法人の資金調達手段として、ファクタリングへの注目が高まっています。経済産業省も中小企業の資金繰り支援策の一環としてファクタリングの活用環境を整備しており、銀行融資を利用しにくい場面での受け皿として利用が広がっています。
この記事では、法人向けファクタリングの仕組みや種類、メリット・デメリット、審査で見られるポイント、ファクタリング会社の選び方まで解説します。あわせて、売掛金の未回収リスクに備える別の方法も紹介します。
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法人向けファクタリングの仕組み
ファクタリングは、入金予定の売掛金をファクタリング会社に売却し、支払期日より前に現金化する手段をいいます。銀行融資のように「借入」ではなく「債権の売買」に分類されるため、負債を増やさずに資金を確保できる点が特徴です。
ここでは、法人がファクタリングを活用する主な場面や、契約形態の種類について解説します。
法人がファクタリングを利用すべき主な場面
法人がファクタリングを検討する場面は、主に以下の3つに分けられます。
1. 支払いサイトが長く運転資金が不足するとき
売掛金の支払いサイトが30日~60日に及ぶ業種では、入金を待つ間にも仕入代金や人件費の支払いが迫ります。ファクタリングを活用すれば、入金期日を待たずに現金を確保できます。
建設業や製造業など、工事完了や納品から入金まで2~3カ月かかるケースでは、特に効果を発揮します。
2. 銀行融資の審査が間に合わないとき
銀行融資は、審査から実際の振込まで数週間~1カ月ほどかかるのが一般的です。取引先からの急な発注に対応するための仕入資金や、季節的に膨らむ人件費など、待てない資金需要は少なからず発生します。
ファクタリングであれば、最短即日で入金されるため、融資の審査結果を待てない場面での代替手段として適しています。
3. 決算前に負債を増やしたくないとき
ファクタリングは借入ではないため、貸借対照表の負債が増えません。決算期を控えた法人が、自己資本比率や負債比率といった財務指標を維持しながら資金を確保したいときに利用されるケースもあります。
金融機関との融資交渉を控えている場面では、決算書の見栄えを保つ手段としてもファクタリングが選ばれます。
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2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い
ファクタリングの契約形態は、「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類に大別されます。
それぞれの違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング |
| 契約当事者 | 利用者とファクタリング会社 | 利用者・ファクタリング会社・売掛先 |
| 手数料相場 | 8~18% | 2~9% |
| 売掛先への通知 | 不要 | 必要 |
| 資金化スピード | 最短即日 | 数日~1週間程度 |
2社間ファクタリングは、売掛先に知られずに利用できる点がメリットです。ただし、ファクタリング会社にとって回収リスクが高まるため、手数料は高めに設定されています。
3社間ファクタリングは手数料を抑えられる反面、売掛先の承諾が必要です。取引先に「資金繰りが厳しいのではないか」と思われるおそれがある点には注意しましょう。自社と売掛先の関係性、手数料の許容範囲を踏まえた上で、適切な形態を選んでください。
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法人がファクタリングを利用するメリット・デメリット

ファクタリングには銀行融資にはないメリットがある一方で、知っておくべき注意点もあります。
ここでは、法人向けファクタリングのメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
メリット1:最短即日で売掛金を現金化できる
ファクタリングの大きなメリットは、資金化のスピードです。
2社間ファクタリングであれば、申し込みから最短即日で入金されるケースがあります。オンライン完結型のサービスも増えており、対面不要で手続きが進む点も法人に選ばれる理由の一つです。
銀行融資では数週間~1カ月の審査期間がかかるため、急な仕入れや取引先への支払いに間に合わない場合があります。ファクタリングは、緊急の資金需要に対応する手段として有効といえます。
必要書類も請求書や通帳のコピーなど最小限で済むケースが多く、手続きの負担が少ない点も法人に支持される理由です。
メリット2:銀行融資と併用できる
ファクタリングは「債権の売買」であるため、銀行からの借入枠には影響しません。銀行融資を受けている法人でも、追加の資金が必要なときにファクタリングを併用できます。既存の借入枠を温存しつつ、短期的な資金不足を補いたい場面で役立ちます。
信用情報機関にも記録が残らないため、将来の融資審査にも影響しません。
メリット3:貸借対照表に負債として計上されない
ファクタリングは売掛金の売却にあたるため、貸借対照表の「負債」は増えません。融資を受けると負債が増え、自己資本比率が低下します。一方、ファクタリングであれば財務指標への影響を抑えられるため、取引先や金融機関からの信用評価を維持したい法人に適しています。
例えば、追加融資の審査を控えている法人にとって、負債比率を上げずに資金を確保できるファクタリングは都合のよい手段といえるでしょう。
メリット4:保証人や担保が不要
ファクタリングでは、売掛金そのものが買取の対象となるため、原則として保証人や担保を求められません。銀行融資の場合、不動産担保や代表者の個人保証を求められるケースもあります。
担保を用意できない法人でも、確定した売掛金があればファクタリングを利用できるため、資金調達の幅が広がります。
デメリット1:手数料が高い
ファクタリング最大のデメリットは、手数料の高さです。2社間ファクタリングの手数料相場は8~18%で、3社間でも2~9%かかります。銀行融資の金利(年1~3%程度)と比較すると、1回あたりのコストは大きくなります。
特に注意すべきは、繰り返し利用した場合の累積コストです。以下の表は、毎月ファクタリングを利用した場合の年間手数料をシミュレーションした結果です。
| 月間売掛金額 | 手数料率 | 1回の手数料 | 年間の手数料合計 |
| 100万円 | 10% | 10万円 | 120万円 |
| 300万円 | 10% | 30万円 | 360万円 |
| 500万円 | 10% | 50万円 | 600万円 |
月100万円の売掛金であっても、年間で120万円もの手数料が発生します。一時的な資金繰りの改善には有効ですが、継続的な利用は利益を圧迫するおそれがあるため注意が必要です。
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デメリット2:資金調達の範囲が限定されている
ファクタリングで調達できる金額は、保有する売掛金の額面から手数料を差し引いた金額が上限です。銀行融資のように事業計画をもとに大きな金額を調達する仕組みとは異なります。設備投資や新規事業の立ち上げのように、まとまった資金が必要な場面には向いていません。
また、すでに他社にファクタリングで売却済みの売掛金は、同じ債権を二重に売却できないため、調達可能な金額はさらに限られます。大規模な資金需要がある場合は、銀行融資との組み合わせを検討する必要があるでしょう。
デメリット3:資金繰りが悪化するおそれがある
ファクタリングで売掛金を先に現金化すると、本来の入金日には手元にお金が入りません。手数料を引いた金額を受け取るため、使える資金は目減りします。
翌月も資金不足が続いて再びファクタリングを利用し、慢性的な手数料負担に陥る悪循環が生まれる場合があります。利用は一時的な対策にとどめ、根本的な資金繰り改善と併せて検討しましょう。
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デメリット4:取引先に知られるリスクがある
3社間ファクタリングを利用する場合、売掛先に対して債権譲渡の通知を行い、承諾を得る必要があります。そのため、取引先に「経営状態がよくないのではないか」と受け取られ、今後の取引に影響するおそれがあります。
取引先との関係性を維持したい場合は、売掛先への通知が不要な2社間ファクタリングの利用が適しているでしょう。ただし、2社間は手数料が高くなるため、コストとのバランスを見極めて判断してください。

法人向けファクタリングの主な審査ポイント
ここでは、法人がファクタリングを申し込む際に確認される主なポイントを解説します。
法人の設立年数・事業内容
ファクタリング会社は、利用者となる法人の設立年数や事業内容を確認します。設立間もない法人は取引実績が少なく、架空債権のリスクを警戒される場合があります。一方、業歴が長く安定した事業を営んでいる法人は、信頼度が高いと評価されるでしょう。
登記簿謄本や決算書の提出を求められるケースもあるため、申し込み前に必要書類を準備しておくとスムーズです。
売掛先の信用度
審査でもっとも重視されるのは、売掛先(取引先)の信用力です。売掛先が上場企業や官公庁であれば、支払いが確実に実施されると判断されるため、審査に通る可能性は高くなります。
反対に、売掛先が設立間もない企業や個人事業主の場合は、経営基盤が弱いとみなされ、買取対象外とされるケースもあります。
売掛金の内容や支払期日
売掛金の額面や支払期日も、審査の重要な判断材料です。支払期日までの期間が長いほど、ファクタリング会社にとって未回収リスクが高まります。一般的に、支払期日が60日以内の売掛金は審査で有利に評価される傾向があります。
請求書の記載内容が具体的であるほど、審査での評価は上がります。「〇月分業務委託費」のようなあいまいな記載よりも、業務内容や納品物が明記されている請求書のほうが好まれます。
過去のファクタリング利用歴
過去にファクタリングを利用した履歴があれば、取引実績としてプラスに働く場合があります。同じファクタリング会社を繰り返し利用していれば、信頼関係が構築され、手数料の引き下げを交渉できるケースもあるでしょう。
ただし、複数の会社で同時に利用していると、資金繰りへの不安を持たれる場合があるため注意が必要です。二重譲渡(同じ売掛金を複数社に売却する行為)は契約違反であり、詐欺罪に問われるおそれもあるため、管理には十分気をつけましょう。
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ファクタリング会社の選び方・注意点
ファクタリング業界には法律上の免許制度がなく、悪質な業者が参入する余地があります。金融庁もファクタリングを装った違法な高金利貸付(偽装ファクタリング)について注意喚起を出しているため、十分な注意が必要です。
ここでは、ファクタリング会社の選び方と、選ぶ上での注意点を解説します。
契約から入金までのスピードが速いか
急な資金需要に対応するには、入金スピードが重要な判断基準になります。「最短即日」を掲げる会社でも、書類の不備や審査の混雑で翌営業日以降になるケースがあります。
オンライン完結型の会社であれば対面手続きが不要なため、入金までの工程が少なく、スピード面で有利です。申し込みから入金までの平均所要時間や、即日入金の条件(申し込み締切時間など)を事前に確認しておきましょう。
買取上限額は高いか
法人の場合、個人事業主と比べて売掛金の金額が大きくなります。買取上限額が低い会社を選ぶと、必要な金額を調達できないおそれがあります。
自社の売掛金の規模に合った買取上限を設定している会社を選びましょう。最低買取額も併せて確認しておくと安心です。法人向けに特化したサービスでは、数千万円~数億円規模の買取に対応している会社もあります。
手数料体系は明確か
手数料の内訳が不透明な会社は避けるべきです。基本手数料のほかに、審査手数料・事務手数料・振込手数料・債権譲渡登記費用が別途かかる場合があります。
見積もり段階で諸経費の内訳を明示してくれる会社を選びましょう。契約後に想定外の費用を請求されるトラブルを防げます。複数社から見積もりを取り、総コストを比較検討するのがおすすめです。
償還請求権があるか
償還請求権とは、売掛先が代金を支払えなくなった場合に、利用者がその損失を負担する義務を指します。
一般的なファクタリングでは、償還請求権なし(ノンリコース)が基本です。万が一、売掛先が倒産しても利用者に返済義務は発生しません。
一方、契約書に「償還請求権あり」や「買戻し条項」が盛り込まれている場合は、実質的に貸付(融資)といえます。貸金業登録を持たない業者がこうした契約を結ぶ場合は違法(偽装ファクタリング)にあたるため、契約書の内容は必ず確認してください。
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口コミはよいか
ファクタリング会社を選ぶ際は、利用者の口コミや評判も判断材料になります。運営会社の所在地や代表者の情報が公開されているか、取引実績は豊富かといった点を確認しておくと安心です。
「審査なし」「手数料0%」など極端な条件を掲げる業者は、偽装ファクタリングの可能性が高いため注意してください。契約前に、運営会社の法人登記情報をインターネット上で調べておくと、トラブル回避につながります。
まとめ
法人向けファクタリングは、売掛金を早期に現金化できる資金調達手段です。負債に計上されない点や、審査のスピードが速い点は大きなメリットといえます。一方で、利用のたびに手数料が発生するため、繰り返し利用すると年間コストが膨らむ点は見落とせません。
売掛金の未回収リスクそのものを抑えたい場合は、売掛保証サービスの活用も有効です。「URIHO(ウリホ)」は月額定額制の売掛保証サービスです。URIHOが事前に取引先の与信審査を行い、取引先の倒産や支払い遅延が発生した際には、URIHOが代金を支払います。ファクタリングのように都度手数料を差し引かれる心配がなく、安定した資金繰りにつながります。
URIHOは初回の保証開始日から1カ月間は無料で利用できます。月額9,800円からの定額料金で、月額料金以外の料金は一切かからず、半年以上や1年以上といった最低利用期間もありません。未回収の不安を解消し、本業に集中したい場合は、URIHOの導入を検討してみてください。
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