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貸倒引当金戻入とは?仕訳の方法や財務諸表・税務への影響を解説

貸倒引当金戻入(もどしいれ)とは、前期に計上した引当金を取り崩し、収益として計上する処理です。決算や法人税の申告に関わるため、経理担当者が正しく押さえておきたい勘定科目です。


本記事では、貸倒引当金戻入の意味から仕訳の方法、財務諸表や税金への影響まで解説します。

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貸倒引当金戻入の定義と関連する勘定科目

貸倒引当金戻入を理解するには、まず関連する勘定科目を理解しておく必要があります。貸倒引当金、貸倒引当金繰入、貸倒損失は、名前が似ているため混同されがちな科目です。役割を区別できないまま仕訳に進むと、どの勘定を使うべきか迷う原因になります。


ここでは戻入の意味を説明した上で、関連する3つの科目を整理します。

貸倒引当金戻入とは

貸倒引当金戻入とは、前期末に計上した貸倒引当金を取り崩し、戻入益として収益に振り替える処理です。


貸倒引当金は、将来の貸倒れに備えて、見積もった金額を費用として積み立てる勘定です。しかし、見積もりは予測にすぎないため、実際の貸倒れ額とずれる場合があります。前期に積んだ金額が当期末の見積もりより多ければ、超過分が不要になります。不要になった引当金を取り崩し、収益へ振り替える手続きが戻入です。


例えば、前期末に100万円を積んだとします。当期末の見積もりが80万円に下がると、20万円が余る計算です。余った20万円を収益へ移す処理が戻入にあたります。

貸倒引当金とは

貸倒引当金とは、将来の貸倒れに備えて、回収できないと見込む金額を前もって費用計上する勘定です。


取引先が倒産すれば、売掛金は回収できなくなります。損失が出てから一度に費用計上すると、当期の利益が大きく振れます。そこで、あらかじめ損失を見積もり、少しずつ備える仕組みが貸倒引当金です。貸借対照表では、売掛金などの資産から差し引く形で表示します。


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貸倒引当金繰入とは

貸倒引当金繰入とは、貸倒引当金を新たに積み増すときに使う費用の勘定です。戻入とは反対の動きをする勘定です。


期末に貸倒れの見積額を計算し、必要な引当金の残高を決めます。現在の残高が見積額より少なければ、不足分を繰り入れて費用に計上する流れです。繰入は損益計算書の費用となり、当期の利益を押し下げます。

貸倒損失とは

貸倒損失とは、売掛金などの債権が実際に回収できなくなったときに計上する費用です。


引当金が貸倒損失への備えであるのに対し、貸倒損失は現実に発生した損失を表します。取引先の倒産などで回収不能が確定すると、まず引当金を取り崩して充当する流れです。引当金で足りない分があれば、不足額を貸倒損失として計上します。


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貸倒引当金戻入の仕訳例

貸倒引当金の期末処理には、洗替法(あらいがえほう)と差額補充法(さがくほじゅうほう)という2つの方法があります。


洗替法は、前期分をいったん全額戻し入れてから、当期分を新たに繰り入れる方法です。一方の差額補充法は、前期残高と当期見積額の差額だけを調整します。


まずは単純な例から始め、最後に貸倒れが重なった年の仕訳まで順番に確認します。


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洗替法の仕訳

洗替法は、前期末の引当金を全額取り崩してから、当期末の見積額を改めて繰り入れる方法です。


例えば、前期末の貸倒引当金が100万円、当期末の見積額が80万円だったとします。まず前期分の100万円を全額戻し入れ、次に当期分の80万円を繰り入れます。


仕訳は、以下のとおりです。


日付借方貸方摘要
期末貸倒引当金 100万円貸倒引当金戻入 100万円前期分の全額戻し入れ
期末貸倒引当金繰入 80万円貸倒引当金 80万円当期分の繰り入れ

洗替法では、戻入益100万円と繰入費用80万円の両方が計上される点が特徴です。

差額補充法の仕訳

差額補充法は、前期末の残高と当期末の見積額の差額だけを調整する方法です。


同じく、前期末の引当金が100万円、当期末の見積額が80万円のケースで考えます。差額は20万円で、見積額のほうが少ないため、超過する20万円だけを戻し入れます。


仕訳は、以下のとおりです。


日付借方貸方摘要
期末貸倒引当金 20万円貸倒引当金戻入 20万円超過分の戻し入れ

洗替法と比べると仕訳は1行で済み、計上する金額も差額のみです。ただし、最終的な引当金の残高は、どちらの方法でも80万円でそろいます。

当期に貸倒れも発生した複合ケース

実務では、期の途中で貸倒れが発生する場合もあります。ここでは、以下のケースをもとに仕訳を見ていきましょう。


  • 前期末の引当金が100万円だった
  • 当期中に40万円の貸倒れが発生した
  • 当期末の見積額は80万円に設定している

期中の貸倒れは、まず引当金を取り崩して充当します。100万円のうち40万円を使うため、残高は60万円に減る計算です。期末には、残った60万円を基準に、洗替法と差額補充法で処理を分けます。


両方の仕訳を、方法ごとに見ていきましょう。


【洗替法】

洗替法では、残った引当金をいったん全額戻し入れます。次に、当期末の見積額80万円を改めて繰り入れます。


仕訳は以下のとおりです。

日付借方貸方摘要
期中貸倒引当金 40万円売掛金 40万円貸倒れの発生
期末貸倒引当金 60万円貸倒引当金戻入 60万円残額の全額戻し入れ
期末貸倒引当金繰入 80万円貸倒引当金 80万円当期分の繰り入れ

洗替法では、戻入益60万円と繰入費用80万円が、両方とも計上される点が特徴です。


【差額補充法】

差額補充法では、不足する分だけを補います。残高60万円と見積額80万円の差は20万円です。不足分の20万円を繰り入れて、残高を80万円にそろえます。


仕訳は以下のとおりです。


日付借方貸方摘要
期中貸倒引当金 40万円売掛金 40万円貸倒れの発生
期末貸倒引当金繰入 20万円貸倒引当金 20万円不足分の補充

期末の調整は1行で済み、計上する金額も差額の20万円だけです。


仕訳の見た目は違いますが、期末残高はどちらも80万円で一致します。貸倒れと見積もりの修正が重なる年は、まず期中の充当、次に期末の調整という順で進めると整理できます。

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財務諸表と税務申告書への影響


仕訳を組めても、財務諸表や税務申告書への影響まで意識する人は限られます。実は、対象となる債権の種類によって、損益計算書での見え方は変わります。また、会計上の処理と税務上の処理にはずれがあり、申告のときに調整が必要です。


ここでは、会計と税務の両面から、戻入が決算と税金にどう関わるのかを整理します。

損益計算書での見え方の違い

戻入を損益計算書のどこに表示するかは、対象となる債権の種類で決まります。


売掛金や受取手形など、営業上の取引から生じた債権の戻入は、販売費及び一般管理費のマイナス、または営業外収益として表示します。一方、貸付金など営業外の取引から生じた債権の戻入は、営業外費用のマイナス、または営業外収益に計上します。


また、洗替法と差額補充法のどちらを選んでも、最終的な当期純利益は変わらない点も押さえておきましょう。洗替法は戻入と繰入を総額で計上し、差額補充法は差額だけを計上します。表示される金額の大きさは異なりますが、利益への最終的な影響は同じです。

貸借対照表と税務申告書の関係

貸借対照表では、貸倒引当金を資産のマイナス項目として表示します。売掛金などの資産から差し引く形で示すため、洗替法でも差額補充法でも、引当金の残高は同じです。表示される純資産にも違いは出ません。


一方、税務申告書では扱いが異なります。法人税では、前期に繰り入れた引当金を当期にいったん全額戻し入れる「洗替方式」が前提です。会計で差額補充法を採用していても、税務では別表十一を使って申告します。別表十一とは、法人税申告書に添える明細書の一つです。前期分の戻入と当期分の繰入は、別表十一で計算します。


なお、税務上で繰入額を損金に算入できるのは、資本金1億円以下の中小法人など一部の法人に限られます。大法人や、大法人の完全子会社などは原則として損金に算入できないため、自社が対象になるかを事前に確認しておきましょう。

繰入・戻入を毎期繰り返す会社が抱える課題

ここまで、戻入の仕訳と財務諸表・税務への影響を見てきました。会計処理として正しくても、毎期のように繰入と戻入を繰り返す状態には、見過ごせない課題が隠れています。引当金の処理は、損失に備える手続きにすぎないからです。


ここからは、繰り返しの処理が映し出す経営の課題を整理します。

引当金を計上しても損失そのものを防げない

貸倒引当金は損失に備える勘定ですが、貸倒れそのものを防ぐ力はありません。


引当金をいくら正しく計上しても、取引先が倒産すれば売掛金は戻ってきません。引当金は、将来の損失をあらかじめ見積もることで、企業の財務状態と期間ごとの損益を正しく示すための仕組みです。


毎期、繰入と戻入を繰り返す状態は、未回収のリスクを数字に置き換えているだけともいえます。リスクの大きさを帳簿に映しているだけで、リスクそのものは減っていないからです。

取引先の信用調査と督促にかかる負担

引当金を適切に見積もるには、取引先ごとの信用状態を把握する必要があります。決算書の取り寄せや支払い状況の確認には、相応の手間がかかる作業です。


また、入金が遅れれば、督促の連絡や交渉も発生します。限られた人数で経理を回す中小企業にとって、信用調査と督促の負担は重くのしかかります。本来は売上を伸ばすために使える時間が、回収業務に奪われてしまう状態は、数字に表れない損失です。


例えば、取引先が10社あれば、それぞれの決算書や支払い状況を毎期確認します。社数が増えるほど、確認の手間は膨らんでいきます。


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未回収リスクを根本から減らすために見直したいこと

取引先の信用調査と督促の負担を踏まえると、引当金を積む前に、未回収リスクそのものを小さくする工夫が大切です。リスクを帳簿で受け止めるより、入り口で減らす考え方が役立ちます。特に、与信の精度が問われる場面です。


ここでは、経営者と経理担当者が確認したい項目を、順番に紹介します。自社の状態を振り返るために、以下の項目を確認してみましょう。


  • 毎期、貸倒引当金の戻入が発生していないか
  • 特定の取引先に売掛金が偏っていないか
  • 与信の判断を担当者の経験だけに頼っていないか
  • 取引先の信用情報を定期的に更新できているか
  • 回収が遅れたときの対応手順を決めているか

1つでも不安が残る項目があれば、与信管理の仕組みを見直す余地があります。取引先の信用力を外部の保証会社に審査してもらう方法も役立ちます。


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まとめ

貸倒引当金戻入は、前期に積んだ引当金を取り崩し、収益として計上する処理です。仕訳には洗替法と差額補充法があり、選んだ方法で決算書の見え方は変わります。しかし、引当金をどれだけ正しく処理しても、未回収リスクそのものはなくなりません。毎期、繰入と戻入を繰り返す状態は、リスクを数字に置き換えているだけだからです。


未回収リスクを根本から減らすには、売掛保証サービスが手助けになります。売掛保証サービスとは、取引先が代金を支払えなくなったとき、保証会社が代わりに支払う仕組みです。引当金のように損失に備えるのではなく、未回収が起きたときに保証が適用されます。


「URIHO(ウリホ)」は、月額9,800円~の定額で使える売掛保証サービスです。取引先の倒産や支払い遅延が起きたとき、URIHOが代わりに代金を支払います。取引先の信用力はURIHOが審査するため、与信管理の負担も軽くなる仕組みです。承認率は95%と高く、初回の保証開始日から1カ月間は無料で使えます。未回収の不安を減らし、本業に集中したい方は、URIHOの利用を検討してみてください。


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