資金繰りが厳しい状態とは、手元の現金が不足し、仕入先への支払いや従業員の給与といった日々の支出に対応できなくなりつつある状態を指します。帳簿上は黒字であっても、売掛金の回収が遅れたり、急な支出が重なったりすれば資金ショートを起こし、倒産に追い込まれるケースもあります。
この記事では、資金繰りが厳しくなる原因から、やってはいけないNG行動、社内で取り組める改善策、さらに外部で活用すべき支援・サービスまでを順に解説します。自社の状況に合った対策を見つける参考にしてください。
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資金繰りが厳しくなる主な原因
資金繰りが厳しくなる原因は一つではなく、複数の要因が重なって生じます。原因を正確に把握できれば、優先して手を打つべきポイントが明確になるでしょう。
ここでは代表的な5つの原因を紹介します。
売掛金の回収遅延・未回収
売掛金の回収が遅れたり、回収できなくなったりすると、資金繰りは一気に厳しくなります。
売上が帳簿上は計上されていても、実際に現金が入金されるのは1~3カ月後というケースは多く見られます。その間に取引先の経営状態が悪化すれば、支払いが遅れたり、最悪の場合は倒産で回収不能になったりするおそれがあるでしょう。
例えば、月に500万円の売掛金がある企業で、主要取引先1社の支払いが3カ月滞っただけでも、1,500万円分の現金が入ってこない状態に陥ります。手元の資金で固定費を賄えなくなれば、黒字でも資金ショートに追い込まれるリスクがあります。
掛取引が中心の業種では、売掛金を確実に回収できるかどうかが資金繰りの安定を左右します。取引先の信用状況を日頃から把握し、入金の遅れなど回収遅延の兆候が見えた段階で早めに対処しましょう。
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売上の減少や変動
売上が減ると、手元に入ってくる現金が減り、資金繰りが厳しくなります。売上が下がっても家賃や人件費といった固定費の額は変わらず、収入と支出のバランスが崩れるためです。
特に主要な取引先1社に売上の大半を依存している企業では、その取引先との契約が終了しただけで売上が半減し、資金繰りが一気に厳しくなるケースがあります。季節変動が大きい業種も同様で、繁忙期に稼いだ利益を閑散期の固定費に充てる計画が必要です。
売上の偏りを日頃から把握し、取引先や収益源を分散させておくのが有効です。
入金サイトと支払いサイトのズレ
入金サイトと支払いサイトのズレは、利益が出ている企業でも資金繰りを圧迫する原因になります。「サイト」とは、取引が発生してから実際にお金が動くまでの期間を指します。入金サイトは「売掛金が入金されるまでの日数」、支払いサイトは「買掛金を支払うまでの日数」です。
回収より支払いが先に来る構造では、その差額分の運転資金を常に自社で負担しなければなりません。例えば、売掛金の入金が60日後、買掛金の支払いが30日後であれば、30日分の運転資金を自社で立て替える必要があります。
利益が出ていても手元の現金が足りずに倒産する「黒字倒産」は、このサイトのズレが引き金となるケースが多いです。取引を開始する前に、相手先の支払い条件を確認し、自社の資金繰りに無理が生じないか検討しておきましょう。
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過剰な在庫
在庫を必要以上に抱えると、資金が商品に変わったまま固定されてしまい、資金繰りを圧迫します。在庫は「現金が商品に姿を変えた状態」であり、売れなければ現金には戻りません。さらに、売れない在庫を保管するための倉庫代や管理コストも発生し続けます。
例えば、「大量に仕入れたほうが単価が安い」と判断して過剰に発注した結果、売れ残った在庫の保管費用がかさみ、トータルではコスト増になるケースがあります。季節商品やトレンドに左右される商品は、時間が経つほど価値が下がり、値引きしても売り切れない場合もあるでしょう。
対策としては、仕入れ量を過去の販売実績に基づいて適正化し、動きの遅い在庫は早めに値下げして現金化するのが有効です。
無駄な出費
見直し可能な経費を放置していると、気づかないうちに資金が流出し、資金繰りを圧迫します。個々の金額は小さくても、積み重なれば年間で大きな支出になります。
まずは全支出を一覧にして洗い出し、「売上に直結する費用」と「それ以外」に分類してみましょう。売上への影響が少ない項目から優先的に削減を検討するのがおすすめです。毎月の支出を費目ごとに整理し、前月や前年の金額と比較する習慣をつければ、無駄な出費を早期に発見できます。
資金繰りが厳しいときのNG行動
資金繰りが厳しくなると焦りから誤った判断をしがちです。目先の支払いをしのぐ目的があるからといって、ここで紹介する行動を取ると、結果的に状況をさらに悪化させるおそれがあるので注意が必要です。
税金・社会保険料を滞納する
資金が足りないとき、税金や社会保険料の支払いを後回しにする経営者もいます。しかし滞納が続けば延滞税・延滞金が加算され、最終的には銀行口座や売掛金の差し押さえに至るおそれもあります。差し押さえが発生すれば取引先にも知られてしまい、信用の低下につながります。
支払いが困難な場合は、税務署や年金事務所に早めに相談しましょう。申請すれば分割納付や猶予に応じてもらえるケースもあります。
ヤミ金融から借りる
正規の金融機関から借入できないからといって、無登録の貸金業者(ヤミ金融)に手を出すのは絶対にやめてください。法外な金利で返済額が雪だるま式に膨らみ、資金繰りはさらに悪化します。
厳しい取立てにより精神的にも追い詰められ、事業の継続が困難になるケースも報告されています。資金調達に困った場合は、日本政策金融公庫や自治体の無料相談窓口も利用してみてください。
従業員への給与を未払いにする
給与の遅配・未払いは、労働基準法違反として罰則の対象です。従業員の信頼を失えば離職が相次ぎ、事業に必要な人材を確保できなくなるでしょう。優秀な人材ほど早く退職する傾向があり、人材流出は業績のさらなる悪化を招きます。
給与は法律上、仕入代金や借入金の返済よりも優先して支払わなければなりません。資金繰りが厳しくても、給与の確保は最優先で取り組んでください。

資金繰りが厳しいときに社内で取り組める改善策

外部からの資金調達に頼る方法もありますが、社内でできる改善策に着手するのも有効です。コストの見直しや資金の流れの可視化だけでも、資金繰りの改善に役立ちます。
ここでは、主な改善策を5つ紹介します。すぐに効果が出る施策もあるため、できるものから取り組んでみてください。
経費を削減する
光熱費や通信費のプラン変更、効果の薄い広告の停止、外注業務の一時的な見直しなど、固定費と変動費の両面から削減項目を洗い出しましょう。
特に交際費・広告宣伝費・交通費・雑費は、事業への直接的な影響が少ないまま削減できるケースが多い費目です。小さな削減でも年間で積み重ねれば、数十万円から数百万円の節約効果が見込めます。毎月の支出を費目ごとに整理し、前月や前年と比較する習慣をつけるのも効果的です。
資金繰り表を作成する
資金繰り表の作成は、資金繰り改善の土台となる取り組みです。「なんとなく厳しい」という感覚のままでは的確な対策が打てないため、数字で現状を把握する必要があります。
資金繰り表とは、将来の入金予定と出金予定を一覧にまとめた表です。日次・週次・月次のいずれかの単位で、いつ・いくらの入金があり、いつ・いくらの支払いが発生するのかを記録します。入金と出金の差額を見れば「何月にいくら足りなくなるのか」が事前に分かるため、手を打つタイミングを逃さずに済みます。
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取引条件を見直す
取引先との取引条件を改善するだけでも、資金繰りに余裕が生まれます。入金を早めてもらう、支払いを延ばしてもらうなど、双方にとって無理のない範囲で調整しましょう。
長年の取引実績がある相手ほど、交渉に応じてもらえる場合があります。新規の取引先とは契約時に支払い条件を明確に取り決めておくのが資金繰りの安定につながります。
回収サイトを30日短縮できるだけでも、手元資金には大きな余裕が生まれるでしょう。
在庫を減らす
滞留している在庫は資金を圧迫する原因の一つです。動きの遅い商品は値引きしてでも早期に現金化し、仕入れ量も過去の実績に合わせて適正化しましょう。
在庫管理を徹底すれば、倉庫の保管コストや廃棄ロスの削減にもつながります。発注のタイミングや数量をルール化し、過剰な仕入れを防ぐ仕組みを整えるのも有効です。
遊休資産を売却する
遊休資産とは、事業で使われていない車両や設備、備品などを指します。保有しているだけで固定資産税や保険料、駐車場代などの維持コストが発生するため、資金を圧迫する要因になります。
例えば、営業用に2台あった社用車のうち1台をほとんど使っていなければ、売却して現金化するのが合理的です。
資金繰りが厳しいときに活用すべき支援・サービス
社内の改善だけでは限界がある場合、外部の支援やサービスの活用も検討しましょう。目的や緊急度に応じて適切な手段を選ぶのが重要です。
ここでは、主な手段を6つ紹介します。
【おすすめ】売掛保証サービス
資金繰りが厳しくなる大きな要因の一つが、売掛金の未回収です。取引先の倒産や支払い遅延は予測が困難で、自社の与信管理だけでは防ぎきれません。
売掛保証サービスは、取引先が代金を支払えなくなった場合に保証会社が代わりに支払う仕組みです。
ファクタリングのように売掛金を売却するのではなく、債権を保有したまま保証を受けられるため、通常の取引では手数料で利益が目減りする心配がありません。保証会社が取引先の信用審査を代わりに実施してくれるので、与信管理の手間も減らせます。督促や回収に社内の人手を割く必要がなくなり、営業活動に集中できる点も強みです。
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ファクタリング
ファクタリングは、保有する売掛金をファクタリング会社に売却し、支払期日を待たずに現金化する仕組みです。最短即日で資金を調達できるため、急な資金需要に対応できます。
手数料の相場は2社間ファクタリングで8~18%、3社間ファクタリングで2~9%です。2社間は売掛先に知られずに利用できる一方、手数料は高めに設定されています。即効性がある反面、繰り返し利用すると利益を圧迫するおそれがあるため、一時的な資金確保の手段として割り切って利用するのがよいでしょう。
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制度融資
制度融資は、自治体・金融機関・信用保証協会の三者が連携して中小企業の資金調達を支援する仕組みです。通常の銀行融資より低金利で借入できるケースが多く、保証料の一部を自治体が補助する場合もあります。
利用条件は自治体ごとに異なるため、地域の商工会議所や信用保証協会に問い合わせてみてください。審査には1~2カ月かかる場合があるため、資金が必要になる前に余裕を持って相談するのがおすすめです。
セーフティネット貸付
セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)は、日本政策金融公庫が提供する融資制度です。物価高騰や取引先の倒産など、経済環境の変化で一時的に業況が悪化した中小企業を対象としています。
返済期間は運転資金で最長10年、設備資金で最長20年と長めに設定されており、民間の金融機関よりも低い金利で借入できる場合があります。利用にあたっては最寄りの日本政策金融公庫の窓口に問い合わせてください。オンラインでの事前相談にも対応しています。
ビジネスローン
ビジネスローンは、銀行やノンバンクが提供する事業者向けの融資サービスです。銀行融資に比べて審査が速く、最短で即日融資に対応する会社もあります。担保や保証人が不要なケースも多いため、急ぎで資金が必要なときに適しています。
ただし金利は年5~18%程度と銀行融資より高めの場合が多く、借入額も数百万円程度が上限の会社が大半です。長期的に利用するとコストがかさむため、短期間で返済できる見込みがある場合に限定して利用するのがよいでしょう。
融資のリスケジュールや借り換え
既存の融資の返済が負担になっている場合、借入先の金融機関にリスケジュール(返済条件の変更)を相談する方法があります。月々の返済額の減額や返済期間の延長により、資金繰りに余裕が生まれるでしょう。
金利の高い既存融資を、より低金利の融資に借り換えるのも有効です。
いずれの場合も、経営改善計画書や資金繰り表を準備して金融機関に相談してください。計画書の内容が具体的であるほど、金融機関も条件変更に応じてくれる可能性が高まります。
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まとめ
資金繰りが厳しくなる原因は、売上の減少や売掛金の回収遅延、入金・支払いサイトのズレ、固定費の上昇など複数の要因が重なって生じます。まずは経費削減や資金繰り表の作成といった社内の改善策に取り組み、必要に応じて制度融資やファクタリングなど外部のサービスも活用しましょう。
ただし、売掛金の未回収はどれだけ改善策を講じていても資金計画を根本から崩してしまうリスクがあります。融資やファクタリングは「資金繰りが厳しくなってからの対処」ですが、売掛保証サービスは「厳しくなる前の備え」です。未回収リスクをあらかじめ抑えておけば、急な取引先の倒産や支払い遅延にも慌てずに対応できます。
「URIHO(ウリホ)」は、月額9,800円からの定額料金で利用できる売掛保証サービスです。手続きはすべてWeb上で完結し、管理部門の人手が限られる中小企業でも手軽に導入できます。新規取引先と取引を始めるときの信用判断にも活用でき、未回収リスクを抑えながら販路の拡大を目指せる点がファクタリングにはないメリットです。初回の保証開始日から1カ月間は無料で利用できるため、まずは試してみてください。