近年、人手不足を理由に倒産する企業が増え続けています。
人手不足倒産は、倒産する会社だけの問題では終わりません。商品やサービスを納めている取引先が倒産すると、売掛金を回収できず、自社の経営にも打撃が及びます。
本記事では、人手不足倒産の意味や、急増の背景を説明します。あわせて、取引先の倒産が自社にもたらす打撃や倒産の兆しを見抜く方法、取引先の倒産から売掛金を守る方法を解説します。
人手不足倒産の定義と急増の構造的原因
まずは、人手不足倒産の定義や発生状況、急増の原因を確認しておきましょう。
人手不足倒産とは
人手不足倒産とは、働き手を確保できないことが原因で倒産する状態を指します。業績が悪くなくても、人手が足りなければ事業を回せなくなり、倒産に追い込まれます。
例えば、受注はあるのに職人が足りず、工事を引き受けられない建設会社があるとしましょう。この場合、仕事はあっても現場に立つ人がいなければ売上を生み出せません。
ほかにも、ドライバーが集まらず配送を続けられない運送会社や、調理スタッフが辞めて閉店する飲食店も該当します。
赤字が直接の引き金になる業績不振型の倒産とは、原因が大きく異なる点が特徴です。
人手不足倒産の種類
人手不足倒産は、原因によって大きく4つの種類に分けられます。種類ごとに、引き金となる出来事が異なります。
以下、それぞれまとめました。
| 種類 | 主な原因 |
| 後継者難型 | 経営者の高齢化や引退で、事業を引き継ぐ人がいない |
| 求人難型 | 募集しても応募が集まらず、必要な人数を雇えない |
| 従業員退職型 | 社員が次々と辞め、事業の運営が回らなくなる |
| 人件費高騰型 | 賃金の上昇に収益が追いつかず、採算が悪化する |
なお、ここで紹介した原因が別々に起こるとは限りません。例えば、求人が集まらない上に人件費も上がるなど、複数の原因が重なる場合もあります。
人手不足倒産の発生状況

人手不足倒産の件数は、年々増え続けています。
帝国データバンクの調査によると、2025年は427件にのぼりました。前年(342件)から85件・24.9%増え、3年連続で過去最多を更新しました。年間では、初めて400件を超えています。
業種別では、建設業と物流業が目立ちます。建設業は113件で、初めて100件を超えました。物流業も52件にのぼり、ともに過去最多を更新しました。
件数が伸びた背景には、2024年4月から始まった残業時間の上限規制(2024年問題)があります。働ける時間が限られ、人手不足がいっそう深刻になりました。
また、従業員10人未満の会社の倒産も目立っています。2025年は329件で、全体の77.0%を占めました。従業員が少ない企業は、社員1人の退職でも影響が大きく、倒産に直結します。
政府は、所得税がかかり始める年収の壁(いわゆる103万円の壁)を引き上げました。働き控えが和らげば、人手不足の解消につながると期待されています。一方で、大企業を中心に賃上げが進み、追随できない小さな会社の倒産は当面続く見通しです。
参考
人手不足倒産が急増している原因
人手不足倒産が急増している原因は、大きく3つあります。
1つ目は、働く人の数が減っていることです。日本では少子高齢化が進み、労働人口が縮小しています。そのため、募集をかけても応募が集まりにくい状況が、今後も続くと見られます。
2つ目は、賃上げ競争の激化です。大企業は、高い賃金で人材を集めています。資金に余裕のない小さな会社は賃上げで追随できず、人材を奪われてしまいます。
3つ目は、特定の業種に負担が偏っていることです。建設業や物流業では、残業時間の上限規制が新たに設けられました。限られた人数で仕事を回す必要が生じ、事業の継続が難しくなっています。
取引先の人手不足倒産が自社に与える3つの打撃
取引先が人手不足で倒産すれば、自社の経営にも深刻な打撃が及びます。
ここでは、主な打撃を3つに分けて紹介します。
売掛金を回収できない
取引先が倒産すると、売掛金を回収できなくなるのが大きなリスクです。
売掛金とは、商品やサービスを先に提供し、後から受け取る予定の代金です。取引先が倒産すれば支払い能力を失うため、売掛金は回収できなくなります。
例えば、500万円の売掛金が回収できなければ、500万円の損失が丸ごと自社の負担となります。
さらに深刻なのは、損失を埋めるために必要な売上の大きさです。売上の10%が利益として残る会社を考えてみましょう。100万円を売り上げても、利益は10万円しかありません。失った500万円を利益だけで取り戻すには、5,000万円もの新規売上が必要になります。
このように、1件の未回収が長年の営業努力を一気に帳消しにする可能性があるので、売掛金の回収不能を軽く見てはいけません。
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代替取引先コストが発生する
取引先が倒産すると、代わりの取引先を新たに探す手間が生じます。
仕入れ先が倒産した場合、同じ品質の商品を同じ価格で確保できるとは限りません。新しい取引先を見つけるまでには、情報収集や交渉、契約などの手間がかかります。
本来の業務以外に、担当者の時間と労力を割く負担も生じるでしょう。さらに、急いで代わりを探すと、弱みにつけ込まれ、割高な価格を提示される場合もあります。
販売先が倒産した場合は、売上の落ち込みが避けられません。新しい販売ルートを開拓するまで、収益が減る期間が続きます。
資金繰りが悪化する
取引先の倒産は、自社の資金繰りを直接悪化させます。
売掛金を回収できなければ、予定していた現金が入ってきません。一方で、仕入れ代金や人件費、家賃などの支払いは予定どおりやってきます。
入ってくるお金が減っても、出ていくお金は変わりません。手元の資金は、急速に減っていきます。資金が底を突けば、黒字でも支払いができず、倒産の危機に直面します。
取引先の倒産が自社の倒産を招く現象が、連鎖倒産です。売掛金の未回収は、連鎖倒産の主な引き金といえます。1社の倒産が、取引先を次々と巻き込む事態に広がる場合もあるでしょう。
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取引先の倒産リスクを見抜く早期シグナル7選

取引先の人手不足倒産は、ある日突然起こるわけではありません。多くの場合、前ぶれとなるサインが取引の中に現れます。サインを早く読み取れれば、早めに対策が打てるでしょう。
ここでは、取引先の倒産リスクを見抜く7つの早期シグナルを紹介します。
支払いが遅れ始める
倒産の兆しの中で、もっとも目立つのが支払いの遅れです。今まで期日どおり払っていた取引先が、急に遅れ始めたら警戒しましょう。
資金繰りが苦しくなると、会社は支払いの順番を後回しにしがちです。手元の資金が足りないため、督促のゆるい取引先から支払いを遅らせます。一度の遅れでも軽く見ず、すぐに原因を確認しましょう。
例えば、満額ではなく一部だけ振り込まれる、分割払いを打診されるといった変化も同じサインです。理由を尋ねてもあいまいな返答しか得られないときは、資金繰りの悪化を強く疑いましょう。
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経営幹部や従業員の退職が続く
役員や中心社員の退職が続く場合も、危険なサインです。社内の状況をよく知る人ほど、会社の先行きに不安を感じて早く離れます。
短い期間に複数の幹部が辞めていれば、経営が大きく揺らいでいるかもしれません。例えば、取締役や工場長が相次いで退職した取引先は、内部で深刻な問題を抱えているおそれがあります。取引先の人の動きにも、目を向けましょう。
特に、経理や財務を担う社員の退職は、見逃せないサインです。お金の流れを把握する人材が抜けるのは、資金繰りの悪化を示す動きといえます。
求人を長期間出し続けている
同じ求人を長い期間出し続けている取引先にも、注意を払いましょう。求人サイトの掲載状況は、社外からでも確認できる手がかりです。
求人を出し続けているのは、人が定着していないサインかもしれません。採用してもすぐに辞めてしまい、欠員を埋め続けている可能性があります。人手不足が慢性化すると、事業を回す力はじわじわと落ちていきます。
給与や待遇を急に引き上げた求人にも、注意が必要です。好条件を出してでも人を集めなければ、現場が回らない状況がうかがえます。
支払いサイトの延長を求めてくる
取引先が支払いサイトの延長を求めてきたら、資金繰りの悪化を疑いましょう。支払いサイトとは、商品の納品から代金の支払いまでの猶予期間を指します。
支払いを30日から60日に延ばしてほしいといった申し出は、手元資金が不足しているサインです。延長に応じれば、自社が代金を受け取る時期も遅くなります。安易に応じず、慎重に判断しましょう。
また、現金払いから手形払いへの変更を持ちかけてくる場合も、資金不足のサインです。手形は支払いまでの期間が長く、相手の資金繰りを楽にするためです。応じる前に、取引先の財務状況を必ず確認してください。
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連絡や対応が急に遅くなる
担当者の連絡や対応が急に遅くなった場合も、注意が必要です。例えば、電話がつながらない、メールの返信が遅い、訪問を断られるといった変化が現れます。
社内が混乱していたり、人員が減っていたりすると、社外への対応の質が落ちます。今までとの違いを感じたら、取引の状況を見直しましょう。
担当者が短い期間に何度も変わる場合も、社内の混乱を示すサインです。引き継ぎが不十分なまま人が入れ替わると、対応の質はさらに落ちてしまいます。
納期の遅れや品質の低下が増える
納期の遅れや、商品・サービスの品質低下が増えたら警戒しましょう。人手が足りなくなると、現場の作業が回らず、納品の質と速さが落ちる傾向があります。
ミスや不良品の増加は、内部で人材が不足しているサインです。例えば、検品の担当者が減れば、不良品が混じるおそれが高まります。納品物の変化からも、取引先の経営悪化を読み取れます。
店舗や事業所の縮小が見られる
店舗や事業所の閉鎖・縮小が見られたら、経営の悪化を疑いましょう。コスト削減のため、採算の悪い拠点を閉鎖している可能性があります。
オフィスの移転、店舗数の削減、設備の売却などは、資金を確保するための動きと考えられます。例えば、本社を狭い物件へ移したり、社用車を手放したりする動きには注意しましょう。取引先の規模が縮んでいないか、定期的に確認しましょう。
主力だった商品やサービスの取り扱いをやめる動きも、危険なサインです。採算の合わない事業から手を引き、規模を縮めている場合があります。
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取引先が人手不足倒産した際に売掛金を守る3つの経営判断
早期シグナルで倒産の兆しに気づけても、倒産を止めることはできません。取引先が倒産すれば、自社の売掛金は危険にさらされます。だからこそ、倒産が起こる前から売掛金を守るように対策しておきましょう。
ここでは、取引先が倒産した際に自社の売掛金を守るためのポイントを3つ紹介します。
与信限度額を設定する
1つ目は、取引先ごとに与信限度額を設定することです。与信限度額とは、1社の取引先に認める売掛金の上限額です。つまり、後払いで取引してよい金額の上限を指します。
上限を決めておけば、取引先が倒産しても、損失を上限の範囲内にとどめられます。例えば、与信限度額を300万円に設定すれば、未回収が起きても損失は300万円までです。
上限を超える取引は受けないため、被害が際限なく膨らむ事態を防げます。取引先の財務状況や信用情報をもとに、無理のない金額を決めましょう。
取引先の経営状態は変化します。少なくとも年に1回は、与信限度額を見直すことが大切です。
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取引先を分散させる
2つ目は、取引先を複数に分散させることです。特定の1社に売上の大半を頼っていると、倒産したときの打撃が致命的になります。
例えば、売上の8割を1社に頼っていると、倒産によって売上の大半を一度に失うことになります。複数の取引先に売上を分けておけば、1社が倒産しても、ほかの取引で損失を補えます。
新しい販売先を開拓し、特定の取引先への依存度を下げておきましょう。
売掛保証サービスを利用する
3つ目は、売掛保証サービスを利用することです。売掛保証サービスとは、取引先が代金を払えなくなったとき、保証会社が代わりに代金を支払う仕組みです。
取引先が倒産しても、保証会社から保証金を受け取れます。売掛金が回収できなくなる貸し倒れを避けられるため、損失を防げます。
なお、与信限度額の設定や取引先の分散は、自社で手間をかけて対応しなければなりません。一方、売掛保証サービスを使えば、取引先の信用調査を保証会社に任せられます。
限られた人数で経営する会社にとって、与信管理を外部に任せられる点は心強いでしょう。
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まとめ
人手不足倒産は、年々増え続けています。取引先の倒産は自社の努力だけでは防げないからこそ、売掛金を守る仕組みを前もって整えておきましょう。
備えの中心となるのが、売掛保証サービスの活用です。売掛保証サービスを使えば、取引先の倒産や支払い遅延に備えられます。
売掛保証サービスでおすすめなのが、「URIHO(ウリホ)」です。取引先が代金を払えなくなったときは、URIHOが代わりに取引代金を支払います。取引先にあらかじめ保証をかけておけば、手間のかかる与信管理をしなくても、安心して取引を続けられます。督促に時間や人手を取られることもなくなり、本業に集中できるでしょう。
URIHOの料金は、月額9,800円からの定額制です。初回の保証開始日から1カ月間は、無料で利用できます。また、URIHOの審査通過率は95%と高い水準です。取引先の信用力が心配で取引を見送っていた場合でも、保証を受けながら取引の幅を広げられます。
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