できないリスクが高まります。ファクタリングで早期に資金化する方法もありますが、そもそも未払いが発生しないよう備えておく視点も大切です。
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